美しく死にたい
美しく死にたい
「私、美しく死にたいの。だから、優香。私に協力してくれない?」
「いいよ、美幸のためだったら、私なんでもする」
そして2月になると、私たちは北海道の雪山に向かった。山の麓に着くと、美幸はカバンから睡眠導入剤を取り出した。それから、私に向かってこう言った。
「優香。私のわがままに付き合ってくれてありがとう。優香のおかげで私、幸せだった」
そう言うと、美幸は儚げに微笑んだ。そして睡眠導入剤を飲むと、仰向けに横たわり、目を閉じた。私は、その後ずっと美幸が息絶えるのを見守っていた。30分ほど経ち、美幸の脈を測ると、反応がなかった。美幸はもう、旅立ってしまったようだった。
それから、春の日差しで美幸の体が腐ってしまわないように、私は彼女の体にシャベルで雪をかぶせた。これで美幸の美しさは永遠だ。そう思うと、なんだか少し羨ましい心地がした。
美しく死にたい @hanashiro_himeka
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