吾輩は犬である。名前はジョン・ジョージ・エドワード・アームストロング・ムスカディ・エルゴーロード・カイマンデイ・ムッチャラパーナム・ウンチャラカンチャラ・テケレッツノパー・エルリックロイ・ラ(以下略)
第➃わん! ~プロローグの定義とわ?なのである~
第➃わん! ~プロローグの定義とわ?なのである~
本日……。
『ふぅ、今日はイマイチだ。そしてマナのノリが甘いようだ……。どれ、明日にしよう』
後日……。
『うむ、今日もマナが練れない。言葉を発せないからだろうか?』
その後日……。
『今日は気分転換に気になっていた「水が出る山」を見てみるとしよう』
この頃になると彼の者はだいぶ足腰に力が入るようになり、這うと言うよりは
まぁ、ぷるぷると震えているのでヨッパライではないが「千鳥足」と言うヤツだ。
彼の者は魔術が上手く使えない事から、気晴らしと気分転換も兼ねて自分が居座っている、柔らかい地面を練り歩いていた。更には自分の前にある少しだけ甘い水の出る、小高い山のような物体を散策する事にしたのである。
周囲には自分とさほど大きさの変わらない、眠っている魔獣の姿も散見される。しかしそれらと意思疎通は出来ないと思っているから、それらは無視して練り歩いていく。
ぷるぷると震える足に鞭を打ち、あっちへフラフラこっちへフラフラと練り歩く事10分は経ったであろう頃、小高い山の左側面へと到達した彼の者は驚愕に至る。
『これはッ!?この小高い山は魔獣であったか!?では、あの少しだけ甘い水は……、まさかッ!この魔獣の乳なのか?!』
『だが、この魔獣、見た事もない種に思える。遥か東の大陸にいると言われる、
『よしッ!この魔獣に直に聞いてくれる!「お前は何者だ!」と!!』
彼の者は一人で騒いでいた。本人は心の中で呟いていたと思っていたが、その声は「はっきりとした声」としてダダ漏れていたのだ。
“騒々しいな、我が子よ。
『我が子だと?吾輩はヒト種である!魔獣として産まれた事などないぞ!』
“何を世迷い言を!そなたは
『どうなっておる?吾輩はヒトである時の記憶もある。だが、ここにいる魔獣は吾輩の母親だと言う。何故だ?何が起きている?しか~しッ!しかししかし、今は聞かねばならぬ事を聞くのが先だ!!』
『そなたに聞きたい!そなたは魔獣であろう?そなたはどんな魔獣なのだ?』
“
『答えてやるといいながら、「
“ふわあぁぁぁぁ。これから
彼の者と母親との会話はそれで終わった。彼の者は怒りに震えながらも自分の居場所へと戻っていく。だが、その足取りも震えていたのは言うまでもない。
『何故だ?何故、マナが練れない!何故、魔術が使えない!』
母親との邂逅から1週間余りが更に過ぎた。その間に彼の者がしてきた事は……と言うと、筋トレ→授乳→魔術訓練→筋トレ……とそれらの
ただ筋トレと言っても腹筋や背筋を鍛える普通の筋トレではない。それは突然且つ唐突に、加えて容赦無く襲ってくる兄弟(?)達からの
だが、そのお陰もあって足腰はしっかりとしてきていた。だからこそ歩くとしても以前のような
そして当然の事ながら、
その結果、腹も減る。兄弟(?)達は腹が満たされるとそのまま眠りについていくが、そうなると平和になった彼の者の魔術訓練が始まるのだ。
だが、練習しても練習しても、一向にマナを練る事は出来なかったのだ。
そうこうしている内に、兄弟(?)達は再び眠りから醒め、再び
そんな
そんな事をしている内に時間は刻々と流れ、彼の者がこの地で意識を取り戻してから1ヶ月が経った頃、異変が生じた。
『な、なんだ?口が、口が痒い!!』
そう、乳歯が生えかかっていたのである。だが、彼の者は前足で口の中の違和感を探ろうにも手では無い為自由が利かない。
違和感を探る事の出来ない
魔術が使えないもどかしさと、口が痒い不快感。それらによるイライラ。
それらが溜まりに溜まった挙句、いつも通りに襲い掛かって来た兄弟(?)達へと、文字通り生えかかってきていた牙を立てたのである。
きゃんッ!
兄弟(?)が上げた鳴き声を聞いた母親は驚きながら顔を
“ポチ!何をしている!何故、兄弟に向けて牙を立てた?!”
『ポチ?吾輩に向けて言っているのか?吾輩の名前は「ジョン・ジョージ・エドワード・アームストロング・ムスカディ・エルゴーロード・カイマンデイ・ムッチャラパーナム・ウンチャラカンチャラ・テケレッツノパー・エルリックロイ・ラキライキライライラック・デーンナンダム・ミピッピピッピッピ・ハイラキュース32世・ハールーンウォーロード・エ・ラ・アーステルダム2世」である!』
“ポチ!いいから聞きなさい!”
『だから、吾輩の名前は、「ジョン・ジョージ・エドワード・アー」』
“やかましい!!いいこと!そなたの名前は「ポチ」!分かったわね?ポチ!!”
『吾輩の名前は………はい、ポチです』
彼の者改め、ジョン(以下略)改めポチは母親に睨まれ、渋々「ポチ」となったのであった。
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