第290話 「絶死冥牢・氷絶双重ね」


【邪神】を倒し、アーロンが展開していた黒のドームは解かれた。


 その後、数多の偽女神たちと相対し、新たな戦いの火蓋が切って落とされた――その瞬間、アーロンとフィオナの不意を突くように現れた本物の【邪神】がフィオナの背後から襲いかかった。


 フィオナが反撃の剣を振るうよりわずかに速く、【邪神】はフィオナごと転移魔法を発動した。


 そして――、


「――――ッ!?」


 直後、無数に蠢く偽女神たちも、すぐそばで戦っていたアーロンもいない場所へと、フィオナたちは転移している。


 ただし同じ階層ではあるのか、視界に映るのは鏡のような湖面と、青い空と雲だけが広がる幻想的な風景だ。


「くっ!! 離れろぉおおおおおおおおおっ!!!」


 一瞬で周囲の状況を認識しつつも、フィオナの行動に遅滞はない。


 背後から抱きついた【邪神】を引き離すため、自らの体表を覆わせたオーラの鎧を爆発させる。


 その瞬間、背中にかかっていた重みが消えた。


 爆音を轟かせながら勢い良く背後を振り向く。優しげな笑みを浮かべた【邪神】は、爆発に巻き込まれるのを嫌ったのか、フィオナからわずかに距離を取っていた。


 だが、その顔に焦りはない。むしろフィオナの方が焦っていた。


(嘘……っ!? 「黒月」がない!?)


 背後へ振り向きざま剣を振ろうとしたところで気づいた。ついさっきまで、確かに両の手に握られていたはずの「黒月」が、手の中から消えていたのだ。


 そのフィオナの表情に焦りの原因を悟ったのか、「うふふ」と笑って【邪神】が言う。


「あらあら。どうやら……貴女の剣は転移を弾いてしまったようですね」


「転移……ちっ! そういうこと……!!」


「黒月」には重属性のオーラが込められていた。そのせいで剣だけが転移魔法を弾いてしまったのだろう。


 だが、理由が分かったところでどうしようもない。


 一応、四家から渡された重属性装備を、フィオナも幾つか預かっているが、「黒月」に比べれば性能は遥かに劣る。それらを使うくらいなら、まだ大人しく「黒耀」を使った方がマシなほどだ。


 フィオナは瞬時にリングから「黒耀」を取り出し、オーラを込めた。


(ここがさっきと同じ階層なら、しばらく時間を稼いでいればアーロンは必ず来てくれる……!!)


 それは希望的観測などではない。単なる確信であり、そして信頼だ。


 一方、【邪神】もアーロンがこの場に駆けつけると予想しているのか、あまり会話を楽しむつもりはないようだった。


「うふふ……!! フィオナ、貴女と話す時間なら、後で幾らでもありますものね。あの者が追いついて来ない内に、速やかに一つになってしまいましょうか」


「ふざけないで、誰がアンタなんかと……!! お断りよっ!!」


 叫びと共に左右の剣を幾度も振るう。【飛刃連舞】。一瞬にして無数の斬撃が【邪神】に襲いかかるも、その前に展開された【空間障壁】によって容易く防がれてしまう。


 だが、フィオナは手を止めずに【飛刃】を牽制として繰り出しながら、【瞬光迅】で素早く空中を移動し始めた。


 反撃の的を絞らせないように、常に移動しながら、同時に消費したままだった【天翼連剣】を再構築していく。


 対する【邪神】は障壁でそれらを防ぎながら、余裕の笑みを浮かべてオーラを発生させていく。


 ただし、そのオーラの行く先はフィオナではなく。


 自らの肉体だ。


「それは――!?」


「うふふ、当然、これは貴女たちだけが使えるものではありませんよ?」


 程なく、【邪神】の裸体は背中から生える十二枚の翼の先に至るまで、青白い光と化した。



 神技――【神体】



 自らの肉体、その細胞の一つ一つに至るまでオーラを浸透させた【邪神】から、次の瞬間、おぞましい程の魔力が高まる。


「そして教えてあげましょう。この【神体】という技術の、本当の使い道を」


 告げて、【邪神】は魔法を行使した。



 神級・火炎属性魔法――【炎神アグニ



 それは最上級魔法さえ超越した、完全に人の域を逸脱した魔法。


「炎」という現象、そして属性が、【神体】を成すオーラと融合し、【邪神】の体表から揺らめくように炎が立ち上る。


 しかし、炎を纏う【邪神】どころか、【邪神】が立つ湖面、周囲の空気さえ、炎の熱の影響を受けていないようだった。


 イグニトールが使用した【炎纏】よりも圧倒的に威圧感は少ない。


 一見して、大した魔法には思えなかった。


 だが、一瞬でもそう考えたのは間違いだったと、フィオナはすぐに悟ることになる。


「な――っ!?」


 牽制の【飛刃】。


 それまで律儀にも障壁で防御していたそれらを、【邪神】は無防備に受けた。


 オーラの刃はまるで抵抗もなく【邪神】を斬り裂く。


 しかし、斬り裂かれ、両断されたはずの肉体は地に落ちることなく、炎が燃え盛るように膨張すると、もう次の瞬間には元に戻っている。


(実体じゃない――!?)


 炎を斬り裂くことなどできないように、斬撃が【邪神】の体を通り抜けた。


 まるで幻影を斬ったかのような虚しい感触。


(幻影!? いや違う!! あいつ以外に魔力は感じない!!)


 幻の類いではない。あるいは不意を突かれた先ほどのように、何らかの方法で潜んでいる可能性もある。


 しかし、フィオナの【魔力感知】は炎の化身と化した【邪神】から、いまだ膨大な魔力を感知していた。


 攻撃を止めて移動に専念し、魔法の正体を看破しようとする。


 そんなフィオナを、【邪神】は腕を伸ばして指差した。


「うふふ、安心してくださいね、フィオナ。頭部さえ無事なら、死んでしまう前に私が癒して差し上げますから」


「――っ!!」


 背筋を駆け上る悪寒に従い、フィオナは全身からオーラを噴出して宙を飛翔した。


 カッ!! と、【邪神】の指先が激しく光る。直後、一瞬前までフィオナがいた空間を眩い光線が通りすぎた。


 それは炎の光線だ。


 一瞬で遥か彼方まで突き抜けた光線は、空に浮かぶ雲を貫き、大穴を穿った。


 その威力に、フィオナはぞっとする。


(喰らうとまずい――!!)


 フィオナは【神体】を発動している。この状態ならば、質量の小さな攻撃は無効化することが可能だ。それどころか直接剣などで斬りつけられても、魔力が続く限りは肉体の形を維持し、無理矢理継戦能力を保つことさえできる。


 ゆえに、本来ならば、炎や雷撃のような攻撃を回避する必要はない。


 だが、【邪神】が放った炎の光線は、【神体】で無効化できる威力を、遥かに超えていた。


 加えて、【邪神】が使えるのは火炎属性の魔法だけではない。


「――うふふ」


 斜め頭上。


 遠く離れた湖面にいたはずの【邪神】が、宙を駆けるフィオナの至近に出現する。


 空間転移。ここ最近、もはや飽きるほど見てきた魔法。その対処の仕方は照射される魔力を感知することで、転移先を事前に察知すること。だが……、


(――速い!?)


 術者の力量によって、転移のタイムラグは小さくなる。


 おそらく分体ではない【邪神】本体の転移は、フィオナをして意表を突かれるほどにタイムラグがなかった。


 出現した【邪神】は、すでに指先をこちらに伸ばしている。


 その指先が光り、極熱の光線が放たれる。


「な、めるなぁあああああッ!!」


 一連の動作はもはや反射の域だった。左の「黒耀」からオーラを放つ。爆発。その反動で体をずらし、光線を回避。それと同時、爆発の勢いで回転したフィオナは、右の「黒耀」を【邪神】へ叩きつけた。


 ――【重轟刃】


 激しい爆発が【邪神】を襲う。炎の体が千々に吹き飛ぶ。だが、まるで当然のように吹き飛んだ炎は集まり、燃え上がり、ほんの数瞬で【邪神】の肉体は元通りになる。


 手応えはない。


 だが、肉体を復元する間は反撃されることがなかった。


 そのわずかな時間に距離を取り、フィオナは両の剣を「黒耀」から「銀嶺」に入れ換える。


(時間稼ぎどころの話じゃない――!!)


 絶え間なく移動を繰り返しながら、双剣を振るう。


 氷雪属性の斬撃ならば有効なダメージを与えられるかと思ったが、【邪神】に回避する素振りはなかった。そして爆発ではない斬撃では、肉体の復元のために足を止めさせることさえできない。


 本当に効いていないのか? 少しはダメージがあるのではないか?


 希望的観測にすがり楽観視してしまいそうになるが、事実として【飛刃】に乗せられる氷雪属性程度では、何の有効打にもなっていないようだった。


(早く倒さないと、こっちが持たない――!!)


 呼吸さえ儘ならぬほど高速で移動し続け、牽制のために剣を振るう。飛ばす斬撃は【飛刃

】から【轟飛刃】へ。


 爆発ならば牽制の効果は、わずかだがある。しかし、合技のために準備するオーラは、ほんの刹那、攻撃の手を遅らせる。


 そしてすぐに、牽制のために攻撃を放つ余裕さえ失われた。


「うふふふふ――!!」


【邪神】は転移を繰り返しながら炎の光線を放ち、あるいは背の翼を羽ばたかせ、炎の羽を驟雨のように降らす。


 降り注ぐ小さな羽一枚一枚が凄まじい熱量を持ち、湖面に張られた薄い水に触れては、冗談のように激しい水蒸気爆発を起こす。


 炎の羽一枚だとて、無防備に受けるわけにはいかない。おまけにもうもうと噴煙のように上がる水蒸気に視界を遮られるのを嫌って、煙が上がる度にフィオナは大きく移動を繰り返さねばならなかった。


(こいつはスキルも使えるはず……!! 転移前に私の不意を突いたのは、たぶん斥候系のスキル! なら視界が遮られた状態だと騙される可能性が高い――!!)


 水蒸気の中で【気配擬装】や【魔力擬装】などを使われるだけでも、致命的なことになりかねない。


「あらあら! まだ避けますか!」


 転移からの炎による攻撃。こちらの攻撃の無効化。それらだけでも厄介極まるが、【邪神】の攻撃は単調ではなかった。むしろ多彩だ。


 ――【空間断裂】【空間断裂刃】【空間歪曲】【空断賽の目】


 当然のように炎の攻撃の合間に、空間魔法による攻撃を織り混ぜてくる。


「黒月」のない現在、それらは防御不可能の攻撃。その上、発動速度は偽女神などとは比較にならない。


(このままじゃ――!!)


 攻撃から回避一辺倒に追い込まれていく現状に、わざと攻撃を受けるかとフィオナの脳裡に過激な考えが過る。


(いや! だめ!)


 魔法でも斬撃ならば喰らってもすぐさま死ぬことはないが、魔力切れで【神体】が解ければ即死してしまう。敢えて攻撃を受ける気もしなかった。


 ゆえに、【邪神】の攻撃は回避一択。


【瞬光迅】にて縦横無尽に駆け回り、半ば以上直感によって【邪神】の攻撃を回避し続ける。


 普通ならば、【邪神】の攻撃はすぐにフィオナの体を捉えるだろう。それほどに攻撃は激しかった。しかし、フィオナの直感は並みではない。死の運命さえ視覚化する特殊な知覚能力を持つフィオナの直感は、一つの間違い、一瞬の躊躇が死に結びつく死地において、かつてなく研ぎ澄まされていた。


 やがて、直感は確固たる視覚へと変化する。


 視界に映し出されるは、ほんの一秒未満だが、先の未来。


 限定的かつな未来予知。


(解る――!! 【邪神】の攻撃が回避できる――!!)


「ああ! なるほど!! 素晴らしいですよフィオナ!! まさかこの局面で、能力を進化させるとは――!!」


 極熱の光線を、炎の羽の驟雨を、空間ごと斬り裂く魔法の斬撃を、空間の歪みが解放されて迸る無形の衝撃波を、フィオナは完璧に回避し続けていく。


 そしてその精度は一秒ごとに上昇し、回避一辺倒だった状況に余裕が生まれ始める。


【重轟刃】による牽制の攻撃。【邪神】の肉体を束の間爆散させることで、その行動に遅滞を生む。


 遅滞は更なる余裕を生み、戦いの流れはフィオナに傾き始めていた。


(【邪神】はまだ本気を出してない! 私を殺すのを躊躇してる! そこに隙がある――!!)


 最初から気づいてはいた。


【邪神】の攻撃は多彩だが、回避不可能かつフィオナの全身を吹き飛ばすような、強力な範囲攻撃だけは一度も使っていない。


 それはフィオナを殺してしまわないためだ。


 フィオナの肉体を治癒できないほどしまえば、【邪神】も「バックドア・ジョブ」を手に入れることができなくなる。


 だから、【邪神】にフィオナは殺せない。


 そこには確かな隙があった。


「うふふ! 精度の高い未来予知といったところですか!? しかし、幾ら未来が見えていても体がついて来なければ意味はありません! ほんの少し反撃するのが限界のようですね!?」


「――っ!!」


【邪神】がフィオナの状態を正確に看破する。それにフィオナは忌々しそうに歯噛みして――――見せた。


(気づいていない? それともそういうフリをしているだけ? ……どっちにしても、この状況、長くは持たない! 奴の隙を突いて――倒すっ!!)


 一撃一撃が必殺の攻撃を。


 空間を埋め尽くすような攻撃の嵐を。


 雨粒と雨粒の隙間に身を滑り込ませるような精密な動作で回避し続け、極わずかな反撃の好機を見つけては、効かない反撃を【邪神】の体に叩き込む。


 一見して【邪神】の動きを牽制するための、破れかぶれの反撃に見えるそれ。


 しかし、真の狙いはそうではなかった。


(もう少し……!! もう、少し……っ!!)


【邪神】に気づかれないよう細心の注意を払いながら、勝利のための準備を進める。


 無意味に思える反撃は、二つのスキルを発動するための条件だ。


【剣の舞】と【神捧の舞】。


 フィオナは少しずつ少しずつ、【剣の舞】によって獲得したバフ効果を、【神捧の舞】によって身体強化のバフへ変換していく。


 強化された身体能力に気づかせないよう、


 そして――、


(――今っ!!)


【神捧の舞】によって積み重なったバフが、強化の上限に到達した。


 その瞬間、フィオナは動く。


「あら? これは――っ!?」


 それまでギリギリで、紙一重で回避していた【邪神】の攻撃を余裕を持って回避しながら、両の剣を一度ずつ振るう。


 放たれるは飛翔するオーラの斬撃。



【終閃の舞】――【氷牙重轟刃・双牙】



 それは全てのバフ効果を攻撃力に転換した【終閃の舞】を上乗せした、【氷牙重轟刃】の二連。


【邪神】の体を捉えた二つの斬撃は、凍てつく冷気を撒き散らしながら、巨大な爆発となって周囲へ迸った。


 あちらこちらでもうもうと上がっていた蒸気は一瞬でキラキラとした氷の粒と化し、どこまでも広がる湖面は視界の果てまで凍りつく。


 単なる攻撃の余波だけでそれだ。


 イグニトールですら、「龍鱗」を剥がす必要すらなく、この攻撃だけで仕留めることが可能だろう。


 そして【邪神】の炎の体も、木っ端微塵となって吹き飛んだ。


 しかし――。


 ポッ、と。


【邪神】が攻撃を喰らって吹き飛んだ場所に、炎の球体があった。例えるなら、人間の頭部ほどの大きさの。


 それが炎の体と化した【邪神】の本体、核だと、フィオナは直感する。


 次の瞬間、球体はさらに勢い良く燃え盛ったかと思うと――何事もなかったかのように、【邪神】の体を再構成していた。


「うふふ」


 と、【邪神】が笑う。


 だが。


「――これで終わりよ」


「――!?」


 肉体が復元されるまでの時間。今回の戦いにおいては、最大の時間となった、【邪神】にとっての隙。


 フィオナが狙っていたのは、その時間だった。


【邪神】が肉体を復元したその時、間合いの内側に、すでにフィオナはいた。


 両の「銀嶺」からは、リィイイン――!! と、涼やかなオーラの高鳴りが響いている。


 フィオナは目の前の【邪神】に向かって、剣を二度、振り抜いた。



 剣神技・改――【絶死冥牢・氷絶双重ね】



 フィオナの手の中から、「銀嶺」の感触が消える。振り切るより先に塵と化して散った二本の「銀嶺」から、莫大なオーラが解放され、それは瞬時に【邪神】の全身を包む込む球体となる。


 そして――ギンッ!! と。


 内部のモノを斬り刻み、擂り潰し、圧し潰しながら、圧縮されていくオーラの球体。


「くぅ――っ!?」


 肉体の形を失う寸前、【邪神】は確かに、この時初めて、焦りの表情を浮かべた。


 だが、もう遅い。


【絶死冥牢】は一瞬で圧縮し、内部の【邪神】を一欠片も外に漏らすことなく――――消滅させた。


「…………」


【邪神】の肉体は完全に消滅した。


 しかし、フィオナは油断しなかった。


【魔力感知】と手に入れたばかりの未来予知の能力に意識を集中し、本当に【邪神】が復活しないか、復活して不意を突かれないか、警戒した。


「…………」


 だが、数十秒待っても、消滅した【邪神】は復活しなかった。



 ●◯●



「――フィオナッ!!」


 炎そのものと化していた【邪神】を消滅させた数分後、高速で飛翔してきたアーロンが、湖面の凍りついた領域へ到達する。


 アーロンは氷の上に立つフィオナを見つけると、隕石が墜落するかのような勢いで、そのそばに降り立った。


 一方、この場にやってきたアーロンへ振り向き、フィオナは安心させるように微笑む。


「アーロン、遅かったわね」


「…………」


「ふふんっ! ちょっと苦戦したけど……見ての通り、私一人で【邪神】を倒してやったわよ!」


「…………」


「これで戦いは終わり……いや、もしかして、まだクロノスフィアが残ってるのかしら? あっちはあっちで倒してくれてると助かるんだけど」


「…………」


「とにかく、皆と合流しましょ。もう一息よ!」


「…………」


「……どうしたの、アーロン?」


「…………」


 不思議そうに首を傾げるフィオナを、アーロンは両目を見開き愕然と見つめる。


 体は凍りついたように動かなかった。


 心の底から認めたくない現実に直面した時、人間は何も考えられなくなるのだと、アーロンは知った。


 それでも、現実逃避は許されない。


「フィ、オナ……!!」


「何よ、どうしたの?」


「……ふざ、けるなよ……ッ!! てめぇ……ッ!!」


 激しい怒りと憎悪を込めて、フィオナを睨む。


 そんなアーロンに、フィオナは笑った。「」と。



 燃えるように鮮烈な赤い髪を靡かせたフィオナは、その顔に慈愛の笑みを浮かべ、でアーロンを見る。その背中からは、オーラによるものではない、純白の、6対12枚の翼が広がっていた。



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