引き上げられる意識
痛い。
体中が痛くてたまらない。
一体、何が起こったのだろう…?
気にはなったが、それもすぐに甘い睡魔に溶かされてしまう。
そうだ。
自分は、眠ることを選んだのだ。
この痛みも苦しみも、眠ってしまえば分からなくなる。
そうすれば、きっと―――
「それでいいわけないでしょ、まったく。」
はっきりとした声が響いた。
ゆらゆらと漂っていた体が、浮遊をやめる。
「ほら、戻っといで。みんな待ってるよ。」
ぐいっと、体を引かれた。
嫌だ。
呼ばないで。
そっちには行きたくない。
そこは、自分がいるべき場所じゃない。
「そう思うなら、せめて自分からお別れしてくれる? こんな逃げ方、許さないよ。」
体を引っ張る声は、厳しい言葉を突きつけてくる。
体が浮上を続ける。
暗い水底から、光の中に
嫌だ、嫌だ。
ここから出たくない。
ここを出てしまったら―――……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます