隣人〜二人の秘密〜(仮)

空 白、そして…

「弘渡君、どうしたんだろうね？」

「えっ？あ、うん…そうだね…」

《本当…どうしたんだろう？部屋にもいなかったもんな…》

それから一ヶ月が過ぎ――――

「何してんだ？お前、人の部屋のドアの前で」

ドキッ

「弘渡…」

「ほら！そこどけよ！」

「…良かったーーっ！」

ドアの前から退く私。

「えっ？」

鍵を開ける弘渡。

「だって急に学校来なくなって…部屋にもいないし…私…」

「何？死んだとでも思ったのか？」

「いや、引っ越したのかな？って…転校したとしても、先生は、何も言わないし…私…すっごく心配で仕方なくて……どうしたんだろう？って…いっつも気になって…いつもずっと待って……」

「…えっ？」

「…あっ…いや…」

「入りな。話してやるよ。俺がいなかった２ヶ月間の事」

私は弘渡の部屋に入る。

《弘渡の部屋…そういえば初めて…》

《ヤバイ…急に緊張してきた…》

「お前、部屋に入るの初めてだな」

ドキッ

「あ…うん…」

「俺、本当の友達とか特別じゃねー限り人を部屋に入れないんだよなー。運のイイ奴！彼女でも何でもねーのに」

「だったら玄関でも…」

頭をポンとした。

ドキッ

《私…やっぱり…弘渡の事…好きになってたんだ》

いつからだろう？

会えなくなって

急に来なくなった期間

すごく淋しいと感じた

もしかすると

その前から私……

「長くなりそうな話を普通、玄関でするか？」

「…それは…」

弘渡は、２ヶ月間の話をしてくれた。

どうやら母親が倒れたらしく、精密検査を受け今後の為、他の悪い所なども診てもらい、しばらく入院となり家事など、父親が出来ないのもあり、弘渡がしていたという。

今は無事に元気に退院をし、父親に協力をするように頼んできたという。

「そうだったんだ」

「で？」

「えっ？」

「お前、マジ馬鹿みてーに待ってたの？」

「…あ、いや…違う、違う！そんなわけないじゃん！」

「………………」

「じゃあ、部屋に戻りまーーす。お邪魔しましたーー」

グイッと腕を掴み引き止めた。

ドキッ

「…ひろ……」

キスされた。

ドキーーン

「もう受け身は懲り懲り。俺は…お前が好きだけど…和華奈は、どうなの？正直に言って欲しい」

「…弘渡…」

「お前と離れて会えなくなって、“元気してるかな？”とか、“相変わらずジャージで毎日過ごしてんのかな？”とか“大丈夫かな？”とか…気付いたらお前の事ばっかで、お前が心にいた」

「………………」

「ハッキリしないなら、返事はすぐにとは言わないけど…」

私は首を左右に振る。

「和華奈？」

「…私も…好き…」

「えっ？」

「弘渡が好き…っ！」

キスをされた。

「ヤッタ！改めてよろしくな！和華奈」

「う、うん」

〜　Ｅ Ｎ Ｄ　〜