少し前まで遊び場にしていた場所が取り壊されることになり、その現場に立ち会うことにした少年のお話。
ノスタルジックな雰囲気の現代ものドラマです。
どこか懐かしさを感じる田舎の風景と、その中で育った少年に訪れた小さな転機。
もう最近ではそこで遊ぶこともなくなっていたものの、でも確かに大好きだった遊び場が消えてしまう、その言いようのない寂しさが胸に染みるお話でした。
自分だけの特別な遊び場を、〝秘密基地〟になぞらえる感覚。子供らしい感性による、空想の世界に遊ぶ愉しみ。
あくまでも妄想でしかない、というのは確かにその通りなのですけれど、しかしそこはそれ。
これを物語として読む私たちの視点からは、あるいはもしかして、ひょっとして、それは決して幻ではなかったのかもしれない……と、そう思わせてくれる想像の余地が素敵な作品でした。