第5話 告白。そして、甘いキス
わたしは松田聖子のレコードを見て困っていた。密林の商品は確かに壊れやすい。しかし、他にレコードプレーヤーの売っている店など検討も付かない。うん、待てよ……リサイクルショップなら売っているかも。わたしは全国展開している大型リサイクルショップに向かった。店内に入ると意外と普通であった。
パソコンなどが並び、わたしはレコードプレーヤーを探す。VHSのレコーダーにMDプレーヤー……。
これはありそうだ……しばし探すとあった。念願のレコードプレーヤーを見つけた。色々、眺めていると『スピーカー別売り』の文字を見つける。わたしは携帯で母親に電話する。
『ふ~う、仕方ない、スピーカーも買いましょ』
しかし、母親は何故、レコードプレーヤーを密林で買う事を拒んだのだ?
理由は簡単であった。母親もレコードプレーヤーを見た事がなく。宝探しをしたかったらしい。おや?この店、商品の宅配サービスがあるぞ。もしかして、母親はこの店にレコードプレーヤーを売っているのを知っていたのかもしれない。
表向きは宝探しとか言って、ホント、女狐だ。
ここは可愛い娘を演じる事にする。
***
ここは自室のベッドの上……。夕方、疲れていたのか。少し寝てしまったか。何やら凄い悪夢を見た気がする。リンチ事件以上の悪夢だ。悪夢、ましましの夢であった。リンチされてリハビリに一年間かかるのは現実?足首を見るとサポーターが巻かれていた。リンチ事件が夢ならば、わたしは夢も希望もないタダの高校生である。
『コ、コ、ロ、ガ、イ、タ、イ』
確かに心に傷をおっている。わたしは買って貰ったレコードプレーヤーを立ち上げる。作業は簡単、レコードを乗せてスイッチを入れて針を落とす。今日はチェッカーズである。わたしのレコードコレクションもなかなかだ。流れる曲に乗せて携帯を開く。
「えへへ、三崎と電話番号を交換しちゃった」
気分が上々なので三崎からの電話を待つのも楽しい。
「えへへ……」
***
一学期が終わり、夏休みに入った、頃の夢である。三崎と一緒に帰る途中のことです。突然の雷雨でコンビニに駆け込む。
お互いの制服が濡れて透けている。三崎がわたしの透けた制服の下のブラを見ている。
ああああ恥ずかしい。
わたしは三崎の前で恥じらいを感じていると。
「オ、オレ、お前の事が……」
何だ、このフニャチンは、告るなら告れ。
ガバ!!!
なんだ、夢か……。
最近、変な夢が多いな。大体、三崎は好きになったら、唇を奪い。『俺の彼女になれ』だよな。わたしは枕を抱き締めて独りの寂しさを感じる。
——……。
明日わたしから告ろう。と、決心してベッドに横になる。天井を見上げて時計とにらめっこであった。
***
あー眠い……。
昨晩は三崎から告白される、夢をみて。
勢いのあまりにこちらから告白する事にした。
えーと、三崎の携帯に電話をかけてと。
『あ、三崎、ちょっと告白するから、空き教室に来て』
話は簡単、好きですと告白するだけである。そして、空き教室に着くと。しばし、待つと、三崎がやってくる。
「おお、きたきた、今から告白するから、そこ座って」
「先輩、忘れたのですか、携帯の番号を交換するときに『好きだから交換して』と軽いノリで交換しました」
はい?
ここは年上の女子からの告白と言うことで色々工夫したつもりであったのに……。何故かしょげてしまう。告白シーンを覚えていないとはこれいかに。
「もう、俺の女です」
三崎はわたしに近づき、甘いキスをする。これだよ、この力強いキスを求めていたのだよ。結局、告白シーン無しの終焉である。きっと、幸せな恋なら告白など無意味なのであろう。
さて、この物語の終わりである。これは何処にでもある日常のお話であった。
体育会系の女子が不器用な恋愛をする 霜花 桔梗 @myosotis2
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