ー私の名前ー

…………て

ねぇ…き…

ねぇ起きてってば!


(んん...)

眠い目を擦りながら顔を上げると、

友達の【なつめ】と目が合った。


なつめ「全く…授業終わったよ?何回も言ってるけど、授業中に寝るんじゃなくて夜に寝なよ」


 …  「良いじゃん授業中寝てたってどうせ真面目に聞いたとこで将来どこで使うか分かんないし」


なつめ「そうだけど、テストの点数あげるにはちゃんと聞いておかないとだよ」


…「聞いても聞いてなくても低いから大丈夫だよ」


なつめ「どこが大丈夫なの、はぁ…どうしたら真面目になってくれるのかな…」


…「なつめがどう頑張っても私は真面目にはなれないしなろうと思ってない」


なつめ「はいはいじゃあ、もうすぐHR始まるからせめてそこは起きといて。」


...「今のって今日受ける最後の授業だったっけ?」


なつめ「…そうだよ」


なつめがため息をついて、呆れたような目で見てくる。これもいつものことだ。なんでこんな私と関わってくれるか謎でしかない。


私達は高校1年生で、なつめは私の唯一の友達。頭が良くて運動神経も抜群。見た目も二重で髪が少し長めで笑うとすごく可愛い。まさに理想の女の子。まあ強いて言うなら料理は下手かな。前になつめの家にお邪魔した時、手料理を振る舞ってくれると言っていたが不器用すぎて終始気が気でなかった。包丁と指が近すぎて切り落とすんじゃないかって思ったし、肉を水から煮ようとするし…。最終的に食べられる物を作れたから良かったけど。でもそれも愛嬌として見られるほど駄目な所がない。

ましてや私は、さっきの会話で分かるように頭は良くない。運動は良い方ではあるがそれしかマシと思えるところがない。顔もなつめの横に立てば完全に引き立て役だ。一重だし。でもなつめは、「切れ長でかっこいい」と言ってくれる。後なつめが褒めてくれたところは髪かな。黒が強めのストレート。なつめの髪も私と変わらない気がするけど。

こうやって比較してみると、本当に何でなつみは私と友達でいてくれるのだろう。なつみは入学してから割とすぐに話しかけてくれた。1人でいいと思っていた私にとって最初はどう接したらいいか分からなかったが、今では何の不自由もなく会話をしている。


何となく私はなつめに聞いてみた


…「なつめ、何で私と仲良くしてくれる  の?私より他の子といた方がなつめの印  象下がることないのに。」


そう、なつめは本来なら言わゆる一軍のところにいるはずだ。反対に私は良く言えば一匹狼で、クラスの輪にあまり入っていかない。だからぼっちとか影で言われるんだろうけど。でもめんどくさいじゃん、人間関係とか。そんな私の傍にいてくれるからなつめまで少し浮いている存在になっている。


なつめ「え?何でって言われてもな〜。一目見た時から友達になりたいって思ってて、実際一緒にいて楽しいから?」


私と友達になりたいなんて、ほんとに変わってるな。


…「なんでなつめが疑問形になるの」


なつめ「だって急にそんなこと聞かれ  たらビックリするよ。そういえば夏休みどうする?ゴールデンウィークの時はお互いバイトで会えなかったよね、どこ行く?」


そっか、今は6月後半。あと少しで期末テストがあってその後は夏休みか。今まで夏休みはひたすら家に引きこもってたから遊びに行くとか全然考えてなかったな。


…「夜電話しながらお互い調べよ」


候補上げとかないとな。


なつめ「そうだね!夏休みも会えるの嬉しいなぁ。あ、先生来たから席戻るね」


…「うん」


HRが終わって2人で並んで通学路を歩く。学校から最寄りの駅までは割と近い。話しながらだとあっという間に着く。


なつめ「もうバイバイか〜。何で私達対方向の電車なの〜…」


…「仕方ないでしょ。あ、なつめの電車もうすぐ来るよ。」


なつめ「1本逃そうかな」


…「今日バイトでしょ、時間大丈夫?」


なつめ「結構ヤバい…うぅ…分かりましたよ、乗ればいいんでしょー…」


なつめほんとに可愛いな。顔もこういう性格も。男だったら惚れてると思う。


なつめ「じゃあ、またね!夜話そうね」


…「うん、また夜ね」


お互いホームに向かって歩き出す。


なつめ「りつー!好きだよー!」


振り返るとなつめがブンブン手を振っていた。私は彼氏か。


少し恥ずかしくて控えめに手を振るとなつめは満足そうに歩いて行った。


私は自分の名前があまり好きではない。名前の響きで真面目とかそういうイメージを持たれるから。でもなつめに呼ばれる時は少しだけ自分の名前がよく思える。これも、何となくだけど。そろそろ私のホームにも電車が来る。少し急がないと。夜になつめと話すのが楽しみだな。

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私の夏 ルタ @Daira_K

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