閑話 青き髪のポジャカ

クリスパメラさんが真剣な表情で立っている。


クリスパメラの合図で楽団の演奏が始まり、堂々と伸びやかな声で

歌い始めた。


ものは森と湖のほとりに生を受けよわい4つにして、青き神の印璽しるしさずかり


まつりし青き神の啓示けいじを受け、いにしえに失われし『青の雫』を再び世に送りだす。


の創りし『青の雫』にて多くの人が癒され、癒しは広がりゆく


ある時、王都に災い起こり、王は其の者に教えを乞うた。


其の者は王都を日々駆け巡り、遂に神の嘆きの声に辿りつく。


ヒトが傷つけし水に棲まう黄色き神の嘆きの声に辿りつく。


其の者、神の傷を癒さんと水辺に留まり、日夜祈りを捧げ続け。


の姿を見し人々、共に祈りを捧げ、そこに巡礼の道がうまれん。


いつしか神の傷は癒え、神の喜びの光が広がり、王都の災いは露と消える。


嗚呼、この歌は神々をたたえる歌。


再び戻られた青き神をたたえ、癒された黄色き神をたた


そして、其の者をたたえよう・・・・その名はポジャカ


蒼穹そうきゅうごとき髪と目、その名はポジャカ』



クリスパメラさんがステージの上でドヤ顔で立っている。


脚色するにもホドがあると思うが、それよりも大事な問題があるので

聞いてみた。


「あの~ クリスパメラさん?」


「なんだいポジャカ?」


「私の名前を神様や王家と並べたら不味くないですか?」


不敬罪とか、宗教問題とか色々と・・・・


「大丈夫だよ、王家と神殿の許可は真っ先に取ったから。

今夜から王都中で歌われるよ」


王都から一刻も早く逃げないと、そんな強迫観念が私の中に産まれた瞬間だった。


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