第30話 『砂地獄とチョコレート』謎の女戦士編2

〜前回までのあらすじ〜


 入院中だった女子高生のパピコは、雑巾男グリースに連れられ、異世界へとやってきた。


その世界は、昔読んだ絵本の世界にそっくりだった。


 最弱女子高生パピコと雑巾男グリースが、氷の魔女から世界を救う物語。


 パピコ、グリース、アスロンの三人の前に謎の女キャスカが現れた。


 パピコの命を狙ったキャスカとパピコ達が揉めている最中、大群のオークにパピコ達は襲われてしまう。


パピコ達は、オーク達から逃げきる為、謎の女キャスカと力を合わせて逃げ切ったが、逃げ切った先は、見渡すかぎりの何もない砂漠地帯だった。


 その砂漠で、氷の魔女が突然、パピコ達に砂を操る魔法を仕掛けてきた。

 

 その魔法によってパピコ達は、砂漠から脱出不可能になってしまった。


【魔女の城】


 魔女の城は、ビィスターンク地方のはずれにあった。


 その城のが外壁は、赤茶色をしていて、城は戸愚呂をまいているような建物だった。


 魔女が大きな水晶の前に立っていた。


魔女は、杖で円を描きなながら、呪文らしものを唱えていた。


”、、、、、、、ナーブツ、、〟ヨーイン、、〟



その様子を一羽の目の玉が赤い烏が眺めていた。



【ソロニア砂漠】


 キャスカとグリースが言い争いをしていた。


「とんでもない所に導いてくれたわねーこのうすらトンカチ」


「うすらトンカチってなんだ?」


「もーいい!あんたと話しても無駄だわ!」


「これは、君のせいかもしれない、急に君がこのパーティーに、きたせいかもしれない」


アスロンは、冷酷な発言をした。


「なに、それわたしのせい!」



パピコが、それを止めた!


「アスロン、それはひどいわ!」


「アスロン、うすらトンカチってなんだ?」


「おまえは、黙ってろ!」



パピコは、カバンから何かをだそうとしていた。


「たしか、、」



【地球】



NASA



 打ち上げ計画は、失敗に終わった。



 打ち上げたロケットは、隕石の軌道を変える前に障害物にぶつかり軌道をはずれてしまった。


 地球に衝突するであろう隕石の軌道を変えるロケットに期待できなくなった今、NASAでは緊急会議が行われていた。


 NASAのある一室


そこで、職員達が話し合いをしている。


「、、、、」


「このままでいくとロケットは、隕石の軌道を変える事がてきません」


「あとどれくらで隕石は、地球に?」



「あと1週間といった所でしょう」



「もう一発、ロケットを」



「この距離からだともう無理でしょう、距離が近過ぎます」




「なにもやらないよりは、ましだ」



「いや、費用がかかりすぎる」



「いまは、そんな事言っている場合じゃないでしょ」


「先のロケットは、準備がたりなすぎました、また失敗する可能性がらあります」


会議は、喧喧諤諤で絶望感が充満していた。


 そんな中、1人の男が変な事を口にした。


その男とは、”真鍋 源蔵〟という人物だった。


 彼は、特殊な経歴の持ち主で、もとは、世界的な企業を一代で築きあげた経営者としての経歴を持っていた。しかし、ある日、突然、自分の会社を後任に明け渡し、3年間、世界中を旅する放浪生活を送っていた。今は、家族を持ちその家族は、日本の神奈川県、鎌倉市に住んでいるという。


「物事には、原因があります」


「今回の原因は、死んだ惑星、ソラリスで起こった事にあります」


その以外な言葉に部屋にいた誰もが、真鍋に注目した。



長官が真鍋に聞いた。



「真鍋さん、それはどういう事?」




【ソロニア砂漠】


カナンドール


ソロニア砂漠



 グリースとキャスカがパピコがかばんからだしたチョコレートを食べている。


 そのチョコレートは回りがコーティングされている物だったが、砂漠の暑さで少し溶け出していた。




「こんな物食べた事がない、美味しい!」


キャスカが言った。



「でしょー」



 パピコのチョコレートによって、争いがなくなっていた。



 しかし、砂がパピコ達の行くてを阻んでいる事には、かわりがなかった。


 グリースは、遠慮なくチョコレートをパクパクと口に運んでいた。



「あんた、食べすぎよ!」


 「おい、俺達はこの先、進めない、」


アスロンは、1人この状況を悲観しているようだった。


「まぁーしょうがないよ」



 アスロンは、その場に座り考え込んだ。


「アスロンもチョコレート、どう?」


「いや、いい」


「じゃあ、俺が頂くよ!」


「あんた、食べすぎ!」



「絶対、先には進めない」


アスロンは、ぽつりと言った。


「絶対?、、アスロンは悲観主義やな」



「そうよ、何か突発口があるかもしれない」



 パピコが、グリースの言葉に同調するように言った。




「間違いだったわ、なんで一緒にきちゃったの」


 キャスカが、不満を漏らした。



「だったら帰ればいい」



「なによ、それ」



「お前には、まだ疑いがある」


 キャスカに対してまた、冷たい言葉をアスロンは浴びせた。



「おい、パピコ、アスロンってなんか、冷たくない?」


「確かに、でもアスロンは私達みたいな頼りない者をつれているから気を張っているのかも」


「パピコ、君達は関係ないよ、ただこの女が気にくわないだけだ」



「ああ、そうですか!でも帰んないわよ、ってか帰れないわ、わかった、信用しないのなら、その娘の命をまた奪おうとしたら即刻私を切って頂戴!」



「わかった」


 アスロンがキャスカの言葉に頷いた。



「キャスカさんは、もう私達の仲間よ」



「パコは、甘い」



「アスロンもやっぱりコレ食べなよ、」


 グリースがチョコレートをアスロンに渡した。



 グリースは、無理やりアスロンの口にチョコレートを入れた。


「な、なにする!」


”モグモグ〟


「どうや?」


「悪くない」


グリースは、それを聞いて微笑んだ。


「アスロン、まだあるから欲しかったら言って!」


「でもパピコ、それどっから持ってきた?」


「地球から持っきたの」


「なんで今までしまってたんだ?」


「いや、ただチョコレートを入れてたの忘れてただけよ」


(忘れてた、、)


その言葉にアスロンは、何かに気づいた。


「そうだ、グリース、君は空を飛べたんだよな?」



アスロンがグリースに向かっていた。



「いや、そうだけど全員を乗せるのは不可能だぜ?」



「パピコだけでもこの砂漠をぬけさせよう」



「俺とキャスカは、なんとか自力で脱出するよ」



「え、私達だけ、自力?」



「じゃあ、俺達は、オークリンに先に行ってるぞ」



「オークリン?」



「次のアイテムの素材がある」



「そうか、オークリンだな、わかった」


「まぁ、あまりに遅かったら、助けにくるから心配すんな!」


「大丈夫だ、グリース!すぐに追いつく」


「そういえば、よかったの?」


パピコがアスロンに言った。



「私達と同行して」



「これもひとつの流れの中で起きた事だ、逆らうべきではない気がする」


「と、いう事は、仲間になってくれるのか?」


 アスロンは、頷いた。


「あーのわたしもいいかしら、仲間って事で」


「しゃーないよなーこの状況だし」


 グリースは、キャスカに言葉をかけるとアスロンもパピコも頷いた。


(パピコは、このキャスカが何者かもわからないが、一緒にいる事で悪い事は起こらない気がしていた)



 「そうだ、オークリンに行く前に”大剣士の勇気〟を」


 パピコは、首に掛かっているマフィルカの瓶を、アスロンの前に差し出した。



「わかった」



「ところで、大剣士の勇気って??」



【大剣士の勇気】



「で、大剣士の勇気とはなんだ?」

 

 アスロンが、パピコに尋ねた。


 するとグリースが、ラウルからもらったメモ紙をとりだした。


「このメモによると。大剣士の勇気とは、”汗〟と書いてある。



(汗?)


「そういえば、アスロンは、この暑さであんまり汗かいてないな!」



 パピコとキャスカもグリースも額に汗を掻いていたが、アスロンだけは、ほぼ汗をかいていなかった。



「おれはあまり汗をかかない、かいても人よりすくない、だから体温調節があまりできなくて暑いのは苦手なんだ」


(パピコは、自分の身の周りにも汗をあまりかかない人っていたが、それが誰だったか思い出せなかった)



「汗をこの瓶に頼むよアスロン」



「ああ、絞りだすよ」



 アスロンが、身体を動かし始めた、アスロンの額から少しだか汗が滲みでてきた。


「アスロンはんええぞ!出てる!」


「それにしても変よねー??トロールの尿だったり、アスロンの汗だったり」



パピコがそういうとアスロンの動きが止まった。



「尿と汗、同じ元素だ」


「元素??」


グリースがアスロンの言葉に反応した。



「瓶には、他になにを入れるんだ?」



「えーと今まで入れたは、”エルフの土〟と”トロールの尿〟”ガルダダ様の呪文〟これから入れるのはアスロンはんの汗、あと”オークリンの炎〟だ」



「それで魔女を倒す為のマフィルカは完成する」



アスロンは、グリースの手に持っているメモ紙をみた。



「それは?」



「ラウルが、渡してくれたマフィルカの素材について書いてあるメモだ」



「それを、見せてくれ」



「いや、あまり人にみせるなと」



「誰に言われた?」



「ラウルに言われたのか?」



「いや、ラウルは、書紀のケンドルに言われたと言っていた」



「それを書いたのはケンドル?」



「いや、正確には、ドリーマー様の言葉をケンドルが翻訳しただけだ」


「というとは、書かせた張本人のドリーマーが見せるなと言った事なるな?」


 グリースは、元来いい加減な性格の為、そんな約束どうでもよく、アスロンにメモ紙を渡し見せた。


「いいのか?」


「かまうもんか」


グリースがヘラヘラしていった。


 そのメモには、エルフ語と翻訳したカナンドール語で書かれていた。


「この部分のエルフ語の翻訳は、おかしい」


(アスロンは、エルフ語を読めた。カナンドールでは、人間がエルフ語を読めるのは珍しいかった)



「改ざんされたって事、ケンドルに?」



「いや、それはわからない」



「ただ、このエルフ語の訳は、”汗〟ではなく”風〟だ」



「風?」


 「多分このアイテムは、五大元素を入れる事によって完成する」



「なぜ、風を汗と書き直したんた?」


グリースが、疑問を口にした。


「その汗とかいた人間は俺が汗をかかないと知っている人間だ」


「じゃあ、ケンドルが?」


「いや、俺はケンドルの事をしらない、きっと向こうもしらないだろう」


(たしかに、ケンドルはアスロンが城から去った後、城に入り書紀になった経歴がある)


「じゃあ誰が、、」


「そんな事して、このアイテムを完成させない事が目的だったのかしら」


「いや、多分それを改ざんした奴の狙いはそこじゃない」


「この俺の行為によってアイテムを台無しにする事だ」



 グリースは、忘れていたラウルとのやり取りを思い出していた。


『このアイテムを入れる順番と入れるものを間違えたらマフィルカの瓶は、壊れる。そしてマフィルカの瓶はこの世に2つとないと言っていた』


(もしかしてやばかったかも)


 グリースの額から汗かふきだしていた。



(子供染みてるわ)


パピコは、心の中でそう思った。



「俺に恨みをもつ人間がいてもおかしくない、そんな立派な隊長じゃなかったからな」


 グリースが城の人間から犯人を特定しようとしたが、グリースの城の人間関係は、極めて少なかったので、特定するのが困難だった。


「で、その五大元素ってなんなの」


キャスカがアスロンに聞いた。


「五大元素は、


火、水、土、空、風、


からなりたつ宇宙で基礎となる元素だ。


その元素を合わせる事に、よってマフィルカは完成する。


”土は、エルフの里の土〟


”水は、トロールの尿〟


”空は、ガルダダの呪文〟


”火は、オークリンの炎〟


そして、風。


”大剣士の勇気は、風の事〟」


アスロンの言葉に皆注目して聞いていた。



「俺は、風を操る剣士だ」



「少しみんな俺から離れていてくれ」


 するとパピコ達は、砂を踏みながら後退りした。


 アスロンは、皆んなが離れたのを確認すると腰に差してある剣をとりだし、それを八の字に振り始めた。


”シューン〟


”シューン〟


 すると風がアスロンに向かって吹き出した。


 その風をアスロンは、ひとつの風の固まりの様にして空に伸ばした。



 今度は風がまるで生き物かのように渦を巻き勝手に動き始めた。


アスロンは、その渦をマフィルカの瓶に誘導させ詰め込んだ。



するとマフィルカの瓶は、青く光りだした。



「成功や、、」



光りかがやくその瓶をみてグリースは、言った。



【残された2人】


 パピコは、素材入れが成功するとマフィルカの瓶をまた首からかけた。



「じゃあ、一足先に先にいくぜ!」



「オークリンだな」



「ああ、待ってるぜ!」



 グリースは、パピコを乗せオークリンへと飛びだった。



 灼熱の2つの太陽が照ってる砂漠の中、2人は取り残された。



「さて、キャスカどーする?」


「知らないわよ!」


キャスカは、不貞腐れていた。


「そうか、だったら俺に策がある」


「なに?」


「雨を待つ」



「はぁーあんた馬鹿なの?こんな砂漠に雨なんて降るわけないじゃない」


そういうとアスロンは、ランチャービートの方に目を向けた。


【オークリンを目指す2人】



 グリースとパピコは、空を跳んでいた。



 突然、目の前に魔女の幻想が現れた。



「ここら飛んだからって抜けると思ったのかい?」




「な、なんだ!魔女の幻覚?」



 魔女の幻想がきえると巨大なサソリがグリース達の前に飛び跳ねて、現れた。




「あ、うわぁ、ソロニアのぬしや!」



「な、な、巨大サソリがぬし」



 その巨大なサソリは、黒光りをして、再びジャンプして飛んでいるグリース達を尻尾で地面にたたきつけた。



 ”ブァーボーン”


”バタ、バタ、ゴロゴロ、、〟



 グリースは、そのショックで気を失ってしまった。


 

 パピコは、その場に投げ出されたが無事の様だった。




 パピコは、素早く起き上がると巨大サソリと、対峙した。




 巨大なサソリはパピコみると少し後退りした。



〈魔女の城〉


水晶でその様子をみている魔女


「さーサソリよ、その娘を、刺せ!」


 しかし、サソリは、尻尾ふりながな何故かパピコを攻撃しなかった。



 サソリが自分に攻撃しないとわかるとパピコは、グリースにかけより、起こそうとした。



 「グリース、グリース、起きて!」



 しかし、パピコにゆすられてもグリースは起きなかった。息はしていたので、気を失っているのがわかった。


 パピコがなにか、グリースを起こす方法がないか、あたりを見渡した。


 その瞬間、じっとしていた巨大サソリは、突然グリースに、猛威をふるい攻撃した。


 「だめ!」



 ”ブッシュー〟


 パピコが、グリースの身体を庇い、サソリに背中をさされてしまった。



「あ、ぐぃ、、」



 巨大サソリは、パピコを刺した瞬間、後退りそそくさと砂な中に姿を消してしまった。


 〈魔女の城〉


 「おや!どうしちまたんだ?このサソリ」


 水晶から覗いていた魔女は、このサソリの行動が理解できなかった」



 パピコは、サソリの毒で倒れてしまい、グリースは、いまだ気を失ったままだった。



その横には、食べかけのチョコレートが落ちている。




【取り残されたアスロンとキャスカ】



「なによ、雨を待つ、あんた馬鹿なの?」



「うるさいなーお前、静かにしろ」



「なにが、大丈夫だよ!」



「女ってこんなにうるさい生き物なのか?」



「あーやってらんないーもー」



アスロンとキャスカは、この砂地獄を前に何もできないでい。



 つづく

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