第65話 エピローグ


「ラーメンはいつ食べても最高だね」


「ああ、コッテリ豚骨は格別にうまい」


 観覧車を降りた俺達は、コスモワールドから出ると電車に乗り最寄り駅近くのラーメン屋へと足を運んだ。


 その間、椎名との話題は絶えなかった。

 学校の話や最近ハマってるゲームの話、はたまた椎名の仕事の話まで。


 これまで話せていなかったことが溢れでるかの様に口が動く。

 そんな中、ラーメンを食べ終えた俺達は程よい距離感で帰路についていた。


「なんかさ、こうして2人でちゃんと歩いてるの久しぶりだね」


 後ろに腕を組む椎名は、少し腰を曲げながら言ってくる。


「確かにな。ちゃんと歩くのは久しぶりだな」


 つい最近まで、腕にしがみつかれたり、抱きつかれたりしてたしな。


「私がモデルでもっと有名になったらこんなことも出来なくなっちゃうかもね」


「まだまだな癖によく言うよ」


「ムーっ、売れたら絶対に後悔させてやる」


「あー、やれるもんならやって見ろ」


「また雑誌で色々言ってあげるんだから」


「そうえば、お前あのインタビューの誤解解いておけよ」


「いいじゃん、あれはあれで残しておいてさ」


「どう考えてもダメだろ」


「全国出版だし取り返しは付かないよ?それに、これから本当の事になるかもしれないしさ」


「…………勝手に言っとけ」


 まだ、ウザさは健在のようだ。

 けど程よい、幼馴染らしいウザさまでは軽減されている。


「って、もう家着いちゃったし」


「ゆうて駅から近いしな」


 話をしていると、あっという間に家の前についていた。


「今日は色々とありがとね」


「こちらこそ、作くんのこと聞けてよかった」


「ま、これからも腐れ縁らしく、末永くってことで」


「え~、それってプロポーズ?」


「んなわけあるか」


 目を細めながらこちらを見る椎名に、俺はデコピンをする。


「あいたっ……………そうゆうところだよ~、作くんは」


「お前もそうゆうところだ」


 久しぶりに、このくだらないやり取りが楽しい。

 やっぱり、俺が拒絶していただけで、椎名と居るのは居心地がいい。


「じゃ、またな」


「うん、学校でね」


 と、俺たちは向かいになっている自宅に入っていく。

 玄関を閉める時、椎名の顔が少し見える。

 刹那、椎名はひょこりと顔を出すと、


「これからよろしくね。じき彼氏さん」


 フッと小さく笑いながら手を振る。

 以前よりも10倍マシで可愛く見える椎名の表情に、ドキっとする俺であったが、


「調子に乗るな」


 それを隠すように鼻で笑いながらそう返す。


「も~、最後まで作くんは堅いんだから~」


「勝手に言っとけ」


「あ、いっか。また明日ね~」


 手を振ると、椎名は家の中へ入っていった。

 俺も、椎名が家の中に入るのを見ると玄関の扉を閉める。


 俺と付き合っていると勝手に妄想している勘違い美少女は、幼馴染だから逃げられない。


 でも、これからは、逃げない。



 なぜなら“幼馴染”だからな


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俺と付き合ってると勝手に妄想している勘違い美少女、幼馴染だから逃げられない。 もんすたー @monsteramuamu

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