第5話

そんなある日の事、淳が

[愛美、今日少しだけ時間いける?]

[うん、何か有った?]

[うん。]

そして夕方カフェで会う2人。

[どうしたの?]

[実は僕、転勤する事に、なった!]

[どうして?]

[会社に僕が従業員と不倫をしてる

と言う電話が有ったみたいで、

マネージャーに聞き取りされた。]

[で、なんて言ったの?]

[確かにコーヒーを飲んだりは

しましたけど、それだけです。って

言った。そうしないと愛美に迄

迷惑掛かるから!]

[そんな、私なんて、いいのに!

で、何処に転勤するの?]

[マネージャーが言うには、この店

から遠い所に、なるだろうだって。]

愛美の勤めるスーパーは全国チェーン店

なので遠いと言えば本当に遠くなる。

[もう会えないんだね?]

[そう、なっちゃうね!]

[……]

[愛美、最後にデートしよう!

次の休みに!]

[うん!]

そう、言って別れた2人。

(一体、誰が会社に、そんな電話

なんかを!)

(どうして、こうまでして僕達は

引き離されるんだよ!)

デートの日

[行ってきます。]

[お~]

淳の車に乗る愛美。

[何処に行く?]

[今日は、海がみたいな~!]

[よ~し!]

車を走らせる淳。

2人は無言で海に向かう。

海が見えて来た。

車から降りて歩く2人。

[淳、この海を越えて行っちゃうん

だね?]

[遠いいよな~]

[淳、元気でね!私、本当に淳に

会えて良かった!淳の事好きになって

幸せだった。]

[愛美、僕は愛美の事を忘れないよ!

何が、有っても!]

[駄目だよ!淳、長男でしょう?

結婚して、子供作って孫の顔を

ご両親に見せてあげないと!]

[愛美は、それで、いいの?]

[良くは無いけど、その方が淳が

幸せになると思う!]

[僕の幸せは愛美が居るから

あるんだよ!]

抱き合う2人。

無情にも時間は過ぎて行く。

愛美の帰る時間が、やって来る。

車から降りる愛美。

[淳!]

[なに?]

[この数珠、交換しよう!]

[うん?]

[淳が、してた物を身につけると

淳が居るみたいな気がするから!]

[うん!じゃあ交換しよう!]

[私、お見送りしないから!]

[うん!]

[じゃあ、行ってらっしゃい!]

[行ってきます!]

そして最後のキスをして別れた

2人。

家に帰って夕飯を夫に持って行くと

[数珠の色が、変わってる。]

[あ~美保と交換したの!]

そう、言って自分の部屋に戻る。

(淳、元気でね!愛してるよ!)

そう、呟きながら数珠を触る。

愛美は会社に電話したのが店の人

なのか?あるいは…

そして淳が転勤して5年を過ぎた頃

愛美の夫は病気で他界した。

まだ若すぎる歳で、有った。

愛美が夫の生前から気になっていた事

会社への電話は、店の従業員か

もしかしたら夫の徹か?

もう今と、なっては真実は分からない。

ある日淳は会社で配られる社内試を

見ていた。

そこには、結婚、出産、お悔やみと

全従業員のが載るのだ。

愛美が歳の差婚と知っていた淳は

毎月それに目を通していた。

そして、その日見つけたのだ!

前田徹(享年66歳)

(愛美の旦那さんだ!)

シフトを見る淳。

2連休が有る。

(この日に愛美に逢いに行こう!)

淳は車で高速に乗り8時間掛けて

愛美の居る店に着いた。

疲れよりも愛美に逢いたい気持ちが

強かった。

店に入る。

愛美を捜す。

(居た!愛美だ!)

そーっと横に行って

[ただいま、愛美!]

と声を掛ける。

ビックリする愛美。

そして笑顔で

[お帰りなさい、淳!]

2人の手には交換した数珠が

今も、してあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

本気の不倫 aki @nyontyun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る