カコニモドール
米沢酒雨
カコニモドール
「ついにきたぞ!待ってろ魔王よ!」
俺たちは勇者パーティー。この世の悪の象徴である魔王を倒しにここまできた。
この扉を開ければ魔王が……
「行くぞ!」
『おぉ!』
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『よくきた勇者達よ。さぁここで絶望するがいい!』
「うぉーーー!」
「え、ちょ、ま、まってよ、まだセリフのとちゅ……」
俺たちは魔王にできる最大限の攻撃をし続けた。
だが魔王は……
「ぐわー。やられたー。ひどい、最後まで言わせてよ……」
傷ひとつ……ってえぇ!?
「これって……倒したのか?」
俺たちは唖然としてしまった。が、1秒後には
「やったー!倒したぞー!」
と喜んでしまった。
「まだ……終わらぬぞ。わしのとっておきの秘術、見せてやろう。」
そんな魔王の言葉に俺らは青ざめた。
俺たちは完全に油断していたなだ。
魔王がこんな変なやられ方してるしね!
『カコニモドール!』
なすすべもなく、その魔法に消し去られた。
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目が覚めると……
……ってまずなんで目が覚めるんだ?
なんで死んでないんだ?
確か魔王の魔法を喰らって……
死んだはずじゃないのか?
不思議に思って周りを見渡すとそこは……
懐かしい懐かしい最初の村だった。
「あ、あぁ、戻ってきたのか……」
俺は嬉しさのあまり体が痛いのを忘れて走っていた。
村に戻ってきたのだ。
「ただいま!」
俺がそういうと村の人々は少し怪訝そうな顔をした。
不思議に思って聞いてみると
「おい、忘れたのか?この村に勇者がいるって話があって今日はその選抜の日だろう?それでみんなちょっとピリピリしてるんだよ。」
そうだった。今日はそんなことがあったんだ。なんで忘れてたんだろう……
まぁいいや、会場に行って勇者の剣を抜けたら勇者として旅立てるんだよな!早く行こう!
俺は村を走り抜け、村の広場に着いた。
俺の番が来た……
「よっしゃ、抜くぞー!」
えい!
あれ、抜けてる……
抜けてる!
「抜けたー!」
『おおおお!』
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そんなこんなで旅に出て、ついにやってきたぞ魔王城。待ってろよ魔王!
「行くぞ!」
『おぉ!』
黒く大きな扉を開けたそこには
魔王がいた。
いや、でもなんか魔王驚いてない?
「え、なんで戻ってきちゃったのさ。えーー、また痛いのくるのー。やだなー。勇者達手加減しないからなー。はぁ、しょうがない、やるか。」
え、いや、魔王?
「よくきたな勇者達よ、ここで……」
「いや、騙されないかんな!」
え?てか、またって言った?
「もー、めんどくさいなー。やっちゃうか。」
『カコニモドール!』
「うわー!」
そうだった、前もこの技に……
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そして俺は目が覚めると……
ってやったなこのくだり!
そう言う技か!
魔王のカコニモドールは対象を自分の都合のいい時間に巻き戻す魔法である。しかし完全ではなく、やればやるほど対象の記憶が残ったりするのだ。
いや、技の名前安直すぎだろ。
ならさっさと勇者の剣抜いて仲間集めていかないと。
いや毎回これやんの!?
え!やだ!だる!
という訳で旅の途中で身につけましたカコニモドール。
勇者と魔王専用の技になりました。
「よ、よし!みんな!魔王を倒しに行くぞ!」
『おぉ!』
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「え〜、また来たの〜、やめようよ〜。こーゆーのがいじめになるんだよ〜。」
「知るかオラァ!」
「ぐわー。やられたー」
やっぱこいつ弱すぎでは?
「仕方ない、なんか戻ってくるスピード速くなってる気がするけど」
『カコニモドール!』
『カコニモドール!』
カコニモドールにカコニモドールをぶつけてカコニモドールを無かったことにする。
そうすればカコニモドールを防げる!
『カコニモドール!』
いや、もう一発はダメでしょ……
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……うん、起きた。
そして思いついた。
『カコニモドール!』
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「ふぅ、勇者もどっか行ったしアイスでも食べよっと。」
「戻ってきたぞ魔王!」
「えぇ!どうやって戻ってきたし!」
「カコニモドールを使って戻ってきたんだ。お前がカコニモドールを使った事実自体を無くしたんだ!」
「うそん、魔王泣いちゃうよ!」
んなもん知るかー!
ゴラァ!
『カコニモドール!』
あ、間に合わない。でも大丈夫。戻された後でカコニモドールを使って
「何度でも蘇るさ!」
「やめてー!」
ゴラァ!
『カコニモドール!』
カコニモドール!
「無駄だー!」
「一旦落ち着こう!ね!勇者落ち着こう!こんな不毛な争いしてなにが楽しいの?ダメだよ時間の無駄だよ!停戦停戦!一時停戦!」
いや知るか!って思ったがまぁそうだな。不毛すぎる争いだな。
「ていうかまずお前がカコニモドールを使ったことから始まったんだろ!」
つい、叫んでしまった。
「まぁまぁまぁまぁ。落ち着けって。本当はね、カコニモドールってすごい技なの。俺は次元超えた存在だからカコニモドールいくら使ってもいいんだけど、それ人間が使うと普通一回で消し飛ぶからね!勇者だから大丈夫だったけどダメだからね!」
そうだったのか……
ん?てか魔王優しくない?
「そりゃ、魔王だけど優しいよ。そんな人間とか襲いたい訳じゃないし…… しかもこの技は争わないために作ったんだからね!」
「魔王……。お前、いいやつじゃないか!」
「お互い平和に生きようよ。争いなんかやめてさ!」
そして世界は平和になりましたとさ。
おしまい。
---------後書き---------
オチが無理矢理すぎる。なんでこんなの書きたくなったんだろう?わかんないや。あ、どうも米沢です。今回は少し新しい挑戦として単発を出してみました。……面白かった?面白かったら評価とかお願いします。
ではまた。
カコニモドール 米沢酒雨 @yonenen
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