第11話
霧夜達が地球に帰還したときにやることは、まずはあらゆる物の情報集めである。
ある程度の事は、仲間たちがやってくれてはいるが、自分達(特に霧夜は)の目で耳で確かめることを怠らない。当然新聞や雑誌も読む。そして新聞を読み始めるかと一面を覗いた瞬間目を疑う。何故ならそこには
『大人気ビジュアル系バンド【Divine-Evil】のギターリスト兼、実業家の神藤裕介氏が10人目の嫁との結婚発表!なお女性の素性は明かさない模様!』
と、裕介の姿と共にでかでかとかいてあるからである。
「ほうこの男、いや男なのか?随分と美しくも可愛らしい、何とも形容しがたい顔をしておるのう。天使と言うか何というか。んでどうしたのじゃご主人よ、そんなに難しい顔をして。」
「いやソラハ、この国、日本はいつから一夫多妻になったのかと思ってな。」
「嫌ですわ旦那様、ご自分がそうではありませんか!」と、答えるはクリエ。
「いや、そうだけどそうじゃない。俺達の場合は広範囲の精神阻害と、認識阻害の両方を、常に発動している状態だ。だから役所でもお前達の身分証発行や、出生届の受理もして貰えている。だが、本来日本において重婚は法律違反なはずだ!」
うんうんと頷くのは、同じ日本人の恭子と茉梨花。
「そうよね、自分達が余りにも自然に過ごしていたから忘れてたわ。じゃあこの3ヶ月間で法律が変わったのかしら?」
どことなくあざとい仕草で言う恭子。
「それにしてはペースが早すぎないかしら?3ヶ月で10人よ!」
冷静な返しは茉梨花。
「へー、そうなんですね。ネシアラでは一夫多妻は当たり前でしたから、ここでもそうなのかと思ってました。」
「ああ、獣王に30人の妃がいるのを見ているからな、メルがそう思うのも仕方ない。俺も説明していなかったのが悪いけどな。」
「ではご主人よ、何か問題が起きていると見て間違いないのじゃな?帰還してきたときも何か感じていた様じゃし。」
「ああ、さっきは何て言うか、ゲートを潜った瞬間に、首筋にチリッと感じたんだ。ごく僅かな物だったので気のせいかと思っていたのだが。だが、その事と関係があるとは限らない、取り敢えず冬也に連絡してみるか。」
「ええ、そうですね、人間の中では旦那様の次に強く、能力も申し分ないですし。」
「よし、早速電話するか。」
「えっ?電話ですか?念話でなくて?」
「ああ、もしかしたら魔素に関係があるかも知れないから念の為だ。俺は電波系は感知されないし。」
そうして冬也は親友であり、主である霧夜宅に向かうのであった。
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