第106話 「感情バグるわッ!!」
「はあっ、はあっ、はあっ……ッ!! ま、待てよおいッ!!」
【神骸迷宮】39層。
雪原のただ中を、オーウェンたちは走っていた。
深い雪に足を取られながらも、全員が移動用スキル、または移動補助の魔法を発動しつつの全力疾走だ。
つい先程もスノー・ゴーレムの住み処を突っ切り、激しい戦闘を繰り広げたばかりか、ここに至るまで戦闘戦闘全力疾走の繰り返しで、すでに魔力は2割を切っている。
だが、それでもまだ、魔力は枯渇していない。
そのことに信じられないような思いを抱きつつも、自分たちを先導するアーロン・ゲイルの後を追わねばならず、余計な思考を巡らせている暇はなかった。
「おらおらどうした!! ちゃっちゃっと走らねぇと今日中に≪氷晶大樹≫のところまで辿り着かねぇだろうが!! 走れ走れ!!」
走りながら背後を振り向き、煽るように言うアーロンだが、こちらが追走できるよう、絶妙に走るスピードを調整していることを、もうオーウェンたちは知っている。
自分たちは息も絶え絶えで、もはや罵声を飛ばすどころではないというのに、向こうは余裕の表情なのがそれを物語っていた。
まあ、だからと言って、そのことに感謝などこれっぽっちも抱いていないのだが。
何しろ、自分たちが本来なら使わなくて良い移動用スキルまで駆使して、全力疾走を続けている理由がアーロンだからだ。
オーウェンたちが迷宮に入ってから、すでに8時間あまりが経過している。
8時間で36層から39層。
如何に「最短距離」を突っ切って来たとはいえ、雪原階層の広大さを考えれば、明らかに異常なペースだと分かる。普通に進んでいたら、この短時間でここまで進むことなどできるはずがない。
言うまでもないが、この異常なペースを実現しているのは「最短距離での移動」のみならず、スキルを使っての高速移動もあってのことだ。
貴重な魔力を単なる移動で消費するなど、どう考えても正気ではない。
だが実際に、余裕を見せているアーロンどころか自分たちすらも、何とかそれを行えているのは――、
(いや……! 今は、そんなこと、考えてる場合じゃ、ねぇ……ッ!!)
何も考えられない。
何も考える暇はない。
なぜならば。
「――お! フロスト・ドラゴンが近くにいるぞ! 運が良かったなお前ら!!」
走りながらアーロンが大声で言った。
フロスト・ドラゴンが近くにいるなら大声を出すべきではなかったが、それを注意する余裕はない。まあ、注意したところで結果が同じなのは、分かりきっているのだが。
「――――ッ」
オーウェンはそれでも何とか罵声を浴びせようとしたが、息が上がっていて一言も発することができなかった。
そうして彼らの見ている前で、アーロンが走りながら剣を振る。
その剣先からオーラの弾丸が高速で飛び出していくのを、オーウェンたちは死んだ目で見送ることしかできなかった。
程なく、どこかへ飛んだオーラの弾丸が何かに着弾し、盛大な爆発音を轟かせる。
それに混じって、何かが激怒したような雄叫びが聞こえてきた。
「フロスト・ドラゴン呼んでやったぞ! 存分に稼げ! いっぱい稼げて嬉しいだろ、なあザラ!?」
良いことをしたとでも言うように、実に清々しい笑みを浮かべてアーロンが振り向き、言った。
「――――っ!!」
「はっはっはっ! そんなに嬉しいか!! なら俺も呼んだ甲斐があったってもんだぜ!」
名前を呼ばれたザラは、もはや罵声を飛ばすことも諦めて、ただアーロンを睨みつけるに留めた。
いや、ザラだけではなく、ほぼ全員が憎しみすら籠った視線でアーロンを射貫いている。視線で人が殺せるのなら、アーロンは今日だけで100回以上は死んでいるだろう。
だが残念ながら、視線で人は殺せなかった。
ズドンッ!! と。
激しく雪を巻き上げながら、巨大な生物がオーウェンたちの進路を遮るように降り立つ。
もはや今日だけで見慣れた感のある、フロスト・ドラゴンさんだ。当然のように額から血を流しており、怒り心頭に発してぶちギレておられた。
「ゴォオアアアアアアアアアアッ!!」
大気を震わせる雄叫びが放たれる。
昨日までのオーウェンたちならば、少なからず萎縮してしまうような迫力。決してフロスト・ドラゴンは雑魚ではないのだ。竜の名を冠するだけはあり、雪原階層に出現する、守護者以外の全魔物の中でダントツの強さを誇る。
しかし、怒りと憎悪と殺意によって殺戮集団へと覚醒したオーウェンたちは、もうこれくらいでは怯むことさえできなくなってしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
各自が言葉を交わすこともなく視線だけで意思の疎通を図る。
ジョブごとに素早く隊列を組み、フロスト・ドラゴンを半包囲した。
共にレイドを組んで35層を突破した仲とはいえ、元々3パーティーにこれほどの連携力はなかった。しかし、雪原階層での一時も休むことさえできない過酷な状況が、彼らの実力を限界以上に引き出し、連携を強めていく。
それは必然だった。
何しろ先導役が次々と魔物を呼び込むのだ。オーウェンたちは大群となって襲い来る魔物たちに、敗北どころか苦戦する事さえ、するわけにはいかなくなった。
苦戦すれば体力を失う。魔力を失う。そうなれば途中で力尽きて死んでしまう。
切実な命の危機が、彼らを冷徹なる魔物殺戮集団へと変貌させてしまった。
危なくなったら彼らのクランマスターが助けてくれる?
そうかもしれない。だがそんなことは死んでも御免だった。もしも助けられて煽り文句の一つでも放たれたらと想像すると、はらわたが煮えくり返る思いになるからだ。
オーウェンたちは誰一人として無駄口を叩くことなく、戦闘を開始した。
フロスト・ドラゴンが放つ氷雪魔法。無数の氷柱が強風と共に襲いかかってくる。それをエリオットをはじめとした盾士の仲間たちが前面に立って受け止めている間に、ザラをはじめとした弓士たちが素早く側面へ移動しつつ矢を放ち、フロスト・ドラゴンの片目と、翼を射貫いた。
弓士たちの射撃は全て、【バースト・アロー】のスキルだ。
オーラの爆発によって翼はズタズタに引き裂かれ、飛行手段は無力化される。
痛みに激怒したフロスト・ドラゴンは、体を回転させながら長大な尾を横薙ぎに振るった。だが、それは悪手だ。
前面で盾士たちが受け止めると、勢いを失くした尾に抱きつくように飛びかかり、【フォートレス】を発動して自分たちの体ごとフロスト・ドラゴンの尾をその場に縫い止めた。
「グルァアアッ!?」
驚愕したような声をあげたのは一瞬だ。
フロスト・ドラゴンはすぐに長い首で背後を振り向き、自身の尾を封じる盾士たちを吹き飛ばさんと、鋭い牙が並ぶ口腔を向けた。
――ドラゴン・ブレス。
竜種にとって最も強力な攻撃手段により、自分の尾を巻き込んでも自由を取り戻そうとしたのだ。
その開かれた口腔に、すかさず魔法使いたちの魔法が飛び込む。魔力の消耗を最小限に抑えるため、一撃一撃は下級の魔法だが、狙い澄まされた攻撃はドラゴン・ブレスを中断させるに余りあり、フロスト・ドラゴンの頭部を殴りつけたように跳ね上げた。
それとほぼ同時、盾士と魔法使い以外の仲間たちが一斉に遠距離攻撃を放ち、フロスト・ドラゴンにダメージを与える。
ただし使用されたのは威力の少ない初級スキルばかりだった。それでも衝撃により、数秒間動きを封じるには十分だ。
フロスト・ドラゴンが一斉攻撃の衝撃から立ち直り、再び視線を探索者たちに戻した時には、勝敗は決まっていた。
「――?」
フロスト・ドラゴンの視界に飛び込んできたのは、戦闘態勢を維持しながらも、一向に攻撃する様子のない人間たちだ。
それを疑問に思いながらも、今度は魔法による攻撃を放とうとしたフロスト・ドラゴンの至近、頭の下で、数秒の隙を突いて接戦していたオーウェンが跳躍した。
剣士スキル――【ワイド・ブレード】
剣からオーラが噴き出し、巨大な剣を形作る。
オーウェンは頭上にあるフロスト・ドラゴンの長い首目掛けて、オーラの巨剣を振り抜いた。
その一撃には、竜種の強靭な首筋と骨をも断つに十分なオーラが込められている。
オーウェンは決して小さくない抵抗を感じながらも、フロスト・ドラゴンの首を見事に斬り飛ばしてみせた。
巨大な頭部が宙を舞い、首の断面から鮮血が溢れ出す。どうっと、フロスト・ドラゴンの巨体が力を失い雪の上に倒れ込んで――魔力還元が始まった。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
勝利の歓声すらもなく、荒く呼吸を繰り返しながら、オーウェンたちが消えていく竜の巨体の代わりに出現した魔石とドロップアイテムを回収した頃、
「よし! じゃあ倒したみたいだし、さっさと先に進むか!」
いつの間にか安全圏まで退避し、いつの間にか戻って来ていたアーロンが一人元気に言った。
「「「…………」」」
そうして何事もなかったかのように、探索は再開される。
ちなみに、このような必要なかったはずの戦闘をする度、オーウェンたちは「誤射」による先導役の殺害を試みていたが、一撃も当たらないどころか、「それだけ元気なら、まだまだいけるな」との言葉と共に、魔物の数が増える結果になったため、今では「誤射」が起こらなくなっている。
彼らは生き延びるため、感情を押し殺して余計な「誤射」はするべきではないと学習したのだった。
そして――。
●◯●
探索開始から、およそ10時間。
オーウェンたちはようやく【神骸迷宮】40層、守護者である≪氷晶大樹≫が目視できる場所まで辿り着いていた。
先導役であるアーロンが立ち止まったので、オーウェンたちは雪の上に膝をつき、必死に呼吸を繰り返している。体力は限界間近で、魔力はほとんど残っていなかった。
「だいぶ時間かかっちまったな……さすがに余計な戦闘させすぎたか……」
疲労困憊で息も絶え絶えのオーウェンたちを見下ろしながら、今さらのように呟くアーロン。
17人の探索者たちは、憎しみに際限などないということを学んだ。
「良し、それじゃあ、今日は結界魔道具を使ってここにキャンプを張ることにする! 休んで魔力が回復したら、≪氷晶大樹≫に1パーティーずつ挑んでもらうからな!」
「か、勝てる、わけ……ねぇだろ……ッ!!」
オーウェンは流石に突っ込んだ。
35層のノルド相手にもレイドを組んでようやく突破した自分たちだ。それよりも確実に厄介な40層の守護者を相手にするのは厳しい。しかも1パーティーずつとなれば、もはや勝ち目などないように思われた。
しかし、アーロンは自信満々に言う。
「いや、今のお前らなら、もう勝てるだろ」
そこには確信しかなかった。
本人たちでさえ勝てないと思っているのにアーロンに断言されて、オーウェンたちは言葉を詰まらせる。
「な……っ、なんで、そうなるんだよ……ッ!?」
「テキトーなこと言ってんじゃねぇぞ!」
「さすがにそれは、私も無理だと思うのですが……」
オーウェン、ザラ、エリオットが仲間たちを代表して言う。
正直に言えば≪氷晶大樹≫と戦わせられることは予想していた。しかしそれが1パーティーずつとは、想像していなかったのが本音だ。
怒りと憎しみと殺意をバネに、必死に40層まで駆け抜けてきた彼らだが、≪氷晶大樹≫を相手にしては途端に弱気が顔を出す。
だが、必死に40層まで駆け抜けてきたからこそ、まだ気づいていないことがあった。
――いや、考える暇がなかっただけで、薄々とは気づいていたのだが。
それをアーロンがはっきりと口にする。
「≪氷晶大樹≫の一般的な倒し方は持久戦だ。あれだけ戦闘を繰り返して40層まで休まずに来れるなら、持久戦は問題ないと思わねぇか?」
「「「!?」」」
その瞬間、全員が気づいた――というより、改めて意識することができた、というべきか。
出発前、自分たちは「スキルを惜しみ無く使え」というアーロンの言葉にさえ、反論していた。それは以前の自分たちを基準に考えていたからだ。
しかし実際のところ、アーロンの言うようにスキルを使いまくっても、40層まで辿り着くことができた。その上、約1名のせいで通常とは比べ物にならないほど戦闘を繰り返し、移動中も魔力を消費したというのに、だ。
以前までの自分たちならば、確実に途中で魔力が枯渇している。
にも拘らず、ここへ到着した段階で魔力はほぼ枯渇状態だったとはいえ、途中で尽きることはなかった。
その理由は……、
「こんなに違うのかよ、オーラを鍛えると……!!」
オーウェンは思わず、自分の手を見下ろして呟いた。
一番最初に説明されてはいた。オーラの制御力を鍛えることで、オーラの運用を効率化し、スキルの威力を上げて消費を抑えることができると。
それは一般に「スキルの熟練」と呼ばれる現象だったが、オーウェンたちの身に起きた変化はその範疇に留まらなかった。
木剣作りで重点的に使用していた【オーラ・ブレード】など以外にも、オーラの効率化の影響は及んでいる。それは熟練した【オーラ・ブレード】で、さらにオーラの制御力そのものを鍛え上げたからだ。
全てのスキルでオーラの運用が効率化され、消費魔力が軽減された結果、継戦能力が著しく向上したのだ。
だが、理由はそれだけではないと、アーロンが個々に気づかせるように言った。
「ここに着いてから、まだ数分くらいか……お前ら、魔力はどのくらい回復した?」
「あ……」
言われて、気づく。
まだまだ1割も回復してはいないが、もうすでに魔力枯渇の症状は治まっていた。
これは普通ならあり得ないのだ。数分で魔力枯渇から回復するなど。
「魔力の回復が以前とは比べ物にならねぇほど早まってるだろ? まあ、毎日あれだけ魔力枯渇を繰り返してたら、こうなるのも当然なんだが」
「おいおい、まさかよぉ……木剣作ってたから、なのか……っ!?」
愕然としながら、ザラが問うた。
それにアーロンが「やっぱり気づいてなかったのか」と呆れた調子で答える。
オーウェンたちが木剣作りを通して鍛えられたのは、何もオーラの制御力だけではなかったのだ。常にスキルや魔法を使いながら木材を加工するという頭のおかしい修行法は、当然ながらあっという間に魔力を枯渇させる。
そのため、オーウェンたちはここ最近、毎日のように魔力枯渇に陥っては、多少魔力が回復したところで作業を再開し、また魔力枯渇に陥るという、地獄のサイクルを経験し続けていた。
このような無茶な魔力の使い方など、魔法使いでさえ行わない。だから鍛えられている者は少ないが、枯渇からの回復を繰り返すことで、魔力回復速度は鍛えることができるのだ。
だからこそ、オーウェンたちは死の行軍にも耐えて40層まで辿り着くことができた。
あれだけの戦闘を繰り返しスキルでの全力疾走を繰り返しながらも魔力が枯渇しなかったのは、単に消費しながら回復し続けていたからに他ならない。
「まさか、ここまで変わるとはね……はは」
顔をひきつらせながら、エリオットは力なく笑う。だが瞳にはどこか、ギラギラとした光が宿っていた。
自分たちが想像もしなかったところで、自分たちが想像もしていないほど強くなっていた。
到達できないと思っていた領域に、到達できていたという高揚感。そしてまだまだ先へ行けるという確信。これで滾らない探索者なんていない。
考えてみれば、巨人たちに苦戦していた自分たちが、必死だったとはいえ、雪原階層の魔物たちを難なく倒してきているではないか。改めて思い返してみれば、一月前の自分たちとはもはや別人だった。
「――オーウェン」
どこか呆然と自分たちの変化に驚いているオーウェンに、アーロンが声をかけた。
彼はニカリと笑って告げる。
「フロスト・ドラゴンの首を中級スキルで斬り飛ばすとか、お前、やるじゃねぇか。……だいぶ強くなったんじゃねぇか?」
「あ……ッ!?」
道中、オーウェンが当然のようにフロスト・ドラゴンを断首していたスキル――【ワイド・ブレード】は、中級剣士ジョブで修得できる中級剣士スキルだ。
かつて巨人階層で、オーウェンは上級ジョブで才能限界に達したことで無力感を覚えていた。自分の修得できたスキルでは、巨人を一撃で倒すことはできなかったから。
しかし、今はどうだ?
巨人よりも確実に強いだろうフロスト・ドラゴンの首を、【ワイド・ブレード】というありふれたスキルで両断することに成功している。
「~~~~っ!!」
強くなった。
そのことを自覚して、一時なりとも憧れていた人物に認められて、オーウェンの背筋に悪寒にも似た激しい喜びが駆け抜ける。腹の底から歓喜がわき上がってきた。
アーロンは全員を順繰りに見つめながら、ふっと、我が子の成長を喜ぶ親父のような笑みを浮かべて、言った。
「お前ら、良く頑張ったな。お前たちがここまで強くなったのは、お前たちの努力の成果だ。今のお前たちなら、≪氷晶大樹≫くらい屁でもねぇよ。俺が保証してやる。……いや、保証するまでもねぇか。お前らも、ここまでの探索で十分に気づいただろ?」
優しい笑みと共に告げられる、力強い言葉。
「親、方……ッ!!」
思わず、オーウェンは感動してしまった。
認められたことだけではない。もしかして、あんなにも魔物をけしかけて来たのは、自分たちに気づかせ、自信を与えるためだったのかと。
「さて……ここに結界を張るにも魔道具を動かす魔石がねぇな。ちょっと取って来るから、お前らはここで休んでてくれ。あ、≪氷晶大樹≫に近い場所だから他の魔物が襲ってくることはそうそうないと思うが、一応、警戒はしておいてくれよ?」
「あ、ああ……分かった」
一方的にアーロンは言うと、こちらに背を向けた。
オーウェンたちはつい先ほどまで感じていた憎しみも忘れて、毒気の抜かれた顔でアーロンを見る。感情の整理が追いつかないのだ。
アーロンが約束した通り、自分たちは間違いなく強くなっていた。アーロンは約束を守っていたのだ。それはそれとして、道中での所業はムカついたが、それすらも自分たちのためだったとしたら……もはや、オーウェンたちに怒りを維持する理由はない……。
一方、背を向けたアーロンは胸中で呟いた。
「(これで、何とか誤魔化すことはできたな……)」
罵声を浴びせられてカッとなってやった。
後悔は微塵もしていないが、不満ばかりを溜め込まれても困るし、≪氷晶大樹≫を倒せないくらい消耗されてはまずいのだ。罪悪感とかは一切ないが、もしかしてやりすぎたのではないかと思わないでもなかった。
だが、どうにか怒りからオーウェンたちの意識を逸らすことに成功した。
とりあえず安堵して、アーロンは≪氷晶大樹≫へと突っ込む――――前に、自らの衣服に手をかけた。
そして全裸になる。
「――いや何でだよッ!! 感情バグるわッ!!」
「え?」
急激な感情の変遷に耐えきれなくなったオーウェンが叫び、アーロンは不思議そうな顔で振り向いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます