閑話 人々の見たもの

 子供達が病に倒れる中、水属性の人々が集められた。


「ここに集まっている皆は全て水属性の者である。

これから皆には、ある水魔法の使い方を覚えてもらう」


  ざわざわと騒いでいる。

「子供が熱を出しているのに」

「なんの用だまったく」という声も聞こえる。


「今回の病気の原因だが古き神の住む場所に

 廃坑から毒が流れ込んだ事が原因だとわかった」

 

  ざわざわがピタリと止まる。


「既に廃坑からの毒の流出は止めた、

 皆には水魔法で汚れた水を浄化してもらいたい」


「毒に汚れた水に近づいて大丈夫なのか?」

「なんで俺達がしなきゃいけないんだ?」


「毒を含んだ水の汲みだしは専用の器具を使って専門家が取り出す、

 皆にはその水に魔法を掛けて貰うだけで危険は無い。

 それと、子供達の熱や痛みは古き神が感じている物が子供達に伝わったようだ。

 つまり水を浄化する事で子供達の病が治ると言う事だ」


「なんで俺達が、そう思うならこの魔法を身に着けて沼に見に行くが良い。

 一人の子供が病に苦しむ子供達の為に今もずっと浄化を続けている姿を。

それを見てまだ『なんで俺達が』等と恥ずかしい輩には、私はなりたくない」



【ある水属性の男性】


 沼の傍に来ている。


 大勢の人が並び桶に向かって魔法を放つ、3人でやっと桶が空になる。


 天幕から、まだ幼い少年が出てきた。珍しい青い髪の少年だ。


 少年の前に桶が置かれる、少年は詠唱を始めると髪が青く輝いて桶が空になった。


 すぐに次の桶が置かれる、少年は詠唱を始める、髪が青く輝く、桶が空になる。


 次の桶が置かれる、少年は詠唱を始める、髪が青く輝く、桶が空になる。


 桶が置かれる・・・ちょっと待て、この子にどこまでやらせるんだ。


 少年は詠唱を始める、髪が青く輝く、桶が空になる。


 次から次へと少年の前に桶が置かれる。


 あの水汲み役の男・・・・泣きながら水を汲んでやがる。


 桶が20個を超えたあたりで、少年が止まった。


 男が抱き上げて天幕に連れていく。


 俺の隣りに並ぶ男に聞いた

「子供にあんな事をさせて、どういうつもりなんだ」と


 男は「俺だって聞いたよ、だけど、あの子は止めないらしい。

 夕方起きてきて、また限界まで魔法を使うんだと」


「なんで、そこまでするんだよ」


「さあな。でも子供にあそこまでやられたら、大人も少しは良いとこ見せないとな」


「まったくだ、また明日も来なけりゃならなくなっちまった」


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