終
次の日、アヤは学校を休んだ。
アヤが学校を休んでいることを知って、やんちゃトリオは顔が青くなった。
あの後、やんちゃトリオ、特にショウは、アヤを一人廃ビルに残し逃げた事を、とても後悔した。
勇気をふり絞り、廃ビルの前まで戻ると、恐る恐る、中を覗いた。
しかし、アヤの姿は、何処にも見当たらなかった。
「先生。
アヤは、今日、どうしたんですか?」
ショウは真剣な顔で、担任の目黒先生を見ながら、聞いた。
「ああ、アヤは風邪を引いたらしい。
気になるなら、お見舞いに行ってみるか?」
「はい、行きます。」
ショウが力強く言った。
学校が終わると、ショウとカズマとリュウキは、サキと一緒にアヤの家を訪れた。
「まあ、みんな来てくれてありがとう。
ちょっと、アヤの様子を見て来るから、待っててね。」
アヤの母親であるミサトはそう言うと、2階へと上がって行った。
少しして下りてくると、
「もう、随分良くなったみたい。
下りて来るから、ちょっと待っててね。」
ミサトは笑顔でそう言うと、奥の居間へと戻って行った。
少しして、アヤが2階から下りて来た。
アヤは俯き、少し前かがみになって、ゆっくりと階段を下りた。
そして、みんなの前で俯いたまま立ち止まると、
「うっ、うううう、くっ、苦しいぃぃ。
ううううっ、わああああぁっ。」
と言って顔を上げると、みんなの方へ両手を伸ばした。
「あぎゃぁーーー。」
ショウとカズマとリュウキは、一斉に悲鳴を上げた。
「はははは、引っ掛かった、引っ掛かった。」
アヤが、とても面白そうに笑いながら言った。
「アヤ、これ学校からの、連絡事項のプリントが、入ってるから。」
サキはそう言って、薄い封筒をアヤに渡した。
「うん、ありがとう、サキ。」
アヤが笑顔で言った。
「アヤ、昨日はゴメンな。
守ってやるって言っときながら、アヤを見捨てて逃げたりして。」
ショウはそう言うと、頭を下げた。
カズマとリュウキも、頭を下げて謝った。
「ううん、良いよ、気にしないで。
全然、何も無かったから。
それに、明日は学校へ行けそうだし。」
アヤが笑顔で言うと、ショウの顔が赤くなった。
それから少しだけ、みんなと話しをした。
「それじゃ、アヤ。
また明日ね。」
「うん、今日はみんなありがとう。」
アヤはそう言うと、笑顔で手を振った。
サキと、やんちゃトリオの3人が、玄関から出て行くと、アヤは足元にいるタヌ助を抱き上げた。
「やっぱり、あの子、カズマくんに付いて来たんだね。」
アヤがタヌ助を見ながら、真剣な顔で言った。
「ええ。
あの本の事を、随分と気にしてましたからね。」
タヌ助がアヤを見ながら言った。
「カズマくん、大丈夫かな?」
「多分、大丈夫ですよ。
本を乱雑に扱われたけど、破れたりしてませんでしたから。
2,3日もすれば、あの廃墟へ戻ると思いますよ。」
「うん、そうだね。」
アヤはそう言うと、タヌ助と一緒に2階の部屋へと戻って行った。
アヤと化け狸 ~ 恐怖の廃墟探検 木津根小 @foxcat73082
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