第18話:【交流・常連客】②



 爺さん達は早く嫁を貰えと全員が言い残して店を後にした。ひとしきり常連の相手をして一息つくと十一時前、少し落ち着いた時間となったのでまかないを用意する。まぁ、モーニングで出している物に少しプラスした物だけどね。卵のホットサンド、サラダ、コーンポタージュ、苺の練乳掛け、これにウインナーを焼いたものを三本つける。


「イシェリカさん、少し早いけど昼食にしよう。ホットコーヒーで良いかい?」


『こちらのコーヒーを頂けますか?』


 彼女はウォータードリッパーを差す。気になっていたようだし、彼女の分はグラスに氷を入れ水出しコーヒーを淹れてアイスコーヒー、俺はホットコーヒーにする。


 カウンター席をすすめ、俺はカウンターの中で昼食をとる。


 美味しそうに食べてくれる表情にホッとしながら常連さん達の事やこの後の仕事について話をして過ごす。彼女はホットコーヒーより水出しコーヒーの方が好みのようだ。


 昼時に少し忙しくなるが二時を過ぎた頃には落ち着きを取り戻す。ゆったりとした時間を過ごしていると三時前に咲華が店にやって来た。彼女は朝早くから働いている為この時間は仕事上がりだ。


「いらっしゃい、上がりか?」


「いらっしゃいませ、さいかさん」


「お疲れ、亮司、イシェリカさん」


 他の客もい無いのでフランクな対応をする。それなりに仲良くなって来た頃からよそよそしい対応を彼女は嫌った。他のお客がいない時だけフランクな対応をする事で妥協して貰っている。


「お昼ご飯お任せで!コーヒーはいつもの!」


 いつもの注文だ。おまかせというメニューは無いのだが…


「郭さんが前の浜で鱚が釣れ始めたって言ってたぞ。今度の休みに行く事に「私も行く!」なったけど」


 咲華が食い気味に返答を被せてくる。


「そう言うだろうと思って話してる。確か咲華も水曜は休みだったと思ってな」


「うん、天麩羅楽しみ」


 既に釣った気になっている咲華の為に大盛りのオムライスとサラダ、デザートにはチョコレートケーキを用意する。


 奥の冷蔵庫から取り置きしておいたケーキの箱を持ってきて俺はチーズタルト、イシェリカには苺のショートケーキを皿に盛り付けそれぞれ水出しコーヒーを淹れる。


「休憩にしよう、咲華の隣の席を使うと良いよ」


 ぽんぽんと席を叩いて咲華がイシェリカを呼ぶ。


「亮司、明後日はイシェリカさんも来るの?」


「そうだなぁ、一人残して行くのも気が引けるし、一緒に行くかい?」


 断るのならそれで良いと思いつつ確認を取る。


『ついて行ってもお邪魔でなければ見てみたいです』


 意外にもイシェリカの同行が決まった。その後も釣行予定について話を詰め、

昼食を終えた咲華が元気に「ご馳走様!」と言い店を後にする。


「また、明日」


「ありがとうございました」


 俺達は帰る咲華の背中に声をかける。


◇ ◇ ◇


 その後は夕方の閉店時間まで何事も無く過ぎる。入り口の扉に準備中の札をかけ内側から鍵をする。


 イシェリカには食器の片付け、店内の清掃をお願いし、俺は売上の確認と食材の在庫確認をする。野菜類は昼を過ぎた時点で注文を出している。明日の朝店に持って来てくれる。肉類は今ある分で大丈夫そうだ。


 チョコレートケーキとチーズタルトが一とつづつ残っていたので夕食後のデザートに持ち帰る。


 売上も過不足なくと言ったところだ。まぁ流行りの店という訳でも無いからな。


『掃除、終わりました。確認していただけませんか?』


 彼女から確認を求められたので店内を確認していく。彼女の掃除は良くできていた。


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12:00に 第17話:【交流・常連客】①を更新しています。

キリが良いところと思ったら短かったので、12:00、18:00で投稿しています。


17:30に NTRれた彼女が僕に未練があるはずがない【短編】投稿しました。

https://kakuyomu.jp/works/16817139556510579725/episodes/16817139556510600289

読んで頂ければ幸いです。

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