第12話

「霧夜!3ヶ月ぶりだな。それで電話でなんてどうした?」

霧夜宅のリビングに、カメラの設置を許されている冬也は、電話を受け取ってから直ぐに視認転移でやって来た。


「ああ、それなんだがな・・・」

霧夜は先ほどのやり取りを冬也に説明する。


「成る程な。確かにここ最近、何か違和感を感じていたんだが、重婚が違法だなんて今の話を聞くまで、すっかり頭から抜けてたぜ。確かに3ヶ月で10人は可笑しなペースだから、もっと前からのはずだな。」


「ああ、俺が勘づいたのは俺達が地球を離れていたせいかもな。もしくはこのタイミングで気づかされたかだな。」


「んー、この世界で至高の存在である《帝王》を、精神系で侵すことは考えにくいんだが・・・。それで、俺を呼んだって事は何かすれば良いんだろう?」


「おう、悪いんだが、この神藤裕介ってのを洗って欲しい。大人気って書いてあるが、俺はそもそもコイツを知らん。それもおかしな事だと思っている。」


「お前、本当に知らないのか?絶大な人気を誇るギターリストであり、投資家、更に

飲食店、不動産、ハウスメーカー等を手掛ける超有名人だぞ!ちなみに東帝大主席卒の天才だ。」


「はぁー?人生何周目だよそいつは!って言いたくなるほど有能過ぎるじゃねえか!そんな冗談みたいな奴を俺が知らないなんて、やっぱり何かあるな。」


「更に子供達も優秀だ。弁護士、医者、教授、警察のエリート、政治家、歌手、モデル、芸術家、等など。変わり種だと日本最高峰の泡姫なんてのもいる。もっとも、血が繋がっているのは三分の一と行ったところらしいが。」


「そりゃあどういう事だ?」


「ああ、養子だよ養子!不慮の事故で身内の亡くなった子供や、育児放棄や虐待する親の子供、産みはしたが、色々な理由で育てられない赤子、などを引き取り養子に迎え、自ら施設を作って大事に育ててたみたいだ。」


「へぇ、立派な事で。でも実の子では無いから、自分の家で一緒に住まなかったんだな。所詮は偽善か。ただまあそこまで知れ渡っているなら、情報を集めるのは楽そうだな!」


「ああ、今からすぐに、凄腕のハッカーを使って探らせるぜ。取り敢えず裕介本人と、モデルの美香辺りだな。HPやSNSなんかで、すぐに特定できるだろ。」


さて、じゃあ早速動き始めるかと冬也が腰を上げた瞬間、

「あれ?この反応は霧夜だよね?帰ってきたのね!ちょっと大変なことが起きてるの!今から行くわね!」

と念話が届いたのであった。


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