この世に未練や悔いを残して亡くなった霊の、その成仏の手助けをしてあげる〈悔恨屋〉のお話。
とても優しいお話でした。
綺麗で暖かくて、ほんのり切ない後味がとても魅力的。
本当に「いい話」という形容のピッタリくる、落ち着いた手触りの現代ファンタジー掌編です。
印象深いのは主人公たる〈悔恨屋〉、幻斗さんの設定。
陰陽師の血筋で、霊が見えるし会話もできる青年。
他にも人知れずいろいろ解決していそう……というか、実際にいろんな霊の成仏を手伝ってきたことが作中で匂わされています。
本作自体は優しいお話だったのですけれど、過去の事例には荒っぽいこともあったようで、彼のいろいろな活躍に関して、つい想像が膨らんでしまいます。
きっとさまざまな霊をさまざまな方法で成仏させてきた彼の、たぶん特に優しくて甘酸っぱいであろう一案件。
ホッとできる読み味が嬉しい作品でした。