Honorable Delegates, please come to order!

@oh_shu

Lobbying

 ずっと、これじゃない何かを探していた。どうにも私の求めているものから僅かにずれている気もした。でも巨視的にははまっているのだから、私はこの世界でこの僅かなズレと肩を組んで歩いていくしかないと思っていた。もしかしすると今もそうなのかもしれない。

 元々責任感の強い性格で、小学校の頃から学校の代表などを任されて生きてきた。当然のように中高と生徒会役員になり、それなりに忙しく、その忙しさを楽しむ日々を送ってきた。

 しかし、それはどうにも、画面から出てこない景色のようだった。確かに精彩ではある。鮮やかでもある。でも、その画面を見た感動は肉眼のそれには及ばない。このぼやけきった目にそのまま映るような、そんな活動はないだろうかと。日々の忙しさはこの渇望のジョッキを揺らし、その水位を部分的に上げ続けることでなんとか高水準を取り繕っていた。しかし私は、そのジョッキが揺れていることに実はどこかで気づいていたのだろう。


 私が今見ているものは、限りなくぼやけている。その影は曖昧で、その姿を見ることは未だ叶っていない。だが、これは肉眼の景色である。画面上で繰り広げられたものではない。今まさしく、私が見ようとして見ている景色なのだ。私にはそれだけで十分だった。

 もしかしたらこの景色も、実は肉眼の景色を8Kの画面に映したものだったのかもしれない。でも、今はわからない。ならば少なくともこの景色を見続けるより他はない。座っているにしては強すぎる心臓の鼓動は、徹夜するでもなく飲んでしまったモンスターのせいだ。何世代も前の型落ちしたMacBook Air と、既に半分ほど飲んでしまったエナジードリンクの500ml缶と、褪せたピンク色のデータブック・オブ・ザ・ワールドと、プラカードのあるこの景色を、私はもう何度見たのだろうか。


 まだ静まらない部屋の片隅でゆっくりと目を閉じ、深呼吸して目を開けたら、前の方からはきっとこう叫び声がマイクに乗って聞こえてくるはずだ。

"Honorable Delegates, please come to order!"

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