第5話 お茶菓子、持って来やがれですぅ~♪
「お茶菓子、持って来やがれですぅ~♪」
とはルリ。姿が見えないので言いたい放題だ。
部屋の中には
中央には木製の
優夜は部屋に入ると適当に座った。私は荷物を置くと、その隣に座る。
そして、油断しているルリを捕まえようと、頭の上に手を伸ばした。
しかし、逃げられてしまう。
『ピーター』といい妖精はG並みにすばしっこいようだ。
「そんなのと一緒にしないで欲しいのですぅ~♪」
とはルリ。相変わらずフヨフヨと私の頭の上を
『小さいおっさん』の時は
その後、ピーターは
確かにルリの場合、その後、私の頭の上に乗ろうとするだろう。
それは非常に困る。
「
とルリ。どうせ、お菓子を出せば寄ってくるので、今は放って置こう。
「虫でもいるのか?」
とは優夜だ。私が上を向いて、視線を動かしていたのが気になったのだろう。
「うんん、
と首を横に振って私が答えると、それがルリだと理解したようだ。
「あまり、
と天井に向かって言ってくれた。
「は~い、なのですぅ♪」
ルリはそう答えると、今度は優夜の頭の上に乗る。
目で追っていた私は、自然に彼と目が合ってしまう。
再び、顔が真っ赤になる私。
「あ、暑いよね」
と言って
よく考えたら、ルリが一緒とはいえ、部屋に二人きりだ。
急に緊張してくる。
私が思案していると、
どうやら、
助かった――と思いつつ、残念な気がするのはなぜだろう?
私も優夜も姿勢を正す。
「やあやあ、わざわざ来てくれてありがとう」
と
どうやら、ご
その後ろには
「初めまして、白瀬白菊と言います」
今日は叔父の代理で来ました――ペコリと頭を下げる。
住職さんも――これはご
つい住職さんのお腹を見てしまったのは仕方のないことだろう。
「こんにちは、烏丸優夜です」
と優夜も
「おお、君か……大きくなったね」
と言って、優夜の肩を叩いた。どうやら、知り合いだったようだ。
「保育園に通っていた」
優夜は教えてくれる。住職さんは
「うむ、どうやら『
私と優夜、二人を見比べる。
一方、私は――『
「まだ小学生ですし、見習いですけどね」
とは優夜。私を見る。
「『
雷清さんが説明してくれた。彼の話によると、妖精を捕まえる人間や、悪いことに利用する人間もいるのだそうだ。
また私のような子供も利用できるため、狙われやすいという。
そのために『
『
そう言われると、最初に聞いたような気がする。
なあんだ、私と一緒にいるのは仕事だからか……。
ちょっと、ガッカリしてしまう。
「すみません、余計なことを言ってしまいましたか?」
雷清さんは私に謝った。
「い、いえ……教えてくれてありがとうございます」
私はお礼を言った後、『妖精の
そして、床に置いた荷物を取ろうとしたのだけれど――
「はわっ!」
「大丈夫か?」
と優夜が
「あ、ありがとう……」
私がお礼を言うと、
「ドジっ
とルリが笑った。優夜は荷物を取ると、私へと渡してくれる。
「自分で渡すんだろ?」
と優夜。そうだった。別に彼は仕方なく私と一緒に居るのではない。
私は荷物を受け取ると、
それから、叔父さんからのメッセージを伝える。
「詳しいことは、この手紙に書いてあります」
と優夜。叔父さんから受け取っていた封筒を渡す。
住職さんの代わりに雷清さんが受け取る。
「どうやら、使い方を
と住職さん。どうしたモノかと
「私、『妖精の通り道』なら分かりますよ」
と告げる。ほほう――と住職さん。
「では、教えて頂けるかな?」
そう言われたので、私は霊脈と妖精が通りそうな場所を教えた。
白い光の流れが見えるので簡単だった。
しかし、お寺に妖精とは不思議な組み合わせだ。
住職さんは私の説明を熱心に聞いてくれる。
「いやはや、助かった」
と住職さん。これで『妖精の
私としても一安心だ。
「早く帰るのでは、なかったのですか?」
とはルリ。すっかり
一方で頃合いを見計らっていたのだろうか?
「お茶とお菓子を準備しましたので、よかったら食べていってください」
と雷清さん。姿が見えないと思ったら、そんなことをしていたのか。
「フム、ご苦労なのですぅ♪」
ルリは
先程の部屋に戻ると、きちんと三人分のお茶とお菓子が用意されていた。
はて、ルリのことは説明しただろうか? 私が首を
「今日はちゃんと出来たな」
と優夜――かっこよかったよ――と私の肩をポンと叩いた。
そうか、私、ちゃんと出来たんだ。
放って置くとルリが三人分のお菓子を食べてしまいそうだ。
早く食べよう――と優夜を
用意されていたのは駅の通りにあるお店『
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