第4話
〜ヴァルハラとは〜
現代科学では解明が難しい現象や未知の脅威に対抗する為に国際連合の一団体として組織された。
国籍人種問わず世界中から協力者が集まっており、一般的には秘匿されている超常エネルギーである"魔力"を元に先進国よりも遥かに進んだテクノロジーを持つ。
そのテクノロジーで開発された武装を持つ実戦部隊とそれらをサポートする科学部門がメイン。
実戦部隊の中でも魔力を発現出来、更に独自の能力を発現した者は幹部候補として部隊の中核を担っている。
世界中の防衛をカバーするため、
アジア(日本)
ユーラシア(中国)
アメリカ
ロシア
ヨーロッパ
に拠点が存在する。
一般的には国連直属の戦争犯罪を取り締まる機関として知られる。
英吾「これがヴァルハラだ。何となく解ったか?」
軍用ヘリコプターの座席に座る流星に書類を渡した英吾が笑い掛ける。
流星「つまり世界中で知られてる国連の団体は仮初で実際はDEMAみたいな脅威と闘うのが本来の役割って事だろ」
英吾「おー!完璧に理解してるじゃん」
流星「で、俺がその魔力の才能があるからそれを確かめる為に連れてかれてると」
ジュン「その通りだ。生憎こちらも人材不足だから1人でも戦力になるなら欲しい」
流星「まだ協力するなんて言ってないぞ」
英吾「自分のことをちゃんと知ったら絶対協力する気になるって!」
そう言って肩をバンと叩く。
「あと2分で着陸します!」
操縦士からのアナウンスで前を見るとそこには渋谷のビル群が聳え立っている。
流星「こんな所に国連の組織が?」
英吾「渋谷はここ最近都市開発が多かったろ。それはあくまで表向き。実際はこの地下にヴァルハラの日本支部を建設する為だったんだ。」
ヘリコプターは渋谷の複合商業ビルであるスクランブルスクエアの屋上へリポートに上陸した。
ジュン「このビルの地下が入り口の一つになっているんだ。」
ヘリポート直ぐの関係者専用と書かれたエレベーターに乗り込む。
エレベーターは乗っている体感でも相当な速さで下降しているのが分かる。
チン!
しばらくするとエレベーターが停止して扉が開いた。
「ようこそヴァルハラへ」
そこは今自分がいるのが地下という事が信じられない程巨大な空間だった。
吹き抜けに幾重も重なったフロアとそれぞれを繋ぐ通路とエレベーターが網目の様に張り巡らされていた。
流星「信じられない。ここまで大きい基地が渋谷の地下にあったなんて」
英吾「国連の力って半端ないよな。人知れずこんな物作っちまうんだから」
ジュン「東京には数多くの地下鉄路線が走っているが、その全てが丁度通っていない為ここに建設が決まったらしい」
エスカレーターでどんどん下へと向かっていく。
15階層程下まで降りると吹き抜けではなくようやく広い司令室に降りた。
英吾「ここがヴァルハラ日本支部の総司令室だ。日本全国のDEMAだけじゃなく、異常現象やテロ活動を全てモニタリングしてる」
奥から細身でスーツ姿のイギリス人がこちらにツカツカと歩いてきた。
「おかえりなさい。彼が報告にあった新しい発現者だね?」
英吾「そうです。偶然にも総括がいらっしゃる時に連れて来られるとは幸いでした。」
スーツ姿の男は流星の方を向き直り数秒観察した。
「ふぅむ」
白髪混じりの紙をオールバックにしており外人特有の彫りの深い顔立ちだ。
流星(40代か?それにしても何だよ人の事ジロジロ)
「私は48歳だよ流星君。あとジロジロ見てすまない」
流星「なっ!人が考えてた事を」
男はニコッと笑って姿勢を正した。
「初めまして霧谷流星君。私はパトリック・マクラーレン。世界中のヴァルハラの総括をしています。」
流星「さっきポロッと言ってた発現者って俺の事ですか?人を何か実験台にでもしようって腹なら・・・」
ゾワァァァ!!
流星の身体からエネルギーが勢い良く湧き上がってきた。
パトリック「これは想像異常でしたね」
流星がハッと気がつくと周囲の人達が皆此方を注目している。
英吾(こりゃすげえな。ちょっと放出しただけで身動きが取れなかった。)
ジュン(・・・!)
流星「こ、これは。その昔から怒るとたまにこういう事が起きて」
パトリック「大丈夫です。私達はその力についての専門家とも言えます。彼等の戦いをさっき見ていれば分かるとは思いますが。」
パトリックは司令室の一人に向き直り
「私達4人を訓練室へ案内してください!一番大きな場所でお願いします。」
「はっ!こちらへご案内致します」
パトリック「その力の正体と我々についてちゃんとお話します。」
〜大訓練室〜
司令室から暫く歩くと巨大な体育館の様な空間に辿り着いた。
流星「ちょっと広過ぎないかここ・・・」
英吾「驚くのも無理はない。広さでいえば丁度東京ドームの2個分くらいはある。体育館って考えたら世界中探しても中々この広さは無いだろうな」
ジュン「俺達の力を訓練するならこれくらいは無いと思う存分出来ないんでな」
パトリック「流星君!君の力についてここで実践を含めて説明します。」
〜パトリックの説明魔力とは〜
まず貴方含め我々の超人的な力は全て"魔力"と呼ばれる物です。
魔法や魔力なんて存在は科学的にあり得ないと言われているかもしれませんが、実は多くの人類が知らない所で魔力は存在し、権力者らがそれを巡って争った事もあります。
魔力とは電力等とは異なるエネルギーであり、主に人を源として発生するエネルギーです。
魔力の基本的な使い方は
放出
肉体強化
の2つがあります。
放出は自分の体内から魔力を外側に出して纏う事です。
先程流星君が無意識な感情と共に魔力が出ていましたが、まさにそれです。
放出した魔力は武器に纏わせたり、個々の能力に使ったりします。その為最も基本的な機能と言えるでしょう。
肉体強化はその名の通り魔力で肉体を超人的に強化します。
人より早く走れたり高く飛べたり、戦闘でも腕力などを強くする事が出来ます。
流星君もあの学校の現場でDEMAを肉弾戦で倒したり出来たでしょう。
あれも無意識に魔力で肉体強化を行った結果です。
肉体強化の度合いや向き不向きは人によって様々ですが、熟練の方はこれ一本で敵と戦っている人もいますよ。
そして最後にもう一つ。魔力が使える者でも特別な者だけが発現するのが
異能
です。異能とは人それぞれ異なる特殊能力で魔力を使って発現します。
先の戦闘で足立さんやジュン君が使ってタンクタイプを倒したのが異能です。
こればっかりは人によって異なるのでどんな能力かはまだ説明出来ませんが、我々が見るに流星君は発現者の素質があります。
パトリック「発現者を世界中から探し出して保護、協力を求めるのがヴァルハラの役割なのです。その力はテロリストや人類を脅かす敵に対して正しく振るう必要があるからです」
流星「俺は昔から自分がおかしいとずっと思ってきた。本当は友達と一緒に居てはいけないんじゃないかって」
パトリック「それは力の使い方を正しく知れば概ね解決すると私達は思っています。魔力を発現した人達は皆、周りとの違いに苦しみ時に暴走してしまう人もいるからです。そんな人をこれ以上出したくは無い。だから協力してもらう代わりに私達も力の使い方を教えます。」
流星の頭には春樹や理沙達の顔が思い浮かぶ。DEMAが攻めてきた時、自分にもっと力があれば皆を守れた。
力があるはずなのに使えない程歯痒い事は無いじゃないか!
流星「貴方達に協力します!その代わり力の使い方はしっかり教えてもらう!」
パトリック「勿論そのつもりです!」
そう言ってパンパンと手を叩いた。
「魔力の使い方の理論をいくら説明してもこればっかりは実践に勝るものはありません。」
訓練室に英吾とジュンが距離を空けて向き合っている。
英吾「まさか総括。この為に俺達もこんな所まで連れて来たんですか」
英語はニヤッと笑いながら言った。
パトリック「一度まずは魔力同士の闘いを目の前で見てもらいましょう。武器の仕様は許可しますが勿論峰打ちだしどちらかが死亡って事は駄目ですからね」
流星(魔力同士の闘い!さっきも信じられないパワーだったけどどうなるんだ?)
英吾「りょーかいっ!ジュン。久しぶりに相手するからって秒で終わるなよ?」
英吾は背中の大剣を抜いて構えた。
ジュン「そういうの新人の前で言っておいて後で恥かきますよ?」
そう言って左右のホルスターからガンブレードを2丁抜いて英語に向ける。
パトリック「では。はじめ!」
神殺のダモクレス ぷうたりあん @daikiki40
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