閑話 青き髪のポジャカ
クリスパメラさんが真剣な表情で立っている。
クリスパメラの合図で楽団の演奏が始まり、堂々と伸びやかな声で
歌い始めた。
『
ある時、王都に災い起こり、王は其の者に教えを乞うた。
其の者は王都を日々駆け巡り、遂に神の嘆きの声に辿りつく。
ヒトが傷つけし水に棲まう黄色き神の嘆きの声に辿りつく。
其の者、神の傷を癒さんと水辺に留まり、日夜祈りを捧げ続け。
いつしか神の傷は癒え、神の喜びの光が広がり、王都の災いは露と消える。
嗚呼、この歌は神々を
再び戻られた青き神を
そして、其の者を
クリスパメラさんがステージの上でドヤ顔で立っている。
脚色するにもホドがあると思うが、それよりも大事な問題があるので
聞いてみた。
「あの~ クリスパメラさん?」
「なんだいポジャカ?」
「私の名前を神様や王家と並べたら不味くないですか?」
不敬罪とか、宗教問題とか色々と・・・・
「大丈夫だよ、王家と神殿の許可は真っ先に取ったから。
今夜から王都中で歌われるよ」
王都から一刻も早く逃げないと、そんな強迫観念が私の中に産まれた瞬間だった。
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