第3話

「·····あー、結婚してー」


スマホをポチポチしながらそんなことを呟く姫様。


「婚約破棄して何言ってるんですか」


「あー本当、結婚してー·····現実世界に出てきてくんないかな·····エミヤ」


画面を見ながらうっとりすな!

しかも、なにFGOやってんの!?

もっ、もしかして、好きな人って二次元の彼!?

いや! 色々とOUT! バーンってスマホ見せてるけどモザイク必須!

というか、これ、もしそうだとしたら、ジュドー君にバレたらヤバい! いや、国民にバレたら姫様が終わる!!!!


「くぉら! アルミナあああああ!!!」


「うおっ! 親父様! ノックしろよ!」


「黙らっしゃい! お前のせいで騎士団が大変なことに! ユリウスのやつがボイコットして滅茶苦茶に!」


「知らーん!! 私情で仕事を放棄すな! クビにしろよそんなやつ!」


「あいつ、親バカだからなぁ·····息子が自分に似て可愛いんだろうなぁ·····、それになぁ、あいつもフィリアのこと好きだったしなぁ·····自分と重ねてるんだろうなあ」


「·····うん、クビにしろ。仕事は探してやれ」


すっごい怖い顔ですアルミナ様。

さっき、スマホの画面に映っていたデレデレ顔とは大違い。


「そーですよ! 陛下! アルミナ様は一応この国の次期皇帝!そのパートナーにジュドー君は相応しくありません! もっと強くて頭が良くて、アルミナ様に負けないカリスマ性がなきゃ!」


·····そうじゃないとこのじゃじゃ馬姫は扱えません。

愛だけでは無理なのです、まぁ、アルミナ様が愛せば関係の無いことだけど。


「そうだ、親父様、私を結婚させたくば、エミヤを持ってこいエミヤを」


「あんな人間いません!!」


「「たっ、大変ですぅ! アルミナ様!」」


ドタバタと部屋に入ってくる家臣達。


「「アルミナ様の彼氏になりたいって人達が城の外に集まってます!!」」


外を見ると、色んな国の男の人が集まっていた。


「うおおおお!! アルミナ様!」


「結婚してくれ!!」


「アルミナあああ!! やっぱり俺と結婚してくれええ!!」


·····各国の王子の中に紛れてジュドー君が、うっわーまだ諦めないんですか彼。


「·····わぁお、エリー行ってきて 」


「ムリです!!!!」


「仕方ない·····じゃあ、私が行って、エミヤ超えて来いって言うか·····」


「うわああああ!! 私が行きますぅ!!!」


アルミナ様のオタクがバレたらアルミナ様のイメージが!!

仕方なく城の外に行く私。


「えーっと、皆様お帰りください」


「なんでだよ! つかお前誰だ!」


「アルミナ様のメイドエリーです。アルミナ様は皆さんとはお会いにならないそうです、なのでお帰りください」


「はぁ!? なんでだよ!!」


「ブスは引っ込んでろ!!」


「使用人は黙って俺達を案内しろ!」


「アルミナ様がなんて言おうと関係ねぇ! 俺の魅力でイチコロだ!」


「·····いい加減にしてください! アルミナ様は困ってます!」


「「「はぁ!? 使用人のくせに生意気だ!!」」」


·····その瞬間私の何かが切れた。

もう面倒臭い、さっさと帰れ!!!!


「アルミナ様が好きなのは、お前らのようなウスラトンカチじゃありません」


「へっ?」


「アルミナ様が好きなのは! かっこよくて、家事ができて、キザで、人間やめてる、色黒白髪なの!! 貴方様達じゃあ、相手になりません!! つまりぃ、お呼びじゃねーんですわ! さっさと帰って、ママのミルクでも飲んでなさい!!」


思いっきり中指立てて言ってやった。


「うおお! いいぞ! エリー! 流石私のメイド!」


アルミナ様の喜ぶ声が聞こえる。


「さぁ、お帰りくださいませ、アルミナ様のハートが欲しけりゃ自分磨きをして、改めて公式の場でそれでは」


その場にいた男達全員締め出して、門を閉じた。


「イエーイ! ヘイ! ハイタッチ!」


「はい! アルミナ様」


「バーロ! 何大変なことしてくれちゃってんのエリー! 今後の外交とかどうすんの!?」


「知るか、親父様! そもそも、親父様が私の婚約者を勝手に決めたのが悪いんだろうが!」


「そんなこと言ったって! あーもー! お前のせいで色々と滅茶苦茶だよ!」


「人の色恋沙汰で機能しなくなる国とか嫌だわ、ちょっと母様に暫く国の決定権任せた方がいいんじゃね?」


「あー! うるさい! うるさい!アルミナ! 暫くお前はスマホ禁止だ!」


「うげぇぇえええ!! そりゃないぜ! 親父様ぁ!!」


スマホを取られたアルミナ様の泣き叫ぶ声が城中に響き渡った。

·····まったく、小学生ですか姫様は。


「うえええん! エリー! スマホ貸してぇ!」


まぁ、変わった姫様だけど、そこが魅力なアルミナ様。

彼女は今日も好き放題に生きる。

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うちの姫様ヤベェ奴 あぱろう @apa6gou

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