第19話 ハゲを利用した恐ろしい計画ですぅ~!
目の前の黒髪の少女と
いったい、どういう関係なのだろう?
いつもだったら色々と
「ただ、彼女の場合は自分の意思で、この世界を捨てて……」
『
どうやら、少女の中には別の存在が入っているようだ。
「俺には双子の妹がいたらしい」
とは
その
『私と同じ』ということは意味から――この世界から消えた少女――ということになるのだろう。人々の記憶から消えてしまった少女。
月日の流れと共に『この世界には存在していなかった』と上書きされてしまったようだ。優夜と双子ということで、彼とは特別な
この世界で優夜だけは、少女の存在を覚えていたようだ。
彼が『
今は
『
その瞳が少しだけ悲しそうに、私には見えた。
同時に、瞳の片方には蝶を
以前、叔父さんが『
先程の光る蝶といい、私が今までに関わってきた事件と関係あるようだ。
「今は『人魚の
この方に頼まれたので、お連れしただけですから――と雷清さん。
彼は最初の言葉通り、私たちに敵対する気はないようだ。
今はまだ、すべてを話す時ではないらしい。
「ど、どうするのですぅ~?」
ルリが不安そうな口調で私に
「ひとつだけ教えて……」
と雷清さんに告げた。その言葉に、
「
彼は返してくれる。答えてくれる意思はあるようだ。
会ったのは二度目だけれど、どうにも好意的な気がする。
「お寺で
少女の正体、彼の目的、『人魚の
色々と確認したいことはあった。
でも今は、彼を知ることの方が重要な気がする。私の問いに対して、
「ああ、あれは――」
と雷清さん。
「一つは『妖精の
わたしの趣味ではありませんが――と彼は肩を
どうやら、あの
「『毛生え薬』と引き換えに、子供の一人でも行方不明になってくれればいい……」
という上の判断ですよ――と雷清さん。
あのお寺は確か『ハゲ寺』とも呼ばれていた。
『髪の毛が欲しい』という願いが集まる場所だ。
勘違いをした妖精が取引する可能性は十分にあり得る。
そして、近くには保育園もあった。
もし本当に子供が消えてしまった場合――
「つまり『桜の精』に罪を
彼女を『裏返す』つもりだったようだ。
「ハゲ、こえーですぅ~」
とルリ。
「ハゲを利用した恐ろしい計画ですぅ~!」
と
確かに『恐ろしい計画』であることには違いない。
「はい、『裏返す』ことが目的です――また……」
あの寺の評判を落とすことにも
自分の立てた計画ではないからだろうか?
失敗したというのに
ただ、それにしては私なんかに、色々と話し過ぎではないだろうか?
雷清さんは、
「『ハゲ寺』などと呼ばれてはいますが、人々の思いや願いを集める場所は……」
我々には厄介な場所なのですよ――と苦笑する。
けれど、その表情は、まるで私に話すことが楽しいようだ。
ますます
「混乱させてしまったようで申し訳ありません」
雷清さんは謝ると、
「わたしの目的は、この世の中を『自由に力の振るえる世界にする』ことです」
その一点に
「今はあなたに協力する方が、楽しそうだと考えています」
と答えた。どういうことだろうか?
まるで組織を裏切って『私に味方をしてくれる』と言っているように取れる。
「『
あなたが思っているよりも遥かに強力なモノなのです――と雷清さん。
鬼という種族にも、色々と種類はあるけれど、彼の興味は『強さ』にあるようだ。
「この短期間で、あなたは多くの妖精を味方につけている」
雷清さんは――素晴らしい――といった表情で私を見詰めた。
確かに叔父さんの所に相談に来る人間や妖精たちは多い。
彼らと関わることで、多くの存在と仲良くなった。
「あなたが、いつか人を憎むようになれば、それだけで多くの妖精が……」
精霊が、天使や悪魔でさえ、人類の敵になる――そう言って雷清さんは笑う。
「戦うなら強者、弱者を
そこまで言うと二人の姿は
「さあ、その人魚も助けてあげてください」
そんな言葉だけを残して、完全に気配がなくなってしまった。
ずっと気を張っていたのだろう。
優夜は『
今更ながら話を引き
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