ダイヤモンドが降る星 💎

上月くるを

ダイヤモンドが降る星 💎




 は~い、こんにちわ。

 あたし、フロックス。


 春から秋にかけて紅色や白、水色、紫の小さな花を咲かせる耐寒性の宿根草しゅくこんそうよ。

 ふとしたご縁で、某量販店の苗売り場からオバサンちの玄関先に運ばれて来たの。


 それにしても、ご縁ってふしぎ、眼科の定期検診が早めに終わらなかったら、いまにも雨が降り出しそうでなかったら、量販店などスルーされていたんだから。(笑)




      🌺




 ところで、うちら宿根草って、なんか重たいイメージのネーミングだと思わない?

 ひとたび根を降ろしたら半永久的に居座ります、梃子でも枯れません、みたいな。


 いまさらだけど植物には一年草と多年草とがあって、宿根草は後者の一種だけど、冬になると地上部分は枯れて地下の根だけ生き延び、翌春芽を出すという意味なの。


 だから、初老のオバサン、いやあね、育て主自身が生に執着しているみたいで……なんて妙にこだわっていたけど、そういうことだから(はあ?💦)全然OK(笑)。




      🌞




 ここだけの話、オバサンって凝り過ぎのところがあるでしょう、水のやり過ぎで、去年の秋から丹精してきた多年草のパンジーを根腐れさせちゃったみたいなのよね。


 で、さびしくなったプランター用にあたしに白羽の矢が当たったっていうしだい。

 根腐れの心配? 大丈夫だと思うわよ、宿根草の育て方を熱心に調べていたから。


 古い土に細菌がいるといけないと、培養土も総入れ替えしてくれたし、もちろん、プランターもよく天日干ししてくれたから、気持ちよく快適に根を張れているわよ。



 

      💎




 あら、また雨が降り出したみたいね、植え替えられたばかりの身には恵みの雨ね。地球と同じ太陽系の海王星ではダイヤモンドが降るそうだけど……痛くない?💦


 あたし、穏やかな水の雨が降ってくれる地球に生まれて本当にラッキーだったわ。

 それに、まあ内実はいろいろあるみたいだけど、大方の人間は植物にやさしいし。


 想像もつかないほど広大な宇宙には、地球と同様に生物が住んでいる可能性のある星があるかも知れないという話だけど、そこにも、一年草と多年草があるのかしら。


 そして、人間社会と同じように宇宙人社会があって、宇宙人性だの宇宙人味だのが問われたり、保育園や学校や職場の宇宙人関係に悩んだりなんかしているのかしら。


 夜空の星を眺めながら、そんな思いをめぐらせてみるのもわるくないんじゃない?

 そういえば、あのぼうっと霞んだすばる、室町時代に発した光だなんて、ふしぎね!




      🌌




 そうそう、なんでも理屈づけるのは好きじゃないけど、ちょっとオモシロいから、あたしの花言葉ご紹介しておくわね――あなたの望みを受けます――いや~ん。💓





     *参考文献:渡部潤一監修『そうだいすぎて気がとおくなる宇宙の図鑑』

                            (2019年西東社)

 

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