青春

くびなーが

人生の春

「青」それは未熟でまだ若い心の色。

「春」それは生で勢いの盛んな時期。

「青春とは何か」とふと気になることがある。

 ある人は「恋愛だ。」、ある人は「部活だよ!」とみんなばらばらだ。

 彼女がいない男子は「青春したいなー!」だとか「俺の青春はどこ行ったんだよ」とか言っている。意味が分からない。

 ここまで青春という言葉は多種多様な意味を持つのになぜ学校では教えてもらえないのだろう。ぼくはそう思った。

 そこで、だ。


 僕はこの夏青春を探すことにした。


 まずは情報収集からだ。と僕は古びた親のケータイで「青春とは」と調べた。

 ・青春-若く元気な時代。人生の春にたとえられる時期。青年時代。

 ケータイはこう答えた。しかしこれは僕の求めていた答えではないらしい。


 だってこの意味だったら青春は「する」ものではないから。


 次は辞書だ。僕は押し入れの中からほこりをかぶった辞書を取り出して、青春という2文字を目を凝らして探した。

 ・青春-人生の春にたとえられる時期。希望を持ち、理想にあこがれ、異性を求め始める時期。

 辞書は諭すようにこう答えた。少し友達の言っていた意味が分かるかもしれない。


 だって青春は異性を求め始める時期なのだから。


 しかしそれでは部活が青春というのは意味が合わない。

 経験こそがすべてであるということで僕は部活をやってみることにした。

 幸い僕は中学校時代にクラブチームでバスケットボールをやっていたおかげで運動神経は悪くなく、高校1年の中で馴染めたらしい。

 ある夏の日。高校一年生だけが出られるという大会に参加した。

 以外にも僕は上手だったらしく、レギュラーで試合にも出れたし、初試合にもかかわらずまあまあよい結果が残せた。しかし、それでも青春は見つからなかった。


 じゃあ青春って何なんだ?


 これを考え始めて約20日が経過したと思うと、人生の無駄だったと思う。

 こんなことを考えているより夏休みの宿題をしよう。と課題図書の「青」という小説を開いた。

 その小説のあらすじは、人生を忌み嫌う高校生がある女性との出会いで人生を少し好きになるという簡単に言えばあり得るはずのないおとぎ話だ。

 かくいう僕も人生なんて正直どうでもいいと思っている。

 勉強してもそれが結果として帰ってくることは少ないし、運動は体格によって有利不利が決まることが多い。友達の言葉を借りるなら「正味運ゲー」とでもいうのだろうか。そんなことを考えながらこの小説を読んでいるとこんな一節があった。


「君の心を染める青は君の未熟さを表し、君に来る春はいつか来る冬を表す。青の濃さは人それぞれであるし、春は毎日、毎年変わるものである。」


 これを見つけたとき僕の脳には多量の血が流れた。

「これが青春なのか」と、口が勝手に動いた。僕はとても恥ずかしくなって、ただ一人部屋の中で赤面していた。青春はみんな同じものであると考えていたからだ。

 こんな僕にも青春はあるのだろうか。そう思って小説を読み進めた。

 気づいたら1日が終わりそうだった。でも時間の無駄という気持ちは少しもなかった。ただ一つ分かったことがある。


 僕のこの行為だって「青春」なのだ。と。


 やっと友達が言っていたことがわかった気がした。

「恋」だとか「部活」だとかすべての事柄が線になった。


 なぜなら、青春はその人が一番物事に熱中できる時期なのだから。


 僕も友達もこれからいろいろなことに熱中するだろう。

 でも一番集中できるのは高校生の時しかない。

 限られた高校生活をこんなひねくれた感情でつぶすのはよくない。


 そう思った。
















 







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