第7話  この勇者絶対友達いないですわよね!いる訳ありませんわ!人の事重いだの、困るだの好き放題に言いやがった報い。いつか返してやる!!

 街に案内しろと言われて指し示した方角に勇者は歩き出した。その頃私は何してたかって?

…私も分かりませんわ…。ただ、どうかこれが夢でありますようにと現実から逃げるだけ。この左足に着いた枷はしっかりと重量を伴って私を現実に繋ぐ。



「ぉい…おいっ!!着いたぞ!!」


「…え?」



 未だにお姫様抱っこ状態だった私に喋りかける勇者…。なんですの…、今、私は何もしたくない。聞きたくない…。見たくもない…。のです…喋りかけんな。


 って、よく見たら街の中に居た。ええ!?



「いつの間に!?というかどうやって門を抜けた!?」


「あー?なんか普通に通されたぞ。で、とりあえず宿かなんかあるだろ…宿はどっちだ?」


 け、警備がいなかったのですの?なんであっさり…。いやその方が都合がいいですけれども。


「や、宿は…。あっちです」


「ふむ」


 ふむ…。じゃねぇーよ!!ちょまて!なんでお姫様抱っこ継続してんだよ!?おろせよ!クソガキ!


「お、おろせ!」


「あ、ちょっ!?暴れんな!!ただでさえ重たいんだから!」


「ア゛ァァァァァアン!?」


 こいつ今私をデブ呼ばわりしましたわよね?もうぶっころですわ。こう見えて私スリムボディなのです。それをこんな雑に扱われさらに重いー?


「怒んなよ。そもそもお前、あのまま俺が置いてったらどうするつもりだった?お前も行くあてないんじゃないのか?」


 グッ…。ほっとけよ…もう…




 行く宛てなんてもういりませんわ…。女神ですらない私に何が残るのか…。そんなこともわかるわけのないガキが調子に乗って…!


「だってお前…。泣いてるんだぞ?」




…は?





 そんな…。確認するために手を頬に当てれば確かに湿っていて…

 私…泣いてる…の?


 認識した途端にさらに大粒の涙が目からこぼれ落ちる。確かに視界はぼやけてるし今もこのガキの顔がよく見えない。


「泣いてる女には優しくしろ。親父はそう言ってた…だから仕方なく優しくしてる…早く泣きやめ」


 うん。最後半分いりませんわ。



 と、とりあえず涙を拭く。そっか…私泣いてたのか…。それすら分からなかった。


「とりま宿に入って落ち着け。その後に事情を話せよ。どうして泣いてるのか。俺にはさっぱり分からねぇ。泣かれ続けると周りからは変に見られるしとにかく困る」



 ほんとに後半不要過ぎるのですわ。こいつ絶対友達いなかったでしょ?私嫌ですこんなガキ。

 ただまあ、周りに変な目で見られているのもわかりましたわ。そう思うと人前で泣きじゃくってた私は…。恥ずかしさでとりあえずこの勇者をぶん殴りたい。




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え?タイトルは長い方がいいって?この女神が、ビューティなタイトルを提示しますわ!「コメディーにステータスを全振りされちゃった勇者。やり返しとばかりに女神を巻き込んで戦闘中に漫才コンビをしてしまう!」 Diamond @diamond1515

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