第6話

〇リビング(朝)


 差し込んでくる朝日であなたは目が覚める。背中に温かさを感じてあなたは昨日の夜は三枝と一緒に寝ていたという状況を思い出す。あなたは三枝を起こさないように起き上がろうとする。


三枝「んん……」


 まるで離れようとするあなたを離すまいと三枝はあなたに巻き付けたままの腕に力を入れる。あなたはそのせいで身動きがとれない。


三枝「離れちゃ嫌……ずっと側にいて……」


 三枝の言葉に固まるあなた、そんな時三枝が目を覚ます。


三枝「ん、おはよー。ってどうしたの? めっちゃくちゃ顔真っ赤じゃん、何かあった? え、あたしのせい? あたしがあなたに離れて欲しくない、ずっと側にいてって囁いたからって……」


 恥ずかしさから三枝は自分の顔を手で覆う。


三枝「うっわ。なにしてんのよ、あたし。あんたに向かって凄く恥ずかしいこと言っちゃってる……えーと、このことは忘れなさい。そう、あたしはなにも言わなかった、いい? なにそのえーって表情は……いうこと聞かないと物理的に記憶を消す手段に出るけどいいかしら」


 三枝、胸の前で拳を握りしめる。あなたはそれを見て降参のジェスチャーをする。


三枝「はあ……まあ泊めてくれたのはありがとう。あたしは朝食を食べたら帰るわ。朝食はあたしが作るからあなたは座ってて。なに? 意外って……そりゃ泊めてもらったんだからそのお礼くらいはするわよ。待ってて」


三枝「はい、おまたせ。ホットサンドとコーヒー、目が覚めると思ってこの食事にしたわよ。それじゃいただきます。……どう? 味変じゃない? おいしい、毎日食べたいくらいって……いや口にあったのは嬉しいけどそこまでベタぼめするような味でもないでしょう。そんなことはない? もっと自信を持っていいって? あ、ありがとう、その言葉は素直に受け取るわ。ほらまだ残ってるんだからちゃんと食べてね」


三枝、あなたに聞こえないような小さな声で呟く。


三枝「やった……喜んでもらえた」



三枝「んー、おいしかった。自分で作っててなんだけどおいしくできたから満足だわ。なになに、定期的に作りに来て欲しい? だーめ、料理くらい自分で作りなさい。今の時代、男も自分である程度料理できないと嫌われるわよ。あんた、基本的にある程度はなんでも出来るんだからさ、頑張りなさいよ。さて朝食も食べ終わったし、あたしは帰るわね、あんたと遊んだ時間本当に楽しかったわ。だからさ……」


 三枝、体を近づけてあなたの耳元に口を寄せて、恥ずかしそうに囁きかける。


三枝「また一緒に遊んで欲しい。今度はあたしの家に泊まりに来てもいいよ。その時ならあたしがまた料理作ってあげる。ふふ、じゃあ、また学校で。バイバイ」

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からかい好きの幼馴染は甘えたい 司馬波 風太郎 @ousyo

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