解説

 このストーリーは、「叙述じょじゅつトリック」という技法が使われています。叙述トリックとは、読者の先入観や常識的な解釈を利用し、文章中に重要な情報をたくみに隠すことにより、読者をミスリード(誤った解釈へ誘導)した上で、最後の最後で真実を明かす、すなわち読者をだます技法です。真実を理解した上で、最初からもう1回読むと、巧妙に騙されていることに気付きます。


■第1話「AM」

 登場人物は新婦の「」です。母親を連想してもらうよう、ミスリードしています。日頃「ゆるふわの巻き髪」なんてしている父親なんて、誰が想像するでしょうか?


■第2話「正午」

 三人称を使い、ネタバレしないように注意して書きました。するどい読者は、この時点で、第1話が父親の描写であることに気付くと思います。

拝 大五郎おがみだいごろう」は昭和時代の漫画『子連れ狼』シリーズに登場する子役です。髪型がユニークなことから、当時話題にはなりましたが、その髪型を真似まねる男子はほぼ皆無だったそうです。


■第3話「PM」

 花嫁の一人称で書きました。第1話と第2話に登場する人物が、自分の父親であることがあばかれます。また、一番最後にオチを入れてみました。花嫁の母親が登場しなかった理由です。新婦の父親(母にとっては配偶者=夫)の髪型を見たとき、あまりにも恥ずかしくて、挙式への出席を見送り、失踪しっそうしてしまったのです。


 以上、現実にこのようなことが起こることはないと思いますが、2002年の日韓ワールドカップサッカー決勝戦(ドイツ対ブラジル)において、ロナウド(ブラジル)が「大五郎カット」で登場し、プレイしました。決勝で2ゴールを決めたロナウドは、後にこうコメントしています。

「あれ(大五郎カット)はひどかった!世界の子供たちが(自分と)同じ髪形になってしまった全てのお母さんたちに謝るよ」

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な、な、涙(たみだ)のバージンロード 叙述トリック大好きギャル…満74歳現役女 @tata_tata

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