閑話 歌姫の決断

王都外郭内 ホーバック邸


【ホーバック】


目の前に座るグレイク先生と金の歌姫

ポジャカを医学院に送り出してから、ようやく自分を取り戻したようだ。


「あの青い髪がそうですか? 確かに他では見た事がありませんね」


「グレイク先生、ごめん余計に混乱する。あの子が薬を作ってくれたんだよね?

あの髪の色と何か関係があるの?」


「おそらくだが・・・

 あの子は4歳の時に神に出会って、あの色を与えられた。この国の王家の様にね」


「あの子が?」


「そして、5歳から8歳まで毎日魔法を使って作り溜めていたのがだ」


「そうだったの」


「あの薬『青の雫』を作れるのは、今、あの子1人だけなんだよ」


「それで王家に保護して貰ったわけなんだね」


「ああ、しかしそれは失敗だったかもしれない」


「失敗? 王家に保護を受けているんだろう?」


「今、あの子は王命でここに居る。あの病気の調査の為にね」


「あの? 王都の子供達がかかってる病気のこと?」


「ああ、がかかる病気の調査をにさせているんだ

まったくやり切れない話だ」


「あの子は? まだ子供だろう? 嫌がったりはしないのかい?」


「あの子は賢くて、それ以上に優しい子なんだ。困った事にね」


「困るくらい優しい子なんだね」


「そうだな」


「ホーバックさん、客間はまだ空いているかな?」


「空いてはいるが・・・どうしたのかな歌姫殿?」


「いくつか思いついた事はあるんだけど、

 あたし自身が、とりあえず傍で少年を見ないとは出来ないんでね

 しばらくの間、見せてもらうよ」


「わかった、ホルマ部屋の用意を。しかし、もしかすると、つらいモノを見るかもしれない、それだけは覚悟しておいてくれ」




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