第16話 調査開始
翌朝、ホーバックさんにお願いして医学院まで送ってもらう。
受け付けには王宮からすでに連絡が入っていて、
ホーバックさんと一緒に敷地に入れてもらった。
迷わず中庭の池に向かう。
さて、昨日は勢いで言ってしまったが実際に濃度の測定が可能かだよな?
『神の
集中して目測で10cmの立方体を設定して上に持ち上げる。
そのまま中の粒子を感じる。粒子からは怒りの感情を感じるキツイな。
中の粒子は・・・ダメだ数千ではきかなそうなくらい大量にある。
それなら今度は1cmの立方体か。
『神の
小さな立方体を作って、持ち上げる。
集中して粒子を感じる、28個だな。
『神の
もう一度1cmの立方体を作ってみる、集中する、今度は27個か?
感じていた圧迫感は慣れたのか、あまり強く感じなくなっていた。
しかし、その分怒りの感情が伝わってきてツライな。
そうした事を試している内にマゼッタ教官とニック、マーシィがやってきた。
少し遅れて手に地図を持ったギルニアさんとセラメルさんが走って来た。
「それで我々は何をすれば良い?」
「マゼッタ教官、今この池の水の粒子を調べていました。
ニックさん、マーシィさんこの大きさで池から水を出せますか?」
と言って1cm水の立方体を持ち上げた。
それを見て、二人もやってみた。
『『神の
「こうでしょうか?」
「ニックさんは大丈夫です、マーシィさんは少し小さく・・・それです。
その状態で2人共、中の粒子の数が判りますか?」
「やってみます」「やってみる」
パシャ と地面に落ちた。
ニックさんが少し考えて、もう一度立方体を作ってから
今度は掌の上にその水を落としてから集中する
「29個、確認しました」
マーシィさんがそれを真似てやってみる。
「27個です」
「はい、ありがとうございます。
この方法で王都の水場を調査して粒子の数を地図に記入します。
どれだけ魔力を使うか分かりませんので、疲れたら今日は終了してください。
今日は3人で3つの方向に分かれましょう。
私は南、ニックさんは東、マーシィさんは西をお願いします。
すみませんが大人の方が1人ずつ付いて頂けますか? 」
ギルニアさんが「それなら、私がポジャカ君に付いていく。
セラメルはニックに、マゼッタ教官はマーシィをお願いします」
「それではホーバックさん、行ってきます」
「ああ、ポジャカ。気を付けてな」
そうして調査が始まった。
初日、ニックが15ヶ所、マーシィが13ヶ所で魔力切れを起こしたと
連絡があった。
今、私は朝から調査を始めて今82ヶ所目の井戸を調べている。
「この井戸は22個です」
横でギルニアさんが地図に記入してくれている。
そろそろ、日が暮れてきました。思ったよりも数を回れませんでしたね。
魔力よりも、この身体の耐久力が足りないようです。
「ギルニアさん、今日はこれで終了します。ありがとうございました」
「ああ、ポジャカ。大丈夫か?」
「はい、明日もよろしくお願いします」
ホーバック邸にたどり着いて、食事を頂く。
桶に水をもらって、外で浴びる、頭がはっきりしてきた。
身体を拭いて、用意してもらった服に着替える。
良い服だなこれ。ホーバックさんに挨拶して先に寝させてもらう。
翌朝、朝食の後、ギルニアさんが迎えに来てくれた。
「おはようございます、ギルニアさん。
今日は午前中に南側は終わりそうですね」
「ああ、ポジャカ、おはよう体調は大丈夫か?」
「はい、ゆっくり眠れました。では行きましょう」
結局、残り50件程は午前中では終わらず、
昼食を取らせてもらった後、2時間程でなんとか終わらせた。
「では、次に北側の調査に向かいます。
北側は数が多いので、ある程度進めときましょう」
北側の調査に着手した。
「この池は39個です」
北側の方が粒子が多いかな?
いや、早急な思い込みは禁物だ。
「この井戸は40個です」
「この池は38個です」
なんでだろう・・・・・何か違和感を感じる。
「ギルニアさん、ちょっと待っていただけますか?」
「どうした、ポジャカ?」
近くの家の傍に大きな甕が置いてある。
屋根の雨水を溜めて利用しているようだ。
「すみません、ギルニアさん。ちょっとこの甕の水を調べたいのですが?」
「わかった。近衛騎士団のギルニア・ダイスだ、
すまないが甕の水を調べたい、協力を要請する」
家の人に許可を貰って、水を調べる
「37個・・・・・・どうして?」
「どうした、ポジャカ?」
「いえ、すみません。調査を続けましょう」
北側の40件を調査してその日の作業を終えた。
ホーバック邸に到着して、地図に書き込まれた文字にを眺める。
明日の調査を終えたら、何か見えてくるかも知れない。
そうして、その日も眠りに落ちた。
翌朝もギルニアさんが迎えに来てくれた。
「おはようございます、ギルニアさん。今日は北側の調査を進めます。
すみませんが今日の結果で調査の方法を考え直すかもしれません」
「わかった、しかし今日で北側全ては無理だと思うが大丈夫か?」
「はい、所でギルニアさんの近くに風魔法の使える方は居られますか?」
「ああ、セラメルが風属性だぞ」
「そうですか、ありがとうございます。では、今日の調査を始めましょう」
1日の調査を終えて、調査をしていた皆にホーバック邸に集まってもらった。
【ギルニア】
俺は今、ポジャカと共に王都の中を調査している。
馬車の中で俺とセラメルを質問攻めにしてくれた少年。
このまだ幼い少年は王都に広がる病気の調査の為に連れてこられた。
我々も、その理由は王都に着いてから聞かされた。
この病は子供だけが掛かる病気だ。
そこに子供を連れてくるだけでも危険なのに、病気を調査させるだと。
もし知っていれば、俺もセラメルも平静ではいられなかっただろう。
ポジャカは的確に指示を出して、自分も調査している。
調べる件数は年上のニックやマーシィの6倍以上だ。
その頭脳も魔力も大人以上なのだろう。
しかし、先に8歳の身体が限界を迎えている。
足の感覚がもう無いのだろう小さな拳で足を叩きながら、それでも歩いている。
休ませてやりたい・・・・しかし、この作業はこの子しかできない。
1日の調査を終えてホーバック邸に送って行くと。
入口でホーバック殿と出会う、
互いに苦虫を潰したような顔で涙を我慢する。
ああ、これが明日も続くのか。
ホーバック邸 応接室
サラバス学院長にも考えを聞いてもらうために来てもらった。
テーブルの上に地図を広げ、そこに今日の調査結果を記入してもらう。
その記入された地図を見ながら。
「すみません、今日まで王都の池や井戸の水を調査して頂きました。
見て頂いた通り、王都の北に向けて粒子の数が増える傾向にあります」
「そう見えるね」
「当初は粒子を含んだ水がどこかから流入している可能性を考えていましたが、
それにしては水に含まれる粒子の数が均一です。
それに屋根の雨水を溜めた甕まで、ほぼ同じ数の粒子が検出されました」
「雨水に元々粒子が入っていると?」
「いえ、それだと王都だけで発生する病気の説明がつきません。
考えられるのは空気です」
「空気だって?」
「はい、王都の北側で空気中に粒子を放出していると考えれば、
粒子の濃度差は空気中の粒子の濃度差
それなら水瓶、池、井戸どれも関係ありません。
つまり空気の調査が必要です」
「しかし、空気の中の粒子なんてどうやって調べるんだい」
「それは、セラメルさんにお願いします」
「私ですか?」
「はい、ニック達も水魔法で水の中の粒子を確認出来る様になりました。
セラメルさんも属性は違いますが風魔法で風の中の粒子を
確認出来るのでは無いでしょうか?」
「私に出来ますか?」
「まず、明日からやってみましょう」
「判りました、お願いします」
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