タイムリミット



「ああああああああああっ!!」





 自分の肩を抱いた実が、絶叫をとどろかせる。



 実の右半身を覆っていた木の枝がその動きを活発にし、勢いよく拓也たちへと襲いかかった。



 それに応戦しようと身構えた拓也たちだったが、目の前に向かってくる枝に気を取られた隙に、地面から大量の根が彼らを襲おうと顔を出す。



「!?」



 その奇襲に驚く間もなく、拓也たちは根に囚われて地面に縫いつけられてしまう。



「この…っ」



 拓也はうめき声をあげる。



「くっ……レイレンさん、これどうにかなりそう?」



 拓也と同じように苦痛に顔をしかめていた尚希が、唯一この状況を打破できそうなレイレンにそう訊ねた。



「ごめん……ちょっと厳しい。」



 レイレンは険しく、眉根にしわを寄せる。



「精霊の力だったら問答無用で勝てるけど……これ、ほとんど実の力なんだ。さっきから頑張ってるんだけど、全然〝フィルドーネ〟の力が効かない。」



 奮闘するように体をよじらせていたレイレンだったが、数秒ほど経つと、彼は諦めの息をついて体から力を抜いた。



「キース、拓也君。タイムリミットだ。」



 尚希と拓也の顔を交互に見つめ、レイレンは表情を無にする。

 そして。





「覚悟を決めて。もう、実を助けることは諦めるよ。」





 彼の口から、残酷な宣告が下される―――


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