第31話 『犯人は、グリース』謎の女戦士編3


〜前回までのあらすじ〜


2023年8月


 入院中だった女子高生のパピコは、雑巾男に連れられ、異世界にやってきた。


 そこは、昔読んだ絵本の世界にそっくりだった。


 最弱女子高生パピコと雑巾男グリースが、暗黒の魔女から世界を救う物語。


 現在、パピコにとグリースには、大剣士アスロン、謎の女キャスカと仲間が増えていった。




 しかし、オーク達の脅威から逃れた先に辿りついた砂漠で、魔女がパピコ達に攻撃を仕掛けてきた。


 砂漠で立ち往生している4人は、パピコとグリースだけ先を進む作戦にでたがパピコは、その最中、巨大サソリに毒を刺されてしまった。



【砂漠】


モルダナ


ソロニア砂漠


 パピコの身体が変化し出した。  


”ズズズ、、、〟(砂が擦れる音)


 段々と少しづつだが、大きくなり出し始めた。


 グリースは、未だ気を失ってうつ伏せに倒れている。


 


【ダナン城】

 

A.S 5308年


黄金9年10月


カナンドール首都ダナン


ダナン城

 

 王の間にガルタダが国王を尋ねてきていた。



「国王様、わたしはこの国を去らなければなりません」


 ガルタダが国王にそう伝えた。


 「どこにいく?」


 「今は、何処にいくかは言えません。しかし私はある結果次第で裁かれる事になります」


「裁かれる?」


「はい、それはパピコ達が魔女を殺さずにこの一件を収める事に成功すれば、この国は救われますが、私は死ぬ事になるでしょう」


「なにを言っている?」


「いや、これは逃れられない私の運命なのです」


「何がどうしてそのようになるんだ?」


「今は、まだ、、詳しい事は、言えないのですが、先程の事は、秘密にしていただけますか?」


国王は、言葉を慎重に選んだ。


「わかった約束しよう。それ以外の事もこれ以上追求する事やめておこう」


(ガルタダは、バルモンドという一人の男は、ただの王で

ない事を悟った、この真実を知れば自国にも災いがくると言う事一瞬に察知したんだと)


「ありがとうございます」


 サラモネ、ヤーコブ、ラウル、ダンの4人が、国王とガルタダの話しが終わると国王の部屋に入ってきた。


「もう、お話は?終わりました」


 サラモネの問いに国王は、頷いた。


 ガルタダが去ろう挨拶を言おうとした時、


「良かったガルタダ様、あなたに聞きたい事があるのです」


側近サラモネが、ガルタダに言った。


「サラモネ、ガルタダに時間をとらせるなよ」


「はい、国王様」


ガルタダは、サラモネの方に身体を向けた。


「ガルタダ様、9番隊長が何者かによって殺害されたのは知っていますか?」


「はい、存知ております」


「その犯人は誰か知っていますか?」


「いや、知りません」


側近ヤーコブが2人の話しに割り込んで言った。


「サラモネ、周りくどいききかたをするな」


 サラモネは、ヤーコブの方を、チラッとみるとまた話しを進めた。


「実はその犯人がわかったです」


「だれですか?」


「お前のよく知っている人物だよ、サラモネ、いいにくいなら俺が言う」


 側近ヤーコブが言った。


「あの掃除夫、グリースだ」


「グリース?」


ガルタダは、驚きを隠せないでいた。



「そうなんです、証拠の刃物が発見されたのです」



「ガルタダ様に聞きたい?グリースに隊長を殺害する動機はありますか?


「いや、ないと思います、それに彼はパピコ達と魔女退治に旅をしています」


「俺もそう言ったんだ」


1番隊長ダンが言った。


「なに、を言っている証拠もあるし、アイツは空を飛べる、人を殺して仲間の元に戻るなんぞ、造作もらない事だ」


ヤーコブがダンに言った。



「でも、9番隊長が簡単にグリースにやられますかね?」


3番隊長ラウルがヤーコブに言った。


「まぁ、油断していたんだろう」


(油断、、)



ガルタダは、ある事を思い出した。



「いつですか?9番隊長が殺害されたのは?」



「ちょうど、トロールの件からわたし達が城に帰還してからすぐだ」


ダンがぶっきらぼうにガルタダに言った。



 (大体、そのくらいの時だった、小さな妖精が訪ねてきたのは)


 


「国王様、この件に関しての判断を少しお待ちください」



黙って聞いていた国王は、ガルタダの言葉に黙って頷いた。


するとガルタダは、城の屋上へとつづく階段へと駆け出した。


 「ガルタダ様、、」


側近サラモネは、ガルタダの後ろ姿を目で追った。



 「犯人は、グリースだ、結果は変わらんさ」


側近ヤーコブは、呟いた。




 ガルタダは、屋上にでると口笛を吹いた。



”ピーィィィー〟


 すると城の外にいったウォルフィットがそれに反応し鳴き声を発した。


 「ワァーォーン」


 その声は、遠くにいる同士に何かを伝えているようだった。



【ミント】


 エルフの里


 ミントと下女がエルフの神殿にいた。


 「メルフィンさん、ありがとうございました」


 ”メルフィン〟それが下女の本当の名前だった。


「名前を呼ばれるのは、何年ぶりかしらありがとう、ミントくん」


 ミントは、照れ臭そうに笑った。


 そばにいたファルゴが突飛、鳴き出した。


「ふぁーおーー」


 ミントは、ファルゴの身体を、撫でた。


 「どうした?」


ファルゴは、ミントを自分の上に乗せてた。


「メルフィルさん、ファルゴが何か急かしてる様子なんでもういきますね」


 メルフィルは、ニッコリ微笑んで頷いた。


そして、ミントを乗せたファルゴは、エルフの里から飛びった。


 ”バタ、バタ、バタ〟


 「ミント、みんなによろしく!」


メルフィルは、ファルゴが見えなくなるまで手を振り続けた。


 「何をそんなに急いでるんだ?ファルゴ?」


そのミントの言葉に何も反応せず、ファルゴは羽を風に委ねていた。


 (まぁ、いいさ)


 ミントは、それ以上にアダストリアで、両親にまたあえる事と、それともう一つビジョンという人物に会える事が楽しみだった。


 メルフィンから聞いた話しによるとドリーマーには、息子がいるらしく、それがビジョンというエルフだった。


 ビジョンは、ドリーマーと同じ特別な能力を持っているらしかった。ミントは、どきどきしていた。


 しばらく、ビジョンの事や、アダストリアの事を考えて、ミントの心は、ここにあらすじだったが、目の前にダンナ城が見えた時、ふっと我にかえった。




「おい、ファルゴ、なんでダナン城に向かってるんだ?」



ファルゴは、ダナン城を目指してますぐ飛んでいた。


「おい、ファルゴ!アダストリアと方向が反対じゃないか!」


 ミントの声を無視してファルゴは、ダナン城にいるガルタダの元へと飛び続けた。



【砂漠】


ソロニア砂漠の南西部


アスロンとキャスカが座り込んでいた。


「バカなの?アンタ?雨なんてこの砂漠で降るわけないじゃない」


アスロンは、キャスカの言葉に耳を傾けず、黙ったまま待ってただ座っていた。


「ねーねーアスロン!どーすんのさ!」


それでもアスロンは黙って座っている。


(もうー雨なんて降るわけないじゃない、それに降ったからてどーなるのよ)


「キャスカ、?」


「なに?」


「喉が渇かないか?」


「だめよ、あげないから、水は貴重なの!」


キャスカは、持っている水滴を握りしめて言った。 


「お前、ケチだな」


「うるさい」




【砂漠】


ソロニア砂漠の北西部



パピコが巨大化していた。


”バサ、バサ〟(砂から何かがでてくる音)


「ぷはぁー」


(はぁ、はぁ、死ぬかと思った)



 巨大化したパピコの下敷きになっていたグリースが顔をだした。


 「な、なんじゃパピコ、どうした?」




巨大化したパピコにグリースは、気付くと汗びっしょりかいて苦しんでいた。



 パピコもグリースに気付くと言葉を返した。



「サソリさんに刺されちゃった、、」



「あの巨大サソリにさされて、巨大化したのか、、」


パピコは、頷いた。


グリースは、パピコを刺したきサソリを探したが、周りにはいなかった。



 パピコは、小刻みに震え出していた。


「パピコ、大丈夫か!」


”ブルブル〟


パピコは痙攣を起こしていた。



(どうしよう、、このままだとパピコは死んじまう)


グリースは、自分の雑巾の身体を手で伸ばし始めた。




【ダナン城】




ファルゴがガルタダのいるダナン城の上に降り立った。


「ガルタダ様、、」


ミントは、ガルタダに気付くとそう言った。


「ミント、すまないファルゴを使って君を呼び出してしまって」


「なにが、あったのですか?」



「君にあの事を証言してほしい」


「あの事?」 


ミントは、ガルタダの言葉に思考を巡らせた。



つづく





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パピコと不思議な王国 isao @appliqued8

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