有名人、サーニャ
「もし良ければ一緒にイベントに参加しませんか?今回はチーム戦オッケーって書いていますし、ゲームに参加している間はイリヤさんも手出しできないはずです・・・、どうでしょう?」
「それ凄く良いです!ご迷惑でなければ、ぜひお願いします!」
胸の前で両手を握りしめ、キラキラした目でサーニャはそう答えた。
それからは会場までの道のりにある観光名所や前を通った屋台に売っているオススメの郷土料理を一緒に食べ、風船で動物を作るショーを見たりしていると会場に着いた。
会場に着き受付で名前を記入すると、受付の人がサーニャを見て驚いている。
サーニャははニコリと笑い「よろしくお願いします」と言うと、受付の人は横にいる泰一をジロッと見た。怖い。
パンフレットを貰い手続きを終えて中に入ると、会場には物凄い人だかりが出来ている。コロッセオのような球場の会場のいたるところに人、人、人。座席が予め指定されているので、指定された場所を探しているとどこからともなく「あれってサーニャさんじゃないか…」「え、あの、騎士団長の妹さん?」「たぶんそうだと思うけど・・・」とヒソヒソ声が聞こえてくる。
「あ、タイチさんありましたよ!」
席を見つけてくれたサーニャにお礼を言うとさっきの人たちからは「何者だあの人・・・」と不審な目で見られる。
「どうかしました?」
サーニャは聞こえてくる会話に気づいていないのか首を傾げている。
「・・・いやなんでもないです。行きましょう」
何もなければ良いかと泰一は先に促した。席についてサーニャと話していると、恰幅の良い男性に声をかけられた。
「サーニャ!こんなところでデートかい?」
「み、ミハエルさん!違います!友達です!」
「ほう・・・?男の友達なんて騎士団長様が聞いたらなんというやら」
そういう男性はニヤニヤしながらも、泰一に「ミハエル・カイーリャだ。よろしく」と手を伸ばしてきたので応じるように握手をして名乗った。
この国の者ではないと知ると「サーニャが異国の人と友達・・・?」と不思議そうにしている。
「たまたま縁があってね・・・」
「ほう・・・?」
不審な目をしているが、サーニャが「もうあっちいってよ!」と真っ赤な顔でいうと「はいはい」と言いながら遠ざかっていった。
「すみません・・・」
「いや、謝ることはないですよ。それにしても騎士団長の妹さんだったとは・・・」
「え、あ、あの・・・?」
隠していたことが駄目なことだったかとサーニャは青い顔をしている。泰一はその顔に内心くすっと笑いながらも表情に出さずに真剣な顔をする。
「見つかったら殴られそう・・・」
悲壮に満ちた顔をしていると、サーニャは揶揄われていることがわからなかったのか、両手で拳を作り、「そんなことしたら兄のことを私が殴りますっ!」と言った。
勢いの良さに思わず笑うと、サーニャも笑いつつ顔を赤らめている。
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