4.
だからさ、兄貴。
教えてくれよ。
あいつは何で人混みでああなったんだ。
蓮は死んだ兄に助けを求める以外思いつかず、兄の遺品を漁っていた。無駄なのはわかっている。一番ヒントのありそうなのは兄の日記だが、それはそれで、兄からの信頼を失くす気がして、開けずにいるのだった。
あのブルーサファイアを描きたい。ほぼ断られたようなものだが、秋のコンクールに間に合うかもわからない。それなのに、蓮は水無月の容姿に魅入られていた。わかっている。柊の弟だから、蓮を拒絶しきれないだけで、水無月はいつも、人を拒絶している。
嫌いなのは人間だと言った。でも、それなら学校でも、起こりうるはずだ。なぜ、水無月はあの人混みで、そして入学直後の体育教師との接触で、ああなったのだろうか。
兄の言葉を想像してみても、蓮には答えなどなく、ただ水無月悠は理解の範疇を越えていることだけがわかるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます