【タイムマシンPR記事】きれいに剥がせるシールは何年後まできれいに剥がせるのか!?
※本記事は、「ジダイカン」のプロモーション記事です。
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先日、宅配便で届いた本に「販売代行」のシールが貼ってありました。こういう余計なシールってきれいに剥がせれば貼ってくれてても良いんですけど、大抵途中からベタベタが残っちゃって、結局シールを剥がしきれないんですよねえ。
ところが、よく見たらこんなことが書いてありました。
「このシールはきれいに剥がせます」
……ほんとに?
ちょっと信じられないなあ。信じられないので確かめてみよう。
ペリペリ……
ほんとだ!すごい!きれい!!こんなにきれいに剥がせるなんて!!!感動しました。これって何年も貼りっぱなしでもきれいに剥がれるのかなあ。
これって何年も貼りっぱなしでもきれいに剥がれるのかなあ。
これって何年も貼りっぱなしでもきれいに剥がれるのかなあ。
これって何年も貼りっぱなしでもきれいに剥がれるのかなあ。
というわけで、今回は「きれいに剥がせるシールは何年後まできれいに剥がせるのか!?」を検証していきます!
使うのはこちら!
・きれいに剥がれるシール十枚
・タイムマシン
さて、まずはシールを持って中央図書館へ行きましょう。『東京都の歴史』全十巻の背表紙の内側にシールをペタペタと貼っていきます。不審に思われかねないのですが、ここは奥付を確認しているふりでなんとか乗り切りましょう。
おそらく中央図書館なら今後もしばらく潰れないでしょうし、もし図書館の場所を移動しても地域資料などの重要な本は保存されるはず!どれだけ未来に行っても、シールが紛失する可能性が低いのです。また、シールを一番目につかない場所へ貼付することで、検証している期間中、誰かに見つかって剥がされてしまうアクシデントを防ぐことが出来ます。
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※公共の本にシールを貼る行為は犯罪です。本記事では、中央図書館様に特別な許可を得ております。
※ならばもっと分かりやすい場所にシールを貼っても良いのでは?との疑問があるかと思います。現代の中央図書館様の許可を得たとはいえ、それ以外の時代ではどうなっているか分かりませんので、念には念をということで今回のような形になりました。
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さて、皆さんが気になっているだろうタイムマシンがこちら!
《タイムマシンの写真》
タイムマシンは、今から十年前に開発されたものの、値段が高すぎてなかなか普及には至っていません。一台当たりの値段で一国を支配できるレベル、タイムマシンをめぐって戦争が起こり、戦争の初めにダイナマイトを使って崩した山でタイムマシンの材料がたくさん取れることが発覚し即戦争が終わり、いまでは世界に百台あり、今後もばんばん製造されていく見込み。というのはご存知かと思います。
そのうちの一台が、なんと中央図書館の隣にあるのです。
中央図書館の隣には、「ジダイカン」という施設があります。「時代間」を移動するのと建物の「〇〇館」をかけているそう。安易ですが分かりやすくて良いネーミングですね。
《ジダイカンの外観写真》
ジダイカンではタイムマシンが置いてあるだけじゃなく、なんと乗ってタイムスリップすることも出来るのです。一回五百万円。案外安いですよね。ちなみに、タイムマシンの見学を含む館内展示の鑑賞券は千円。大正時代の看板建築や江戸時代の長屋などの過去の再現はよく見ますが、ジダイカンでは未来の街並みを再現した展示をしています。一年に一回展示替えをするそうで、その際は従業員が実際にタイムマシンに乗って未来を見に行くことになっているとのこと。いいなあ〜。一回五百万円がタダで。むしろ給料が出るからプラスだ。いいなあ〜。
閑話休題。さっき中央図書館でシールをコソコソ貼ったのは覚えていますか?
《シールを貼った箇所を写した画像》
その足でジダイカンへ行き、タイムマシンに乗り込みます。まずは三百年後へ移動します。
今回の検証では、何回か時代間移動をしなければならず、その間ずっとジダイカンからタイムマシンが消えるのはちょっと困る……とのことで、検証のために自家用タイムマシンを購入しなければなりません。そのための三百年後です。
予想では、タイムマシンは今よりも安価で作られるようになって、ずっと安く手に入るはず。現代の現金は確実に使えなくなっているでしょうから、僕が小さい頃から貯めていた豚の貯金箱の中に入っている小銭を質屋に売りつけることで、希少となっているであろう現代の小銭を未来のお金で高く買い取ってもらいます。十倍くらいの価値になると信じて、その金でタイムマシンを買う予定です。いよいよ、いってきます!
・・・
三百年後の未来に着きました。予想通り、タイムマシンはタクシー感覚でそこらじゅうにあります。これは幸先良い予感!ジダイカンはこの時代も中央図書館の隣にあるので、ジダイカン−中央図書館間の移動は少なくとも三百年間は迷うことなさそうですね。助かります。ありがとう公共施設。市民の味方。
中央図書館へ入り、館内のインターネットを使用させてもらいましょう。これでタイムマシンの値段を調べると、新しいものは一台百万円とのこと。おお、これはだいぶだいぶ良いですね。現代から持ってきた小銭を換金すれば余裕で買えるはず。ぐふふふ。いますぐ質屋に行きたい気持ちを抑えて、まずは一冊目の『東京都の歴史』を手に取り、きれいに剥がせるシールを剥がしてみましょう。
ぺらっ……
あれ、ズラしただけで剥がれちゃった。逆に粘着力が全然無くなっている状態でした。すっかり乾燥しちゃったんだな。これはベタベタを通り過ぎたみたいだ。本当はもっと未来まで旅行……検証したかったんですが、三百年後から現代まで戻る感じになりそうです。
・・・
さて、質屋にやってきました。僕の豚の貯金箱の中身は一体どれくらいの価格になるんでしょうか。
質屋「こんにちは」
ぼく「こんにちは。これを売りたいんですが。」
質屋「え、すごいピンク!なんの生き物ですか、これ。随分丸々とした。」
ぼく「あ、いや、売りたいのは中身の方です。」
質屋「ああ、そっちですか。失礼しました。」
質屋に手渡しするため貯金箱を動かすと、中の小銭がジャラジャラと音を立てる。
質屋「あ〜小銭ですかねえ。過去のお金ですか?」
ぼく「そうです。」
質屋「ええと、お金は当時の価値と同じ値段で現在のお金を渡すことしかできないんですよ。簡単にいえば両替です。」
ぼく「え?昔のものって価値が上がるわけじゃないの?」
質屋「お金はそのへん特に厳しいんです。一時期タイムマシンを使って過去に遡り、現金をこちらに持ってきて高額買取させる人がたくさんいたんです。高額買取しなきゃそういう人も減るでしょう?それで、どの時代のお金だろうと当時と同じ価格に両替するだけにしましょうってことになったんですよ。いまやタイムマシンなんて普通に買えちゃいますからねえ。」
ぼく「そ、そうなんですね……じゃあ買取は結構です。」
このまま街に出てなんとかして歴史マニアを見つけ出し、その人に高額で売りつける方法に変更だな……と考えながら貯金箱を鞄にしまう。回れ右をして店を出ようとした矢先、質屋が「そっちのピンクのやつなら高く買い取れますよ。」と言った。
質屋「すみません。依頼の品以外は口を出さないことになっているんですが、気になったので声をかけてしまいました。それは貴重なお品ですよ。」
ぼく「え、どうして高値になるんですか?」
質屋「お客様が仕舞われる時に思い出しました。それはピンクの豚の貯金箱ですよね?前に雑誌で見かけたことがあって……その貯金箱は、およそ二百年前に製造終了したものなんです。」
ぼく「はあ。でも大量生産品ではあったし、出来が良いとかでもないでしょう。これこそ過去に行けばそこらじゅうで手に入りそうなのに。」
質屋「ところがね、見つけようとしても見つからないんですよ。売ってそうなのに売ってない。人の家にばっかりあるんですって。で、貯金箱なので持ち主に壊されてしまうんですよ。運よく捨てられてるのを見つけても、二つ以上に割れちゃってんです。もしきれいなのが手に入っても、ワレモノなのでうっかりタイムマシンの角にぶつけて割れちゃうことも頻繁で。きれいな状態のものは珍しいですよ。私も初めて見ました。」
なるほど。お金が入っていれば持ち主は貯金箱を渡さないし、お金を取り出すときは絶対に割られてしまう。貯金箱にお金を入れたまま捨てる人はいないだろうから、きちんと貯金されている割られていない貯金箱は貴重な資料というわけだ。
《ピンクの豚の貯金箱の画像》
ぼく「じゃあ、これを売ります。」
質屋「本当ですか!すると、こちらは八十万円になりますね。」
かなり高くついた。いえ〜い。
予定とは違う方法でしたがお金がたくさん手に入ったので、これを元手にタイムマシンを買いに行きます。ちょっと足りないかもしれないけど、型落ちしたものや展示品ならいけるかも。
・・・
しばらく大通りを歩いていると、タイムマシンっぽい見た目のでかい箱に、大きな数字が貼られているのを発見!!やけに現代の中古車の売り方と似ていますが……もしかして、中古タイムマシンてのがあるのか?でもまあ、開発されて三百年経ってるしあるかあ。
店の外側から大きな箱を見比べてみましょう。こっちは安いけどボロいなあ。こっちは高くてスタイリッシュ。あ、これは形がかわいい。色もオレンジと茶色でオランジェットみたいで良い。しかも七十三万だ。もしこれがタイムマシンなら買いだなあ。店に入り、店員に確認を取ると、ここは中古タイムマシン売り場だという。ラッキー、なんてついているんだ。さすが大通り。人生に必要なものが全て揃っている!
先ほどのタイムマシンを指差して、これをくださいと言う。購入にあたり、タイムパスポートなるものを求められて、「それはないんですが〜」と代わりに自動車の免許証を出したら「この時代の人はタイムパスポートなしで買える」とのことで普通に買えた。買えちゃうんだ。良いんだ。
保証などのお金が加わり、支払い金額がちょうど八十万円になった。危なかった。これ以上だったら値切る必要があった。
そんなこんなで、首尾よくタイムマシンをゲット!
これで色んな時代を行き来し放題です。飽きたら自宅を展示場にして、ジダイカンより格安でタイムマシン乗れるようにすれば儲かるし。もし僕が自宅を展示場にしたら、みなさんもぜひタイムマシンに乗りにきてくださいね!
※本記事は、「ジダイカン」のプロモーション記事です。
・・・
現代に戻ってきました。場所が分からなくならないように、中央図書館の駐車場でタイムマシンに乗り込みました。「普通の道からタイムマシンに乗ったら、到着したのが銭湯でのぞきで捕まりかけた」ってこともあるらしいと中古タイムマシン屋が言っていたので、行き先の地形が分からない場合は確実な場所から乗るのをオススメします!
今日はかなり疲れてしまったので、一旦家に帰りましょう。タイムマシンは自家用車で牽引可能です。ひとまず家まで持ち帰ろうと思います。
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二日目
おはようございます。今日は「きれいに剥がせるシールは何年後まできれいに剥がせるのか!?」の検証を引き続き行っていきます!
まずは、現在から三百年後までを五十年刻み、つまり五十年後、百年後、百五十年後、二百年後、二百五十年後へタイムスリップし、『東京都の歴史』に貼ったシールを剥がしていきます。これで十枚貼ったシールのうち六枚が剥がされることになります。残りの四枚は、ベタベタしていた時代としていなかった時代の間を十年刻みで検証するのに使おうと思います。
それでは、中央図書館の駐車場からタイムマシンに乗っていきましょう〜!
五十年後に着きました。中央図書館で『東京都の歴史』二巻を取り出し、シールを剥がします。シールを忘れず持ち帰って、百年後に移動します。『東京都の歴史』三巻を取り出し、シールを剥がします。次の時代に移動します。
というのを繰り返して、最終的に現代に戻ってきました。結果は以下の通り。
五十年後:きれいに剥がれる
百年後:ややベタつき、そのままでもあまり気にならない
百五十年後:ベタつき、消しゴムで擦ると取れる
二百年後:粘着力なし
二百五十年後:粘着力なし
百年後くらいでベタつきが始まるみたいですね。どこか一箇所だけがベタつきのある時代になったら嬉しかったのですが、百年後と百五十年後の二箇所がベタついています。百五十年後には分かりやすくベタついているので、ひとまずここを「確実にベタつく時代」としましょう。きれいにシールが剥がれない時代を特定するためには、百年後の「ややベタつき」がまぐれの可能性も考慮して、百年後を中心に攻めていきたいところ。
五十年後と百年後の具合を見るに、六十年後と七十年後は「きれいに剥がれる」はずです。残りの四つのシールは、八十年後、九十年後、百十年後、百二十年後に使いましょう。
・・・
三日目
行ってきます!
戻ってきました!
八十年後:きれいに剥がれる
九十年後:ほんの少しベタつき
百年後:ややベタつき、そのままでもあまり気にならない
百十年後:そこそこベタつき、セロテープでペタペタすると結構取れる
百二十年後:ベタつき、消しゴム必要
百年後のベタつきはまぐれではなかったようです。今回の検証では、九十年後からベタつきが始まることがわかりました。
結論「きれいに剥がれるシールは生きている間に剥がせばOK」
・・・
きれいに剥がれるシールのきれいに剥がれる期間を調べてきましたが、いかがでしたか?それでは、僕は家を展示場に改造するのでこの辺で。さようなら。
《安心安全なタイムスリップはジダイカンへどうぞ》
単話集 斯波らく @raqu_f
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