第22話 さらば王都

「ホーバックさん、そろそろ村に帰ろうと思うんですが、

 どこに挨拶をしておけば良いでしょうか?」


 子供達から症状が消えて、王都は平穏を取り戻した。

 沼には多くの水属性の人々が今も浄化に訪れている。

 沼の近くに立派な祠も作られ、そこにも多くの人が祈りを捧げている。


 今まで良い所の無かった水属性についての見方も変わったみたいで良かった。


 何故か沼の傍に設置されたもそのまま置いておく様だ。


 もう村に帰っても良さそうだ。


 「そうだな、どこに挨拶に行けば良いか学院長にでも聞いてみるわ」

  とホーバックさん


 「はい、そろそろ『青の雫』も足りなくなりそうなので、帰って作らないと」

 「そうだな」




 バンダル王国王城 会議室


「ポジャカから村への帰還を打診されたのですが?・・・・・

 いかがいたしましょうか?」


  会議室から音が消えた。

 

 「ポジャカへの褒美などはどういたしましょうか?」宰相が聞く

 「いっそ、ポジャカのいる村周辺をポジャカの領地にしても良いのでは?」と公爵

 「ポジャカが領地を欲しがると思うか?」と国王

 「確かに『青の雫』も少なくなってきたから、作ってもらえるのはありがたいね」

 「いっそポジャカに何が欲しいか聞いてみるか?すまんがポジャカを呼んでくれ」

  と国王が言い出した。


 

  私はまた王様の前に居る。

 正式な帰還の挨拶の場かな。


「王様、王都も落ちついたようです。

 今回の騒ぎで『青の雫』も残りわずかとなっています。

 そろそろ村に帰還し『青の雫』の製造に取り掛かりたいと考え、

 いとまいに参りました」


 「ポジャカよ今回の件、良くやってくれた。

  何か褒美を与えたいが地位や領地等といってもお前が欲しがるか分からんのでな

  ポジャカよ何か欲しい物は無いのか?」


  私のリクエストを聞いてくれるようだ。それならば


 「王様、実は私の居ない間、村で使い道の無い樹液を溜めていまして。

  新たな村の産業として、それを使った酒作りが出来ないか考えておりました。

  まだまだ原料集めだけで作り始めてすらいませんが、

  国の許可などに便宜を図って頂けますでしょうか?」


 「宰相、我が国の直轄地での酒作りについて許可等はどうなっておるのかね?」


 「はい、国の査察官が調査に入り、酒の販売価格にたいして税金が決定され

  製造許可が降ります」


  やはり、あの人宰相だったんだ。


 「おお、そうか、では作ってみよ。酒が出来たら王都に持って来てくれ。

  その時に査察官も送る様にしよう」


 「はい、ありがとうございます」


 「そういえばポジャカよ、あの沼に居た神は黄色い光を放つ

  大きな貝であったらしいな」

 「はい、大きくてきれいな2枚貝でした」


 「おそらく、失われた黄色の神等と呼ばれるであろうが。

  我が先祖が出会った『赤き竜』お前の出会った『青き蛇』

  そう呼ばれるとしたら、どんな呼び方だろうな?」

  と聞かれた。少し考えて


 「伝説に巨大な2枚貝の話があります。

  名前はしんと呼ばれています」


 「ほう、どんな伝説かな?」


 「旅人が、遥か彼方の何も無い場所に

  古い都市の幻を見るのだそうです。

  それがしんの吐きだす息だと言われています」


 「なるほど、黄色きしんか、おもしろいな」


 「楽しんで頂けたならなによりです」


  こうして、私はようやく村に帰る事となった。

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