アトラクションな床

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 私はとある遊園地にやってきていた。


 この遊園地には変わったアトラクションがいっぱいあるらしい。


 噂を聞いて興味を持ったので、わざわざ遠くからやってきたのだ。


 実際は想像より良くない事ってあるけど、この遊園地はどうだろう。


 とにかく行ってみて、この目で見てみよう。


 それで、はるばるやってきた遊園地は、やっぱり変わったものがたくさんあった。


 特に床のアトラクションとかいうものに目をひかれた。


 床のアトラクション?


 想像できない。


 一体何なんだろう。


 興味をひかれた私は、そのアトラクションを楽しんでみる事にした。






 係員の案内に従って、大きな家の中に入っていく。


 そこは一本道で、延々と床が伸びているだけの場所だった。


 最初の床は普通だった。


 説明された通り、まっすぐのびていて、フローリングだから歩きやすい。


 二番目の床は畳だった。


 新しい畳特有の匂いがする。


 なんだか少し心が落ち着いた。


 抹茶とかお茶菓子とか用意して、ここで落ち着きたいかも。


 三番目の床は、石のでっぱりがところどころあった。


 足つぼマッサージ?


 の床なのかもしれない。


 足の底が痛くなった。


 ちょっと健康的になった、のかな?


 四番目の床は傾いていた。


 歩くのにすごく苦労する。


 腰が痛くなりそうだった。


 五番目の床は粘着シート(弱)が敷きつけられていた。


 駆除される虫になった気分だ。


 すごく歩きづらくて、つんのめりそうになった事もある。






 それからも様々な床を体験して、最後まで歩ききり、出口を出た。


 係員の人が「楽しんでいただけましたか?」と言って来たので、私は頷く。


 特に百番目のなかなか終わらない床は見た事がない床だった。


「とても楽しかった」と伝えた声は、なぜか老婆の様にしわがれていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アトラクションな床 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ