第15話:【朝・開店準備】
翌朝、いつもと同じ四時に目を覚ます。リビングに降りて行くとイシェリカはまだ眠っていた。
掛け布団の上、彼女のお腹の辺りでは『れを』が丸くなって寝ていた。俺が起きてきたのに気がつくと顔を上げ伸びをし始める。足元に駆け寄り頭を擦りつけ挨拶をしてくる。軽く頭を撫で『れを』の水入れを
店舗側に行き掃除を済ませ、ウォータードリッパーのコーヒーを確認する。その後モーニング用の下拵えまで終わらせて住居部に戻る。
『亮司さん、おはようございます』
リビングに戻ると起き出したイシェリカが掛け布団を抱えていた。
「おはよう、掛け布団は俺が持って上がるよ。イシェリカさんはキッチンのポットにコーヒーを用意しているから入れてもらえるかな?」
彼女から掛け布団を受け取る。
『分かりました。カップは水切りに置いてある分で構いませんか?』
「あぁ、俺はミルクと砂糖は入れなくていい。イシェリカさんは好みで入れてくれ」
そう言い残して寝室に掛け布団を戻しに向かう。
階下に戻った後はキッチンに入り朝食の用意を始める。今朝はベーコンエッグとサラダ、トーストとコーンポタージュ。手早く用意を済ませイシェリカと席に着き朝食を食べる。
◇ ◇ ◇
朝食を済ませ二人で片付けをしながらキッチンに置いてある物の説明、使い方を教えていく。使った食器の数も多くはないのですぐに洗い終わる。彼女の居た所では食器は水洗いか汚れが酷い場合には砂で擦った後に水洗いをしていた様だ。『洗剤や石鹸はとても貴重な物なのに、それに昨晩のお風呂でも思いましたが泡立ちが凄い。全く別物です』と興奮気味に言っていた。そんな彼女を見て内心微笑ましく思ってしまった。
今回は食器乾燥機は使わず二人で拭き上げていく。店舗では食器乾燥機を使っていないので同じ手順を覚えて貰うためだ。
「この後店を開けるんだけど、イシェリカさんにも入ってもらおうと思う。まずは仕事を見て覚えてほしい、他には今の要領で皿洗いから始めてもらおうと思っている。まぁ、近所の年配相手の店だからそんなに忙しくはないけれどね。分から無い事があれば都度聞いてもらえれば良いから。後は空いた時間でこっちの言葉を覚えて欲しい」
『分かりました。お店は何時からになりますか?』
「七時からだから…後、一時間くらいか、今のうちに支度を済ませようか」
俺の方は着替えて髪を整えるくらいだが彼女の方はそうもいか無いだろう。
「制服はないけれど上は、昨日買った白のブラウスを来てくれ。下はパンツにしておいたほうが良いかな。店に行ってからエプロンをつけてもらう様になるからね。じゃぁ、用意が済んだらリビングに降りて来てくれ」
『分かりました。それでは後ほど』
イシェリカは寝室へ、俺は趣味部屋へと別れ準備をする。
程なくしてリビングに降りてきた彼女は白のブラウスに濃紺のジーンズという組み合わせ。スタイルの良さが際立ちとてもよく似合っている。長い髪は編み込み、ひとつに纏められていた。これも良い。おっと、心の声が…
準備を終えた俺達は店舗への扉をくぐる。
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【短編】僕と彼女の別れる理由 公開しました。
よろしければ読んで見て下さい。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556464269199/episodes/16817139556465980184
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