第2話 フェードアウト

私は、新しいアイデアを考えて連絡するか、このままフェードアウトするか迷っていた。


実はこういうことだ。

私の仕事の収入の大半は、ビジネスパートナーであるN氏が私を講師として開催するセミナーによるものだ。

N氏との出会いがあるまでは、私のビジネスは鳴かず飛ばず。

ビジネスと呼ぶにはあまりにも小さな売上しかなく、バイトを行う日々もあった。


しかし、思いつきで参加したビジネス交流会で、N氏と組むことになってからというもの、売上は安定し、参加者からも良い評判をもらえるようになっていた。

今までにない変化に当初は喜んだが、その代償は大きかった。


N氏はコミュニケーションが取れないのだ。

一般的な言い方をするならば、自分勝手ということになるだろうが、これが半端じゃない。自覚症状があれば良いのだが、全く無自覚。

私の意見は受け入れられず、N氏は否定している認識すらない。


もう少し、マニアックな表現をするのであれば、

発達障害や愛着障害といった症状を抱える方に見られる症状だ。


もっとはっきりと意見を言えばいいじゃないかと言われるかもしれないし、諦めずに議論をしなければと思う方もいるだろう。

しかし、そのような立ち振舞をした途端に、私が勝手に怒っているように捉えられ、話が噛み合わなくなるのだ。


結果的に、N氏に使われている存在となってしまったのだ。



最終結論の日は3日後だ。

新しいアイデアを考えて連絡すればこうなる。

一定の収入と、参加者からの評判。


フェードアウトするならばこうなる。

閑古鳥が鳴く日々。


いよいよ決断の時が来た。

私はフェードアウトを選んだ。


お金や称賛というエゴを満たすために、奴隷と化すことはできない。

喜んでホームレスになろう。


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絶望こそが最高のプレゼント つぼーん @tsubooorn

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