第22話 探していた『セミの抜け殻』ですぅ~♪
この世界には妖精の力を使って、世界を壊そうとしている連中がいる。
それは人の思いを利用し『妖精を悪いモノに変える』という遣り方だ。
人は簡単に、善にも悪にもなる。
ただし――人の心を救うのは人の心である――ということを私は身を
私に出来るだろうか?
コホンッ――とわざとらしく
「このお姉さんが、お兄さんのお孫さんだからです」
そう言って私は渚さん紹介する。
彼女の『年齢』を考えると、そのくらいだろう。
コクコクと渚さんは
どうやら、正解だったらしい。
あの落雷以降、記憶が少しずつ戻っていたようだ。
渚さんの瞳に宿る意思の強さが違う。
また、呪いを強く受けるほどの『関係者であること』を
つまり、
『黒い茨』をどうにか出来れば、別に
けれど、正解を引き当てることが出来た。
私にしては上出来だろう。
お
きっと、お兄さんと好きになった女性――二人の面影でも見たのだろう。
「お、おおっ……」
と言って、お
「きっと、お父さんはすべてを知っていたのでしょう。お
と説明をする。それなのに、誰かがこの
あるいはそうなるように『兄弟をいがみ合わせよう』としていたのかもしれない。
少なくとも、妖精を見ることが出来る家系のようだ。
利用されてしまったと考えるのが
「兄弟が
時がくれば、話してくれるつもりだったのでしょう――そんな私の言葉を聞いて、
「ワシはただ、謝りたかっただけなのに……」
とお
「今からでも、出来ますよ」
そんな私の言葉で『黒い茨』が消える。
また同時に、再び大きく洞窟が揺れた。呪いが
「うひぃ~っ!」
とルリ。今回は優夜が私を抱き締め、
もう少し、こうしていて欲しいのだけれど――
ガラガラと岩が
「いかんっ! 出口が
とお
「
とルリ。私たちが入ってきた入口がまだあるので、慌てる必要はない。
それよりも、
外からの影響ではなく、内側から破壊されたのだ。
呪いと一緒に、呪者の
きっと、あれが良くないモノの正体だ。
それは上へと
恐らくは、叔父さんと戦っている相手だろう。
つまり――叔父さんが
「
へー、すごーい――と返している場合ではない。
私たちは今のうちに脱出した方が良さそうだ。
渚さんはお
私たちは来た時と同様に、渚さんの力を借りて、脱出することに成功する。
「大変な目にあったですぅ~」
とルリ。まったくである。
とんでもない、海水浴になってしまった。
この後、私たちは叔父さんと合流して、渚さんたちとは別れた。
まずは、お
改めて『お礼をする』と言っていたけれど、別にいいのに――
しかし、叔父さんは『正しい対価をもらうべきだ』と主張する。
私たちのように
だからこそ、明確なルールが必要となるのだ。
『喫茶フェアリーガーデン』の名刺を渡して、私たちはその場を後にした。
「
私たちが戻ると和奏がそう言って心配してくれる。
「優夜が私を守ってくれたからね♡」
そんな私の返しに――
雪風さんは寧々子と和奏を連れて、先に車へ
海水浴場は、ちょっとしたパニックになっていたらしい。
海での落雷は、離れていても感電の危険性がある。
結局は雑木林に雷が落ちたので、怪我をした人はいなかったようだ。
皆が無事だったことに、私もホッと一安心したのだけれど……。
叔父さんの表情がいつもと違う気がする。怒られなかったのは助かったけれど、どうやらまだ、事件は解決していないようだ。
「お
とルリ。和奏の頭に、コテンッと
「
落ちたそれを
「探していた『セミの抜け殻』ですぅ~♪」
得意げにルリは言ったのだけれど、探していたのは『綺麗な貝殻』である。
その後、なぜか私が和奏に怒られた。納得いかない。
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