第2話
「やい! アルミナ! 出てこい!」
城の窓から見えるのは、アルミナ様の元婚約者、ジュドー様。
同僚達を引き入れお城に攻め込んでおります。
「あわわわわ、ジュドー君怒っちゃったじゃんアルミナ!」
「知らん、怒りたいのはあいつと婚約させられた私だ。アイツがいたせいで、私に彼氏が出来んかったんだぞ、青春時代を邪魔しおって」
昔の怒りを噛み締め拳を握るアルミナ様。
アルミナ様の輝かしい学生時代かぁ·····
「アルミナ、僕と付き合わないかい?」
あっ、あれは某王国の王子! しかもイケメン!
アルミナ様も満更でもなさそうだし、これはもしかして·····
「おい! レオナルド王子! 俺のアルミナに手を出すな!」
うっわ、アルミナ様やべぇ顔してる!
汚物を見るような目をしてる! 怖ぇよ! 顔が姫じゃない!
ヤクザだ! いや鬼だ! 修羅の顔だよ!
「さっ、行こうアルミナ俺と一緒にオペラでも見に行こう」
「·····ちっ」
うわっ、露骨に嫌そうな顔してる。
「えっ?」
「エリィイイイイイ!!!! ビジネスの時間よ! お城に帰らなきゃ!!!」
·····うん、怒るのもわかる気がする。
「ガチで許さん、ベタベタと私につきまといやがって! 他の令嬢や姫達から男の趣味悪いって影で言われてたんだぞ!!」
メラメラと怒りの炎が私に飛び火する位まで燃え盛る。
「アルミナァ!! 居るんだろ! 顔を見せろ! もしくは入れろ! 俺はこんなに愛しているんだぞ!! なんで婚約破棄なんか!」
「うるせー男だ、エリー追っ払ってきて」
「えぇ·····承知したくないんですが」
「やってこい、もしくは殺ってこい」
いい笑顔で首を切るジェスチャーをする姫なんて貴方以外いませんわよ、まったく。
仕方ない、扉を開けてこの人達帰すか·····
「おっ! 来た! アルミ·····なんだエリーか」
「露骨にガッカリしないでくださいます? ジュドー君」
「様をつけろ! 様を!」
「バンピーにつける様はねぇっ」
「やめろその顔腹立つ! つかアルミナは!」
「様を付けなさい様を!! アルミナ様は貴様の婚約者じゃあなくなったのよ!!」
「その理由はなんなんだよ! 俺が何したってんだ!」
「理由ー!? 記者会見で言ってたでしょ!」
婚約破棄記者会見にて
「なぜ婚約破棄されるんですか?」
本当のこと言わないでくださいよーアルミナ様。
本当のこと言ったらいくら破天荒で有名なアルミナ様でもバッシングが半端ないはず·····頼むからみんなが納得する答えで!
「私には好きな人がいるからだ」
あっちゃー·····これは終わった姫様終わった。
「それは誰なんですか!」
「この国と全ての民。私はまず彼らを幸せにしなければ自分が幸せになることは許されないのだよ、だから婚約者なんて必要ないんだ」
うおおお! 眩しいっ! 眩しすぎるプリンスマイル!
お姫様なのに発言がイケメンすぎるぅ!
そこにシビれる憧れるぅぅぅぅ!!
みろ! 記者たちがその眩しさで倒れてるぞ!
「あんなの信じられるか! あれは嘘をついてる顔だ!」
ご名答だ畜生! なんで分かんだこいつ!
うえぇぇ、アルミナ様ぁ、本当のこと言っていいですかぁ?
ちらりとお城の窓を見ると凄い綺麗な笑顔で親指を立てられた。
「ホントの事言うと貴方がブサイクだからです」
「ほげぇあああああ!!?」
吐血した。
「アルミナ様はイケメンと結婚したいと仰ってます」
「ほげぇあああああ!?」
噴水みたいだ。
「貴様のような顔の醜い男に抱かれとうないと嘆いていました」
「ほげぇああああああ!?」
3回同じ場面を見せつけるな、長ぇんだよ。
「という訳でお帰りください、貴方達も反逆罪で捕らわれたくなければさっさと勤務に戻りなさい」
営業スマイルで騎士団にそう言うと渋々帰る騎士の方々。
「あっ! お前ら帰るなよ! 俺は団長の息子だぞ!? 今帰ったやつ親父に言ってクビにしてやる!!」
その顔と醜い心ではアルミナ様には触れることすら許されないのに·····恐るべし男の友情。
「よぉし! 帰った! 流石私のエリー!」
「うむっ! 天晴れ! 流石俺が見込んだ少女!」
「「エリー! エリー! 愛しのエリー!」」
きゃっきゃうふふ、仲睦まじくおててを繋ぐ面白親子。
窓の外まで声が聞こえてくる。
「びゃあああああ!! なっ、なんでだよおおおおお!!」
·····うわっ、泣き出した。
「あっ、あんまりじゃないか、アルミナ·····昔俺の事優しくて好きって言ったじゃないか」
そんなこと言ったんかアルミナ様。
窓を見てみると、アルミナ様が青ざめている。
なんかプルプル震えてる。
「世の中顔じゃないわ、優しくて心が強いひとがかっこいいのよって! キメ顔で言ってたじゃないか! あの言葉は嘘だったのか! アルミナぁ!」
「嘘じゃボケェ!!!!」
窓を思い切り開けて、叫ぶ姫様。
姫様、ようやく顔を出したと思ったら·····彼に対して酷すぎじゃありませんか。
「あんなのリップサービスじゃ! あの頃の私は皆からの人気を集める為に必死だっんたんだよ! 綺麗事ばっか言ってさ! いつまで過去にしがみついてんだばあああか!! 未来を見ろ! 私よりいい女なんて沢山いるんだよ!」
ひっ、姫様、そこまでいいますか。
「グッバイ、君の運命の人は私じゃない!」
言いたいこと言って鳩時計みたいに戻ってたぞ姫様!
「うっ、うあああああああ!!」
そしてジュドー君は泣きながら帰って行った。
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