絶望こそが最高のプレゼント

つぼーん

第1話 誰のためでも、何のためでもない仕事

本当なら金を稼ぐために、仕事をしなきゃいけない。

しかし、それはできない。

仕事をしようと思うと、頭も身体も動かなくなるからだ。


時間は刻々と過ぎてゆく。私はどうすればいいんだ。

口座の残高は今にも底をつきそうだ。

他に収入を得る当てもない。


お金を得ようとしなければ問題ないのだ。

いや、集客や宣伝をしようとしなければと言ったほうが正しいだろうか。

お金を受け取る抵抗があるとか、自分に自身がないから宣伝ができないとか、そうした理由ではない。


私にとっての働く理由、目的が、それになってしまうことに対する抵抗。

エゴを満たすための仕事、本能を満たすための仕事への抵抗ということだろう。


周囲が騒ぎ始めた。

「どうしてあなたほどの能力があるにも関わらず、それを世の中のために使わないのですか。」

そんな大層な褒め言葉も、私を動けない世界へと導く招待状となる。


私は決めた。

誰のためでも、何のためでもない仕事をしよう。

その先に、金が尽きて、ホームレスとなってもいいだろう。

エゴや本能を満たすために、努力や工夫をし続けることを手放そう。

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