第24話 ドワーフ? が来た

正直、酒造りに行き詰った私はホーバックさんに相談した。


「ホーバックさん、わざわざ来て頂いてありがとうございます」

「どうした、ポジャカ? お前から連絡なんて、なにが起きた? 」

「いえ、酒作りに関してお聞きしたい事がありまして」

「なんだい?」

「この国のお酒って、何がありますか?」

「主に、エールとワインとミードかな?」


麦酒エール葡萄酒ワイン蜂蜜酒ミード・・・ですか?」


  私は頭を抱えた・・・どれも、そんなに強い酒じゃない


「どうした、ポジャカ?」

「どうやら、私は、この国の文化に無い強い酒を造ってしまいました」


「それは、別に悪い事では無いと思うが?」

「おそらく高額で取引されるでしょうが、あまりにも強いお酒は中毒になる可能性があります」

「それなら、いっそ酒造りの専門家に聞いたらいいんじゃないか?」

「専門家がいるんですか?」

「ああ、知り合いに職人が居るから、連れてくるよ」


「ぜひ、よろしくおねがいします」



そうして、村にがやってきた。



王都直轄領 二ミグラ村


「ここか~新しい酒を造ったっていうのは」


村にドワーフが殴り込んで来た。

いや、そもそも、この世界にそんな種族いない。

しかし、背が低くて太っててもじゃもじゃで・・・

ドワーフだよね、あなた。


「ドワード、お前、なにやってるんだ」ホーバックさん。


ホーバックさんが連れて来た酒造りの専門家ドワードさん。

火酒作りをやっているそうだ。

良かった、ちゃんと火酒・・・いわゆる蒸留酒も作っているんだ。


「初めまして、ドワードさん。今回の酒造りの責任者をしていますポジャカです

ご教授の程よろしくお願いします」


ドワードさんがポカンとしている。

それじゃあ、こっちから行こうか


「ところで、ドワードさんは火酒を作っているそうですが、

原料は何を使っているのでしょうか?

穀物ですか? ブドウ? 麦? それとも何かの芋でしょうか?

あと、発酵させるのは特定の場所で?

それとも、何か発酵の種を作って入れる方法ですか?

おそらく、出来た酒を一定の温度に加熱して酒精を濃くしているのだと思いますが

回数は何回くらい行うのでしょうか?」


ドワードさんが口をパクパクさせてホーバックさんに何か言おうとしている。


「ポジャカ、それくらいにしておいてやってくれ。

ドワード、この子がポジャカだ。

見ての通りまだ酒を飲ませてもいい年齢じゃないのはわかるな」


「すみません、村で採れた材料の利用法がお酒しか思いつかなかったので、

試作してみました。僕自身は飲む事が出来ませんし、村にはお酒に詳しい人どころか

あまり飲む習慣も無いので、お酒の味と作り方に詳しい人を

ホーバックさんにお願いして紹介していただきました」


「おお、ホーバックからもそう聞いているぞ、出来た酒はどこにあるんだ」

「こちらへどうぞ」倉庫に案内した。

 倉庫の中には10個の壺が並んでいる。


「一番奥の壺が大体3ヶ月発酵させた物です」


中身を柄杓ですくって器に入れて渡す。

ドワードさんは、香りを嗅いで


「ほお、甘い香りか悪くないな」


と、一口、口に含んだ。

「おお、結構濃いな、こりゃワイン並みの酒精だぞ」

「それは、うれしいですね。

ドワードさん、すみませんがコレを試して貰えますか。

ウチで試作した火酒なので注意してください」


と3倍に濃縮した樹液酒を渡す。


「おお、火酒か、面白そうだな。香りが強くなっている、味はどうだ」


口に含むと


「おお、これはたまらんな、この酒はいいぞ」


「これは樹液を煮詰めた物を3ヶ月発酵させてから3倍に濃縮したものです。

これをこの村で作ろうと思っていたのですが

普通の人が口にしても大丈夫でしょうか?」


「ああ、これなら大丈夫だろう。

しかし、この村には、これだけの物が作れる蒸留設備があるのか?」


「内緒ですが、実はこれ魔法で蒸留しているんです」


 ドワードさんが固まった


「そんな事が可能なのか?」


「私のは水魔法の応用で蒸留しています」


「水属性なら覚えられるのか?」


「はい、訳あって王都の水属性の人に教えましたが大丈夫でしたよ」


「ほう、王都にそれが使える人間がいるのか」


「はい、数百人に教えましたから、王都の水属性の方なら大概使えると思います」


「そいつはいい、うちでも試してみよう」


「是非やってください、蒸留方法の違いで味の変化があるかもしれません

確認してみてください」


「おお、もちろんだ、うまい酒を造るには色々やってみないとな」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る