閑話 ジル
私はジル、ニミグラ村に住む10歳の女の子でジリウスとメリムの娘だ。
私には、2歳下の弟ジャンガと近所に仲の良い弟のような男の子がいる。
その男の子ポジャカは薄い茶色の髪をした優し気な目の男の子で、
同い年の落ち着きの無い弟よりも私と遊ぶ事が多かった。
それでも、近所に他に歳の近い子がいないからか、
ジャンガは何かとポジャカの手を引っ張って連れまわした。
そして、ジャンガが4歳の時あの事件が起こった。
ある日、ポジャカと一緒に出掛けていったジャンガが泣きながら駆け込んで来た。
「ポジャカ・・・湖・・青い蛇・・・ポジャカが死ぬ」それしか聞こえなかった。
お父さんに「ジル、ポグナスの所に行って、すぐに湖に行くように言ってくれ。
ポジャカになにかあったみたいだ。俺はジャンガと先に行っている」といわれて、
あわててポジャカのお父さんの所に走った。
私の話を聞いてポジャカのお父さんも、慌てて走って行った。
私が湖に着いた時には、ポジャカが倒れていて、ポジャカの髪は青く変わっていた。
ジャンガの話では湖で遊んでいて、ポジャカに急に逃げる様に言われたらしい。
訳が分からず逃げずにいると、水の中から見たことの無い大きな蛇が現れた。
怖くて動けないジャンガをかばって、何か光を浴びて倒れたらしい。
ポジャカは意識の戻らないままベッドに寝かされていた。
ポジャカが意識を取り戻した時、皆は息を呑んだ。
ポジャカの目は澄み切った青になっていた。
私はこんなキレイな色を見たことがなかった。
それからあの嵐があった。嵐で河の堤が破れて、お父さんの畑に流れ込んだ。
他の畑も水浸しだが、お父さんの畑は泥に埋まってしまった。
村の皆は自分の畑の事で精一杯で、とてもお父さんの畑を手伝えなかった。
あの陽気なお父さんはずっと黙ったままで、お母さんは泣いている。
そして、ある日、お父さんに言われてしまった。
「ジル、街に行ってくれないか?」
私はベッドで泣いていた。ベッドから出れないでいた。
ところが、そんな中ポジャカのお父さんが飛び込んで来た。
「おい、ジリウス。喜べ、もう大丈夫だぞ」
ポジャカが内緒で作っていた物を商人が高い値段で買っていった事。
それを作るのに、これから人手がいる事を教えてくれた。
ポジャカが助けてくれたんだ。
明日、お父さんはポジャカが作っている所を見に行くらしい、
私は、後をそっとついて行った。
ポジャカの髪が青く輝いている。
輝く髪とやさしげな青い目のポジャカの姿は、まるで絵画のような美しさだった。
家に帰って「お母さん、ポジャカってきれいだよね?」と聞くと
「そうだね、ただでさえポグナスとマイラの良い所を集めた顔に
あの神秘的な青い髪と目で優し気な表情をしているからね
大きくなったらモテるだろうね」
私は、ポカンとお母さんの顔を見た
「ジル、まあ、がんばりな」
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