自殺ビンゴ

 

自殺ビンゴ

 山で首を吊ろうとしていたら、ガサガサと後ろから足音がした。振り返ると、そこには20代くらいの若い男がいた。


「あー、バレちゃったか。大丈夫です。僕には気にせず、首を吊ってください」


「私のこと……止めてはくれないんですね」


「もちろん。だって、僕、あなたが首を吊って死んでる写真が欲しいんですもん」


「悪趣味ですね。そんな写真、集めてどうするんですか?」


「自殺ビンゴに応募するんですよ」


「自殺ビンゴ?」


「知りません?最近、自殺志願者の間で話題になってるんですけど……」


「知らないです。何ですかそれ?」


 私がそう言うと、男は私にスマホの画面を見せた。そこには、9マスのビンゴに、首吊りや飛び降り、入水などのさまざまな自殺方法が書かれていた。


「この縦、横、斜めのうちの3マスのどれかの方法で自殺した人の写真を送ると、ビンゴの主催者から苦しまずに死ねる薬が送られてくるんです」


「だから、僕のために首を吊って死んでくれません?」


 男はそう言うと、にやりと笑った。

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自殺ビンゴ   @hanashiro_himeka

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