「そうか。どっちに」


「決めた。決めるのやめる」


「決めないのか?」


「うん」


「なんで」


「なんとなく」


「なんだそれ」


「ねえ」


「なに」


「なんか、おもいつめてるでしょ」


「どこがだよ。俺は決めなきゃいけないことなにもないけど」


「うそ」


 沈黙。


「わたしの何か、この決断でなんか、変わるの?」


「いや、なにも」


 再びの沈黙。


「決めない」


「そうか」


「決めないから。一緒にいてよ」


「いるだろ。ここに」


「ずっと。ずっといてよ」


「それは」


「無理?」


 重い沈黙。


「決めた」


「なにを」


「あなたにする」


「意味がわからん」


「君に決めたっ」


「なんの意味が」


「なんとなく。なんとなくだよ」


 沈黙。


「いていいのか。隣に」


「えっ。いないの?」


「いやごめん。わかった」


「決めたから。ちゃんと隣にいること。よろしいですね?」


「了解いたしました」


「なに驚いてるのよ」


「いや。まぁ」


「なによ」


「いつか話すかもな」


「いまはなせよ」


「やだよ」


「なんだよぉ」

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切っ先(短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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