悲しいのに、美しくて優しい世界

北海道、札幌が舞台の数奇な運命を背負った男女の物語
超能力が発見された世界で、過去にあった経験から人を殺すことにためらいがなく、特殊な能力を使いこなす金井
弟を守ることができなかった後悔を抱え、警察を憎む洋平
父親に放置され、愛情に飢えた美咲
それぞれの物語が少しずつ重なり合って、共に暮らし、別れて、それぞれの信念に突き進む姿が描かれます
主人公同士や過去に登場したキャラクターたちが出会う様子が熱い
物語を面白くするのに不可欠な完璧な超人キャラが金井と見せかけて彼だけではなかったと判明するのも特殊設定をうまく活かしていて感心してしまいました
生活感があってリアルなのに、美しく余計なものがない文体が世界観にも合っていて、どんどん引き込まれていきました
金井が一部始終見守っているのが、薄情なんだかお人よしなんだかわからないのがいいですね