第1話
私はエリー、アルミナ様の使用人である。
アルミナ様はハテン皇国のお姫様で、容姿端麗で有能で国民からも好かれている、まさに時期皇帝に相応しいお方だ。
だかしかし、
「よっしゃあ! エリー! 婚約破棄ゲットだぜ! これで自由にマッチングアプリができる!」
やべぇやつである。
「姫様!? 一国の姫がマッチングアプリを使うのはやめてください! どうせ集まるのはクズばっかですよ!」
「えぇー! じゃあ私は誰と恋しろっていうのよ! 私と価値観が合うイケメンを連れてきなさいよ!」
「·····ご学友は居ないんですか?」
「いい男はみんな結婚したわ! 私これでも国宝級の美女よ!? なんでイケメンが寄ってこない! 私が姫だからか!? 高貴すぎるからか!? そんなこと言うなら皇族の権限で脅してイケメンと結婚してやるぞ!?」
「姫様気を確かに」
「くっそ、あんなブ男が私と婚約したばかりに、私に男が寄ってこなかったのかしら。 ぐぬぬぬぬなんで私は乙ゲーの王子見たく主人公みたいな子が近寄ってこなかったのかしら!! イベントで悪役令嬢に婚約破棄する王子に私はなりたい!」
アホな事を口走る姫様。
「おいいいい!! アルミナ! 何勝手なことしてんだ!」
ノックもせずに入ってきたこのイケおじは、アルミナ様のお父様、皇帝のヘンリー様だ。
「あっ、親父様、つか勝手に部屋はいんな、エリーこの親父を追い出してくれ」
「しょ、承知しました、大変申し訳ありませんが皇帝陛下·····」
「エリー! ボーナスあげるからちょっとお黙りなさい!」
「承知しました!」
「うっ、裏切り者!」
姫様に涙目で見られたが気にしない。
「アルミナ! 勝手に婚約破棄したな! しかも勝手に記者会見まで開いて! お父さんの友情を切り裂くつもりか!」
姫様の婚約者は皇帝がかつての友人と勝手に決めたものである。
皇帝の友人は騎士団長で、次の戦争でかったらお前の息子と俺の娘を結婚させてやるなんて約束してしまい、こうなったという。
「当たり前だ!! 父親の友情より私の処女だ! あんなブ男に抱かれとうないわ!」
「なっ、なにおぅ! 確かに、あの男にお前をあげるのは勿体ないな! だがしかし! あの騎士団長に仕事ボイコットされるのは困る! あいつ歳とってもくそ強いのよね!」
「知るか! 若手を育てろ! 若手を! 勇者でもなんでもいいから団長より強いの探せ!」
苦虫を噛み潰したような顔をする皇帝陛下。
「たっ、大変ですぅ! 姫様!」
開いていた扉にドタバタと入ってくる重鎮以下数名。
「ちょっとちょっと、みんなノックもなしにどうしたの?」
「「「きっ、騎士団が城攻めを!」」」
その場にいた全員の時が止まった。
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